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269話 ノーガードバトル

 まあ、マシといっても、全員二重のデバフをくらってはいつくばっているのは変わらない。


 【アルベー=クシーリア】は【バットシーフ】後輩に目をつけて、這いつくばっている怪盗を踏みつけようと足をあげ、そして振り下ろした。


 「俺っちここまでッスか!?」


 悲鳴をあげる俺の後輩。

 それを助けに行けるものはおらず、そのまま死に戻りするかと思われたが……

 

 「ワタクシのトランポリンはスキルのお陰で身体を使わなくても出せますわよ」


 【トランポリン守兵】お嬢様がスキルによって生み出したトランポリンによって【バットシーフ】後輩に足が触れる直前に守られた。

 そして、トランポリンを力いっぱい踏んでしまった【アルベー=クシーリア】は空中に放り出された。


 飛ばされないように翼をはためかせようとしているが、それは致命的ミスだ!

 左羽は先ほど俺の【フィレオ】によって切り飛ばされたんだぞ?

 それを忘れるとは情けないレイドボスだ。

 


 そして、吹っ飛ばされた【アルベー=クシーリア】は空中の何もないところに叩きつけられて落下していった。

 壁にぶつかって落ちたような感じだったが……?



 あっ、偶然下にいたモブプレイヤーが潰されて死に戻りしてる……かわいそう。


 「さっき発動していた役職の効果ではありませんこと?」


 あっ、アリーナチャンピオンの権限の影響か!  

 俺から離れすぎた結果、システムに無理やり移動を止められたんだろう。

 あいつのクラフトマイスターの権限が発動する距離よりも、俺のアリーナチャンピオンの権限の範囲限定の方が範囲が狭かったようだ。

 不幸中の幸いってやつだ。

 

 

 無理やり落下させられた【アルベー=クシーリア】は激突のせいで、大ダメージをうけたようだ。

 おいおい、俺たちが与えたダメージに匹敵するくらい負傷しているぞ……

 ラッキーと喜んでいいのか、俺たちの弱さを嘆けばいいのか判断に困るところだ。



 いや、冷静に考えると、デバフが重ねがけされているから防御力が激落ちしているからか。

 いくらレイドボスでもステータスが下げられまくっていると、あれだけでもダメージが増大してくれるらしい。



 だが、デバフで被害を受けているのは何もレイドボスの【アルベー=クシーリア】だけではない。

 ダメージを与えられたのはいいが、俺たちは依然として動けないままだ。

 ここから動けるようにするには……!!




 俺には胸元に隠している二枚目の【タウラノ】式神をなんとか取り出して投げ、出現させた。


 「妾、二度目の登場でおじゃる!

 ……って、この状況どうなっているでおじゃるか!?

 何故、底辺種族たちが這いつくばっておるのでおじゃる!?」


 あのカラスがこっちが付与したデバフを全員に共有化させてきてな……

 レイドボスなら動けるらしいが、俺たちはこの有り様だ。


 俺は重力に逆らうのが精一杯の手で【タウラノ】に手を振りながら、そう伝えた。


 「底辺種族どもは情けないでおじゃるな……

 仕方がない、妾のスキルでバフをかけて動けるようにするでおじゃるよ!

 スキル発動!【六根清浄急急如律令】!」


 【タウラノ】は呪符を生き残っている俺たちに投げてバフをかけていく。

 レイドボスのバフの力はやはりと言ったところか、とても強力でデバフを受けた分を覆すほどの力が漲ってきた。

 これで辛うじて動けるようになったか。

 というか、このレイドバトルが始まったときよりも強い補正かかってない?


 「ステータスがマイナスに近い状態でおじゃったから、妾のスキルの出力を上げて対応したでおじゃる。

 平常時にここまで出力を上げると、お主らの身体が耐えきれぬ故、セーブしておったのでおじゃる!

 それに、お主らの数も減っておるから妾の力を分散させる必要が無くなったのでおじゃるよ!」


 なるほどな?

 ともかく、身体が動くようになったから行動開始だ!


 「行くッスよ!

 ストックスロット1、ギルドマスターさんの息吹ッス!」


 【バットシーフ】後輩は大きく息を吸い込み胸を膨らませた後、口から蒼炎の力の奔流を口から吹き出し【アルベー=クシーリア】に直撃させた。

 これはクリーンヒットだ!

 

 だが、これに対抗するように【アルベー=クシーリア】は翼に炎の渦を纏わせ始めた。

 ……っ!?


 ここに来てまた旋回攻撃だと!?



 炎の渦が模様のように翼に貼り付くと、【アルベー=クシーリア】は三本足に力をため始めた。


 来るぞ!?



 俺は攻撃の軌道をあいつの体勢から判断してジャンプして回避した。

 すると、その直後、地面に魔方陣が連続錬成されていき目にも止まらぬ速さで駆け抜けていった【アルベー=クシーリア】が足跡を残すように火柱を発生させていった。


 そういうカラクリだったのか……


 俺が気づいた時には竜の息吹を止められない【バットシーフ】後輩と、カウンターを狙おうと構えていた【短剣探険者】が炭と化していき、粉々に砕け散っていった。


 

 おいおい……

 もうほとんどプレイヤー残ってないぞ……

 本当に勝てるのか!?







 

 やはり底辺種族ではダメでしたか……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] あの朱雀、プレイヤーを直接燃やしてるんじゃなくて魔法陣で焼いてたのか デバフのおかげで相手も弱まっていますがこっちにも共有されてるのが辛いですね 果たしてまだ逆転の目はあるのか [一言] …
[良い点] もうポリン嬢とペグ忍者くらいしか残っていない…? レイドバトルは一度でも対処できないと一瞬で消炭になってしまうのが恐ろしいですね
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