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250話 デカブツムカデ

 俺と、盾を振り回しながら歩くボマードちゃんは谷底に広がる道を進んでいる。


 歩くこと一時間、少し疲れが見えてきた頃に今までの光景とは変わったものが現れた。

 黒い霧で出来た壁のようなものだ。


 見た目はその辺りで漂っている黒い霧と同じなのだが、濃度の影響なのかくっきりと壁のようになっているように見えるのだ。

 手で触れようとするとするっと入れてしまったが……


 「本当ですか?

 いや~、妙なものもあったものですね!

 私も触ってみますよ!」


 黒い霧の壁を触るため一度盾を地面に置き、両手で黒い霧に触れる。


 ……触れられたな?

 俺の目の前でボマードちゃんは黒い霧の壁をペタペタと触っている。


 「普通に触れますよ!

 いや~、おかしいですね?」


 再確認のために俺がまた触ってみようとするか、手だけすり抜けた。

 これは、やはり深淵関係の何かのフラグが立っているかどうかが鍵なのかもしれない。


 ……そうだ、試しにだがその盾を持った状態で触ってみてくれ。


 「訳の分からないことを言いますね?

 いや~、盾を持ったくらいで変わるわけないじゃ……ないで……すか?

 えっ!?」


 再度マンホールサイズの盾を装備したボマードちゃんが黒い霧に手を伸ばすとするっと通り抜けることができた。


 もしや、前にルル様が言っていた深淵奈落に入るための条件が関係しているのか?

 深淵種族か、深淵適正が異様に高いか、深度が規定の値に達しているか、八卦深淵板を持っているかだったな。


 

 つまり、この盾を持っているとどれかの条件を満たした扱いにできるのかもしれない。

 八卦深淵板と同じ扱いっていうのが一番有力だけどな。


 それはともかく、これで二人ともこの黒い霧の壁を通り抜けることができるようになったんだ。

 さっそく行ってみようじゃないか!


 「ちょっ、本気ですか!?

 いや~、【包丁戦士】さんが行くならついていきますけど……」


 よし、問題ないな!

 そうして俺たちは黒い霧の壁へと突っ込んでいった。








 黒い霧の壁を通り抜けると、そこには大きな広間が出来ていた。

 部屋自体はめちゃくちゃ広いな!

 部屋の先が見えないくらいだし、下手すると町一つ分くらいあるんじゃないかと思えてくる。


 だが、部屋は大きいものの、俺とボマードちゃんは圧迫感を感じている。

 なぜ、そんな大きな部屋で圧迫感を感じているのか、それはこの光景を見れば一目瞭然だろう。


 「なんでですかぁぁぁぁぉぉあぁぁぉ!?!?

 いや~、こんなモンスターがいるなんて聞いてないですよ!?」


 俺たちの目の前に現れたのは、町1つ分くらいあるこの広間を埋め尽くすくらい巨大なムカデだった。




 【Raid Battle!】



 【蕭条たる百足壁】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、レイドクエスト発生しました。

 多分俺たちがお初なので、次回の実績照会のクエスト欄に追加されるだろう。



 それにしても、めっちゃデカイムカデだな……

 足1つ1つから黒い霧のようなものが発生していることから、谷の上まで上がってきている黒い霧はこのムカデから発生しているものだと思われる。

 実際、これでもかというくらい噴き出てきているからな。

 まるで煙幕でも撒き散らしているかのようだ。



 そして、レイドクエスト名だがジェーのクエスト名に似てるな。

 あいつは【荒れ狂う魚尾砲】だった。

 様子を表す言葉と身体の部位がクエスト名に入っているから、ルル様の配下である深淵種族の特徴なのだろう。


 ……なおのこと、岩山エリアのカラスが深淵種族っていうのが理解できなくなったが……

 あいつ、【クシーリア=ドーヂィ】のクエスト名をほぼそのまま流用したクエスト名だったし、何か理由でもあるのかもしれない。



 どっちにしても、この巨大ムカデが深淵種族っていうのなら俺の関係者みたいなものだ。

 デカさにビビったが、話しかけない訳にはいかないだろう。


 

 おーい、デカブツムカデぇぇぇぇぇえぇ!

 お前、深淵種族だろぉぉぉぉぉぉ?



 【Щ/ЩЩЩЩ^ЩЩЩ#ЩЩЩ」ЩЩЩЩ〇】



 唐突にデカブツムカデの顔のカットインが入る。


 

 相手がでかすぎるため、声を張り上げて声を届かせようとしたら、こちらに気がついたのか足が動き始めた。


 おっ、こいつ動くぞ!?


 俺は身構えていたが、足から発生している黒い霧をさらに噴出させて身を霧の中へ隠した。

 ちなみに、足を動かしただけでこのデカブツムカデの図体そのものは動かなかった。


 おいおい、そのまま引っ込む気かよ!

 俺だってせっかくここまで来たんだ、手ぶらで帰るつもりはないぞ!



 「ちょっと待ってくださいよ!?

 いや~、私じゃ【包丁戦士】さんに追いつけないですね~」


 俺はボマードちゃんを後方へ置き去るように駆け出し、大量噴出された黒い霧の中に突入した。







 グシャリ。


 突入した瞬間、俺の身体が空き缶を潰した時のような音を立てて圧縮され、思わず口から苦悶の声が出そうになった。

 そして、その直後身体が光の粒子に代わり死に戻りすることとなった……











 潰れたり、潰れなかったりする……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 持ち運びできる深淵板と考えると便利なのかな 包丁戦士には必要ないですが他のプレイヤーが行ける場所が増えますし まぁ他のプレイヤーが手に入れられるかはまた別ですが [気になる点] 百足壁、名…
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