276話 深淵細胞のデメリット
「それで、アルベーを倒したとき深淵細胞を手に入れることはできたようだな?」
えっ、なんでわかったんだ?
俺まだ伝えてなかったよな?
「お前の身体を流れる力の数が増えておるから、ここに来たときから分かっておったわ。
これで三つ目の深淵細胞だが、身体の調子はどうだ?」
ん?別に何も問題ないな。
そもそも、スキルを手に入れるのと変わりないんだから身体の調子が変わるわけないが。
「……そういえば話していなかったな。
深淵細胞は底辺種族にとっては有害な細胞なのだぞ?」
……それマジですか?
俺そんな有害な細胞を3つも取り入れてるんだが……
「深淵細胞を取り込むか選択を迫られなかったか?
その時にデメリットがあるということを伝える我の声が聞こえるはずなのだが」
んんん?
いや、そんな声聞いたことはないな。
【深淵纏縛】を手に入れるきっかけになったスキルチェインの時は、そんな感じの声を聞いたが、深淵細胞は自動的に身体に取り込まれたぞ。
「そんなはずは……
いや、お前はability【会者定離】を定着させていたのお。
それならば知らなくとも無理もないか」
ここでability【会者定離】が話題に出てくるとは。
あの厄介で意味不明なability【会者定離】が深淵細胞を手に入れるのとどう関係があるんだ?
「あのabilityは他者を拒絶する反面、一心同体となるものを拒まず受け入れる性質があるからの。
時に次元の摂理さえ曲げてしまうと聞く。
それに、お前は元々深淵適正が高いのも作用しておるな。
それもあって、深淵細胞を数多く取り込んでも問題が無かったということであるな。
【Ж細胞】【P細胞】【Б細胞】と種類を増やしていることは我としても誇らしいぞ」
いつの間にかability【会者定離】の恩恵を受けていたのか……
今や俺の常套手段となっている【深淵顕現権限】も深淵細胞が無かったら使えないし、初めてこのabilityに感謝したわ。
でも、深淵細胞を身体に取り込むと起きるデメリットってなんだろうか。
「一つは前にお前へ説明した気がするがのお。
励起させた細胞に意識を乗っ取られることであるな。
お前の前に言っていたジェーライトの力を取り込んだプレイヤーも既にその傾向にあるであろう?
このデメリットは共通のものだ」
ボマードちゃんのことだな。
あいつはもはやジェーが身体を使った方が強かったりするので、デメリットというかメリットかもしれないが……
「今はまだそうかもしれぬが、進行が進むと【深淵顕現権限】を使っていないときでもジェーライトの意識が出てくるようになるであろう。
侵略、寄生が主な役割のジェーライトの細胞を励起させているのなら尚のことその傾向にあるであろうな」
まあそれも一興だな。
だが、俺の場合はそのデメリットは全く出てきてない。
前にルル様に言われたが、心配するだけ無駄っぽい。
「他にはステータスにデバフがつく場合や、状態異常が常についたままになるもの、スリップダメージが発生するものなどあるな」
その辺が常に発生するってわかっていたら俺だって深淵細胞は受け入れなかっただろうな。
ボマードちゃんの【名称公開】デバフボディーを見たことがあるやつなら皆そう思うだろう。
「ステータス異常以外にも数多くのデメリットの種類が存在しているのが特徴である。
深淵細胞の種類と、プレイヤーの相性でどんなデメリットが発生するのかは変わってくるようであるな」
そのデメリットガチャみたいなのやめて欲しいぞ……
うかつに他のやつに勧められないじゃん!
「我の力は高めるものではなく、堕とすものである故に仕方がないな。
だからこそ、我の力を手に入れた者も同様に堕ちていくのは自然の摂理とも言えよう!
もちろん、デメリットに見合った力は発揮されるのだがの。
お前も多用しておるから、どれだけ有用なものか分かっておろう」
言われるまでもなくそれは分かっている。
発動のデメリットもそれなりに重いが、ジェーライトの尻尾やルル様の翼は使いまくってるくらい頼りがちだ。
レイドバトルや次元戦争で使わない時は無いレベルで欠かせないものとなっている。
「今回の【Б細胞】もジェーライトの時と同様、別のプレイヤーが手に入れている可能性もある。
そやつを見つけた場合、どのような異常が起きているか確認してみると良いな」
そうするか。
面白いデメリットを持っているかもしれないし。
ボマードちゃんのような人格乗っ取りとか、それに準ずるやつだったら見ごたえがありそうだ!
完全に物見遊山のつもりですね。
問題解決する気は無さそうです。
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