256話 決戦前、クランメンバーとの交流
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は決戦の日だ!
というわけで、やってきました岩山エリア……【堅牢剣山ソイングレスト】。
妙に物々しい名前のエリアには早朝にも関わらず数多くのプレイヤーたちが集結していた。
「4つのクランメンバーが集まったらこうなりますよね!
いや~、壮観ですよ!」
ボマードちゃんが近寄りながら話しかけてきた。
まあ、4つって言っても……
「ワシたちのクランは四人しか居ないがな!!!
人数で考えると明らかに他のクランに相乗りさせてもらっている形だな!!!」
【槌鍛治士】の言う通りだ。
俺たちの次にクランメンバーが少ない【トランポリン守兵】お嬢様のクラン【お屋敷組】ですら20人は来ているからな……
ましてや、ギルドに所属しているメンバーを片っ端から集めて作ったと思われる【風船飛行士】の【冒険者の宴】や、この次元の最大勢力である【検証班長】の【検証班】は所属メンバーがその倍以上いるからな……
どう考えても俺たちのクランは場違いに思えなくもない。
「でも、オレっちたちは一芸に特化したクランッスからね!
数で負けても勢いでは負けないつもりッスよ!」
その意気だ、【バットシーフ】後輩!
こういうときの後輩ムーヴは心が落ち着くな。
「おっ、そうだったそうだった……!!!
お前たちに渡しておくものがあったのだったな!!!」
そう言って俺とボマードちゃんには鉄球のようなものをまず手渡した。
これは見覚えがあるな。
「ウプシロン討伐の時にも渡したものだからな!!!
この鉄球は深淵種族のスキルを使うときに必要な生け贄の代わりになるものだ!!!
貴重なものだが、お前たちのためなら何度だって作ってるやるから遠慮なく使うといい!!!」
サンキュー!
この鉄球の製法とか仕組みとか全く知らないが、いくら【槌鍛治士】とはいえこんなものを簡単には作るのは出来ないだろう。
レイドボス相手に【深淵顕現権限】を使うのはほぼ確定しているから、非常に助かる。
流石は俺の相棒、必要なものを分かってるな!
「誉めてもらうのは嬉しいが、まだ渡すものはあるぞ!
【包丁戦士】からもらった炎に関する耐性を付与するアイテムを組み合わせて作ったリストバンドだ、ボマードちゃんと【バットシーフ】はこれをつけておけ!!!」
リストバンドにしたのか。
って二人にだけかよ!?
俺の分は?
「こらこら、そんなに慌てるな!!!
もちろんお前の分もあるぞ!!!
特別製だがな!」
そう言って近づいてきた【槌鍛治士】は俺の頭に手を伸ばしてきた。
これは、噂に言う頭ポンポンってやつか!?
……そう思ったが、俺の頭の後方にある髪留めリボンを外しただけだった。
なんだよ、思わせ振りなことしやがって。
俺からリボンを外した【槌鍛治士】は自分の道具入れから刺繍のようなものと、針を取り出して、リボンに刺繍を縫い付けはじめた。
刺繍は燃える炎の羽のような模様で赤と黄色のコントラストが素晴らしく、元々赤色のリボンに違和感なく縫いつけられた。
見事なものだな?
「当然だ、このリボンを誰が作ったと思っている!!!
……この刺繍には凝縮した対炎素材がこれでもかというくらい使われている!
レイドボス相手にどれくらい通用するのかわからないが、お前の助けになってくれることを祈るぞ!!!」
俺はさっそく刺繍のついたリボンを頭につけ直す。
どうだ、似合ってるか?
「まあ、見た目には合っているな!!」
そ、そうか……
それは置いておくとして、【槌鍛治士】、どうしてお前はここまでやれるんだ……
実力もそうだが、心意気とか尋常じゃない気がする。
まあ、俺と一心同体になるにはこれくらいのやつじゃないと成り立たないよな!
「【包丁戦士】さんのその根拠のない自信は何処から沸いてくるのか不思議ですね……
いや~、でもそんなところが好きなんですけど」
「先輩って自己評価基本的に高いッスよね?
得な性格ッスよね……」
まあ、低いよりはいいだろ?
それよりも、【バットシーフ】後輩はabilityにちゃんとストックしてきたんだろうな?
前に俺がストックさせてやったやつもあるが、今どんなスキルやモーションがストックされているのかは本人しか知らないからなぁ。
「それはバッチリッスよ!
この決戦に備えて飛行系のやつとかストックしておいたッス」
それなら安心だ。
今回の標的は上空の相手だからな、それがないと話にならない。
「がははは!!!
それはどうだろうか!!!
ワシと【検証班長】の秘策もあるからな!!!
期待しておくのだぞ!」
【検証班長】が言ってた秘策にこいつが絡んでいるのか。
そういえば、少し前からやけに絡んでいると思ったが、裏でこそこそ何かやってたとは知らなかった。
くそっ、【検証班長】抜け目がないやつだな。
抜けていたり、抜けていなかったりする……
【Bottom Down-Online Now loading……】




