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282話 レベル2

 くそっ、もう一回試してやる。

 万が一まぐれって可能性もあるからな。



 【スキルチェイン【天元顕現権限】【花上楼閣】】




 【追加効果が付与されました】




 【スキルクールタイムが増加しました】



 俺はクールタイムに入った【渡月伝心】ではなく、次の聖獣スキルをチェインさせて畳み掛けていく。

 【花上楼閣】はウプシロン討伐で手に入れたスキルで、普通に使うと岩花の形をしたセーブポイントを設置するやつだが天子の力である【天元顕現権限】とチェインさせると石の花弁を無数に飛ばす遠距離攻撃スキルへと変貌するのだ。


 そして、俺の背後に岩花が出現し回転をしながら鋭利な岩の花弁を射出させていく。

 もちろん狙いは石動故智だ。



 マシンガンを思わせるような勢いで飛翔する花弁であればあいつの防御力を打ち破れるはず!?



 「君、コッチの防御力を甘く見てるよね。

 そのスキルは初めて見たけれど、具現化した形でどんなものかなんとなく分かるね。

 それは生命花の力だから……これをぶつけてみるよ。

 スキル発動、【水流万花】」


 石動故智がスキルを発動すると、石動故智の周囲三メートルくらいに水流の輪が形成され始めた。


 そして、時間経過で水流の輪がさらに形成されていく。

 水流の輪は花弁のような見た目をしていて、時間が増えると満開に近づくということなのだろう。


 「このスキルは底無し沼にいた水竜のレイドボスを倒して手に入れたんだよね。

 包丁次元では、その岩のスキルになったようだけれどね」



 【底無し沼の水竜】?

 その名前には聞き覚えがある。

 それは蛇腹剣次元のパジャマロリ……マキが口にしていた。


 【底無し沼の水竜】とかいうレイドボス、俺の包丁次元だと見たことも聞いたこともないが他の次元だと棘亀の代わりにその水竜ってやつが沼地の主の場合が多いらしいな。


 


 石動故智が展開した水流の輪が、俺が射出している花弁を1つ1つ受け止めていく。

 水の花弁と岩の花弁とのぶつかり合いだが、俺のスキルチェイン【花上楼閣】は押し負けているようだ。



 「【現界名称】のおかげで防御力が上がっているから、そう簡単には打ち破れないよ」


 何!?

 防御力っていうのは身体のステータスだけじゃなかったのか。


 「そういうことだよ。

 コッチの防御に関する行動全てに強化が入っているんだよ。

 もちろん、さっきから使っているスキルもその一例だね」


 道理でやけに固いと思ったぞ。

 俺は【天元顕現権限】を使ってスキルチェインまでしているのに打ち破れていないのは、流石におかしいと思っていた。


 あいつは【現界名称】で擬似的に毎回スキルチェインしているようなものだったわけだ。

 しかも、その防御補正は俺の【天元顕現権限】よりも上っぽい?


 「……多分だけど、それよりもレベルの差があるかもしれないよ。

 ドワーフに種族転生してからそれなりに時間が経っているから、コッチはレベル2なんだよね。

 このゲームでコッチ以外にレベルが上がっているプレイヤーは今まで見たことないから、ドワーフに転生、レベル2、この2つが基本スペックを大きく補助してくれているよ」


 こいつ……レベル2プレイヤーか!?

 レベルが上がる条件とか知らないからなんとも言えないが、やはり相当のやり手だな。

 俺も深淵天子に種族転生こそしているが、レベルアップはまだしていない。

 レイドボスとかも倒しているし、1レベルくらい上がってもいいはずなんだが……


 「レベルが上がるとその辺の底辺種族とは格が違う強さになるからね。

 種族転生をしているだけ段階でも、そんな感じではあるけど」


 レベルアップの条件……めっちゃ知りたくなってきたぞ!

 

 「君に伝えてもあまり有効活用出来なさそうだし、せっかくだから教えてあげるよ。

 ドワーフのレベルアップの条件は【失伝秘具】カテゴリーの鉱石の発掘だね。

 【失伝秘具】って知ってるかな」


 ああ、それは知ってる。

 俺が天子に種族転生する時に必要だったアイテムも【失伝秘具】だったからな。


 「へぇ、天子になるには【失伝秘具】が必要なんだね。

 これは良いことを聞いた気がするよ」


 やべっ、重要な情報をつい喋ってしまった。

 ……まあ、先に石動故智が対価になるような情報を教えてくれていたから結果的にただの情報交換になっただけだが。



 それにしても、レベルアップにも関わってくるのか【失伝秘具】。

 本当になんなんだろうか。


 「不思議だよね」


 俺が継続して放っている岩の花弁を、水流の花弁で受け止めながら石動故智はそう呟いた。

 お互いにオート攻撃しているだけだからこうやって悠長に話していられるわけだな。

 もちろんマニュアル操作もできなくはないが、今は情報の引き出しを開けてやった方が今後の包丁次元のためになる。

 ……というよりは俺のためになる。











 


 「ゴキブリのようにしつこいですね……

 前はそんなにしぶとくなかったはずなのに……

 こうなれば消し炭にしてあげますよ!

 スキル発動!【渦炎炭鳥】!」


 「あんたが上から目線なのは変わってないじゃない!

 昔よりどことなく柔和になってる気はするけど。

 でも、ピッケル次元の底辺種族たちと鍛え上げたこの力であんたを根負けさせてあげるわ!

 スキル発動!【渦炎炭鳥】!」


 「ここに来て同じスキルですか。

 負けるわけにはいきませんね」


 「こっちこそ、あんたに負ける気なんてさらさらないんだからね!」




 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公馬鹿すぎだろ
[良い点] 本気出さずに雑談しながらやり合ってるの好き 故智は変わり者だけど次元のトッププレイヤーだけあって抱えてる情報の量が多いですね そういえば種族転生してレベルキャップ解放してから一度もレベル…
[良い点] 今度は同じスキルですか 石動に勝つには深淵種族で差をつけないと厳しそう 相手も別のスキル持ってるでしょうが [一言] 向こうの天子の方が正道を歩んでそう 天子とプレイヤーが力を合わせてるよ…
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