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281話 衝撃の攻防

 ピッケルによる打撃と包丁による斬擊が入り乱れる一騎討ちが行われている中、石動故智は急に後方へ下がりはじめて俺から距離を取ろうとしている。


 ちょっ、逃げるなよ!

 ここでお前を逃がすとろくなことにならない気がするからな。


 「コッチが逃げるわけないよ。

 君を迎え撃つ準備をしているだけだからね」


 そう叫んだ石動故智はピッケルを振り上げて構えだした。

 


 何かする気だな?

 やらせる前に俺が仕留めてやる!


 「そう上手くはいかせないよ。

 スキル発動、【スマッシュ】」


 石動故智に攻撃しようとした俺だったが、あいつはそれよりも早くスキルを発動させてきた。

 土色の光を宿したピッケルが俺に振りかざされるのを確認したので、包丁の腹による衝撃の受け流しで凌ごうとした。





 うおおおおおおおおおおお!?!??


 ……だが、俺の受け流しを凌駕する衝撃が加えられたピッケルが包丁に触れた瞬間。

 俺はロケットが発射されたかのごとく後方へと吹き飛ばされ、岩肌に叩きつけられた。


 うぐぐ……

 確かに受け流しは成功した感触があったのに、吹き飛ばされるとは……

 なんて威力なんだ……


 「コッチの【スマッシュ】は直接的な威力はほぼないけど、吹き飛ばし性能がある打撃スキルだからね。

 吹き飛ばして壁にぶつければダメージになるから、威力が無くても関係ないよ」


 ちっ、俺の十八番スキルである【フィレオ】の打撃バージョンってわけか。

 【フィレオ】は切断性能が高いが、威力はないからな。

 これの衝撃バージョンってことだろう。



 「それにコッチはドワーフに種族転生しているから、筋力が底辺種族とは格が違うよ。

 本当は鉱石掘りに役立ちそうだからって種族転生したんだけれど、戦いにも役立つから運が良かったよね」


 このゲーム、ドワーフもいるのか。

 包丁次元で見つけられたという報告はないが、まさか他の次元のプレイヤーで初見になるとは思ってなかった。


 「ソッチの次元は岩山採掘が遅れているみたいだね。

 コッチとしては情報交換が出来なくて残念だよ。

 このゲームで一番楽しいのは採掘だからね」


 採掘採掘って言っているから、ドワーフの種族転生条件は採掘に関係している可能性があるな。

 種族転生に関する情報を手に入れられたのは思わぬ収穫だ。


 

 そんなことを思いながら石動故智の首もとを狙い、包丁で振り下ろすが先程と同様にピッケルでガードされてしまった。


 「この強化された筋力があれば、後出しのガードでも問題なく追いつけるし、弾けるよ。

 守りならコッチは君に負ける気はしないね」


 ほう、相当守りの戦いに自信があるようだな。

 名前スキルも守りに関するやつだったし、あれは石動故智のパーソナリティーを具現化させたスキルなのかもな。

 発動条件もこいつの合わせたやつっぽいし。




 ……ってことは、【名称公開】はボマードちゃんのパーソナリティーを具現化させたスキルってことになりかねないな。

 自己犠牲なのか、他人の足を引っ張ってるのかどの辺を汲み取ったのかは分からないが推測としてはありえそうだ。


 「もう一回いくよ。

 スキル発動、【スマッシュ】」


 再度土色の光に包まれたピッケルを振りかざしてきた石動故智。

 ガードするだけで吹き飛ばされるスキルなら当たるわけにはいかないぞ!


 こっちは回避するしかない。

 だが、このまま下がるだけだといつか当てられる。


 なら……

 スキル発動!【天元顕現権限】!


 【天元顕現権限】を発動した俺の背中から勢いよく黄金色の翼が生えてきた。

 そしてそのままスキルチェインまで繋げていく。




 【スキルチェイン【天元顕現権限】【渡月伝心】】




 【追加効果が付与されました】




 【スキルクールタイムが増加しました】



 そして、黄金色の翼から溢れる力を【渡月伝心】に乗せると、今まで思念しか送れなかったゴミのようなシステムサポートスキルが形を変えて、包丁の先に黄金色の光が集う。


 そして、集った光が一度拡散し、石動故智へと迫っていく。


 「羽が生えるなんてギアフリィみたいな面白いスキル持っているんだね。

 でも一緒に放ってきたこれ、伝播の力だよね。

 ……それならこれをぶつけてみるよ。

 スキル発動、【月下心裏】」

 

 石動故智がスキルを発動すると、土色の光が石動故智の周りを覆い【渡月伝心】の光が迫ってくるのを打ち消して消滅させていっている。

 

 くっ、また防御に関するスキルか!

 そのままこちらに向かってくると思ったが、身体の動きが完全に止まっている。

 デメリットはスタン状態っぽい。


 「同じ月虎を倒して手に入れたスキルなのにどうして性能が違うのか不思議だよね」


 棒立ちの石動故智が語りかけてくるが、俺は首を傾げるしかなかった。

 

 月虎?

 たしかに虎の姿の時もあったが、兎がメインだっただろ?


 「……いや、始めから最後までずっと虎だったよ。

 これは次元の違いでスキルも変わるわけだね」


 どうやら、似たようなレイドボスは倒したみたいだが、その違いで手に入れられるスキルも変わってくるみたいだな。

 蛇腹剣次元は包丁次元と同じ【渡月伝心】だったが、聖獣だからと言って同じスキルをくれる訳じゃないらしい。





 






 「……防がれましたか。

 ロッケにしてはまあまあやりますね。

 それなら攻撃を変えます、これならどうですか。

 スキル発動!【花上楼閣】!」

 

 「だからそれが甘いって言ってるんじゃない!

 その実力の伴ってない上からの物言いは慢心のもとになるわよ!

 だから、それも止めてあげるわ!

 スキル発動!【水流万花】!」




 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 次元によって手に入れてるスキルがバラバラなようですね 水流万花は蛇腹剣次元にあったはずですし [気になる点] 伝播の力を止めるっていうことは周りの力場の固定かな ロッケが分かるのはまだしも…
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