253話 ムカデのはなし
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい!今日も元気にログイン!
今日は山間部エリアの狐耳ロリ陰陽師に谷底エリアの調査について報告するぞ!
本来、【検証班長】よりも先にこっちに行くべきだったかもしれない。
今となっては後の祭りだが。
「ほう、もう調査してきたのでおじゃるな!
感心感心でおじゃる!」
ありがとな!
お前のおかけで何か面白いものを見つけられたわ。
「ほう、おもしろいものでおじゃるか?
何を見つけたのか言うのでおじゃる!」
興奮して俺にグイグイ迫ってきた狐耳ロリ陰陽師の【タウラノ】。
そんなに気になるのか……
「当然でおじゃる。
妾ではあの谷に近寄るだけで精一杯でおじゃるからな……
すぐ近くにあるのに調べられない目の上のたんこぶみたいな場所のことをようやく知れるのでおじゃる!
あの黒い霧何処からどうやって出ているのかも気になるでおじゃるよ……」
そういう事情だったか……
だが、深淵種族適正のある俺は全ての関門をスルーできたから、その辺の質問には答えられる。
あそこに居たのは【蕭条たる百足壁】っていうばかでかいムカデのレイドボスだ。
もう察しはできていると思うが、おそらく深淵種族だな。
「やはりでおじゃるか、結界の術式に黒い霧を組み込む際にその類いのものだと思っておったでおじゃる。
じゃが、まさかあの大ムカデが谷底に潜んでおったとは驚きでおじゃる」
ん?
【タウラノ】はあのデカブツムカデのこと知ってるのか?
「当然でおじゃる!
聖獣深淵対戦で何度も辛酸を舐めさせられた相手でおじゃるからな……
あやつを退けるためにミューンと妾、そしてクシーリアの三体が動員することになったでおじゃる」
レイドボス三体でようやくだと……!?
それって規格外に強いってことなのか?
「強いと言うよりは厄介でおじゃるな……
そうでおじゃるな……聖獣のウプシロンを知っておるでおじゃるか?」
知ってるぞ。
あの棘亀は攻撃が全然通らなくて倒すのにとてつもない時間が必要だったな。
まさかレイドボスを倒すのに1日ぶっ通しでゲームをさせられるとは思ってなかった。
「そのウプシロンは防御の力を次元天子から与えられているからこそ、固いのでおじゃる。
じゃが、攻撃はそこまで強くなかったでおじゃろう?
大ムカデもその類いのものでおじゃる。
あやつからの攻撃をいなすことは出来ても、妾たちから攻撃を通すことも困難でおじゃったな……」
ああ……そういうレイドボスなのね……
あのデカブツムカデを倒そうとするなら、俺かボマードちゃんが単騎でとてつもない火力の攻撃を繰り出せるようにならないと勝ち目はないってことだな。
それか、プレイヤー全員に深淵適正をつけて突入してタコ殴りにするかだが……
どっちも現実的じゃないな……
深淵種族ってどうしてこうも倒すのが面倒なんだ……
ジェーとか倒したけど、なんか色んなところで生きてたり、意識が残ってたりするから完全に倒せたわけじゃないんだよなぁ……
倒されてからプレイヤーにまで寄生してくるレイドボスだし。
この大ムカデは城壁が迫ってくるような感じなのかもしれない。
迫ってくるだけなら脅威じゃないが、その程度が過ぎると害のあるものになる。
あいつの能力とか攻撃方法とかはまだ分からないが、本格的に戦うのなら大前提として高火力ダメージソースがいるというのだけはわかった。
「防御力と体力だけはやけにあるでおじゃるからな……
それだけだと押しきれない可能性は高いでおじゃるよ」
じゃあどうすればいいんだよ!
俺は訳もなく逆ギレした。
「んにゃっ!?唐突に声を荒げないで欲しいでおじゃる……
そうでおじゃるな……特殊な攻撃ならもしや……」
特殊な攻撃?
「それは教えられないでおじゃる。
ここからはプレイヤーであるお主らが考えていくのでおじゃる。
妾たち聖獣では思いつかないものや、出来ないものをできるようにするのが底辺種族たちの強みでおじゃる故にな」
そこは教えてくれないのか。
だが、なんとなく目指すべきところは見えてきた。
今はどうしようもないが、今後手にはいるスキル次第ではなんとかなるかもしれない。
まあ、そのためにはひたすらレイドボスを倒していかないとダメなんだがな。
レイドボスを倒すためにレイドボスを倒すというループに陥りそうで怖いが……
どこかで妥協点を見つけることになりそうだ……
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