25話 トッププレイヤータッグマッチ!
先ほど【釣竿剣士】にアドバイスしたことを忠実に試しているみたいで、ルアーの代わりについている鉄球で執拗に白虎部分を殴打しようとしている。
しかし、何度攻撃しても硬化した尻尾の守りが突破できずに失敗に終わっているようだ。
「むむむっ、本当に尻尾の守りが厳重になりましたね……
せめて1匹減ってくれたら突破できそうな気がするのですが……」
「だろうな、俺もそう思う」
「【包丁戦士】さん!?
後方で観察していたハズでは?
急に出てきて驚いたんですけど……」
いや、それいつも君がやってることだから……
今回は意趣返しということだな。
「で、俺が前線に出てきた理由だが単純に尻尾の守りを【釣竿剣士】1人で突破するには荷が重いと思ったからだ。
周りにいる【モブ】たちももう5人くらいしか残ってないし、人手も足りないだろ?
白虎部分を殴打するために俺が尻尾部分を引き付けてやるから、やってくれるよな?」
「何をですか?」
「当然、白虎部分を厳重に守る理由の検証だ!
後ろにいる【検証班長】が知りたくてうずうずしているぞ」
「ああ……それは納得ですね。
とりあえず了解ですよ!
沼地エリアぶりの本格タッグでいきましょうね」
「おっし、まかせろ!」
俺の声をきっかけに【釣竿剣士】は左側に、俺は右側に移動を開始した。
右にあるのが白虎部分の頭、左にあるのがウナギ部分の尻尾だ。
真逆の方向から攻撃することで守りが硬い尻尾の防御行動を制限する作戦だ。
「ますは、下段からの切り上げっ!」
構えていた包丁を右側の腰部分から切り上げる。
それに釣り上げられたのは尻尾の内一匹だ、一匹でも来てくれたら充分。
「くっ、やっぱり見た目以上に硬くなっているな……
んっ、でも少し切れ込み入った」
やったぜ。
もしかしたらこの尻尾、打撃には強いけど斬擊に弱いのかもしれないな。
魚の鱗を取る感覚で切ってみたら案外サクッて感じがしたし、一撃でこれなら案外いけるのでは?
「せっかくだし、もっと切り込んでみるか」
地面を蹴って飛び上がってからの上段切り、尻尾の付け根を狙っての下段切り、尻尾の形に合わせて切り裂く水平切りを連続で繰り出していく。
その間にも尻尾での攻撃がこちらに向かってくるが、デバフと性質が変わったことによる重量化で1匹だけならなんとか対処できる。
もちろん、包丁の腹を利用した衝撃の受け流しが失敗したときの破壊力を想像したくないくらい受け流すだけでもとてつもない重さが伝わってくる。
「……私の釣竿一刀流ほど派手ではないですが、その包丁を使った受け流しは常人の技ではないですよね……?
ほとんどの確率で攻撃を刃物で受け流して切り返す様子はオートカウンターに見えなくもないですね!」
なんか目を輝かせて喜んでいる。
いやいや、【釣竿剣士】みたいにリアルスキルを超技術としてゲームシステムに認められてるわけじゃないし他の人でこれくらいならできるだろう。
「いや、それは当然じゃないですね……どう考えてもとんでも技能ですよ、それ。
私の場合は技の見映えがいいのでスキルとして認められやすかったのでしょう。
技の名前もありますし、称号獲得の目安になりやすかっただけです、よっ!」
俺を慰めながらもちゃんと攻撃しているのは流石だ。
どこぞの【ペグ忍者】も見習ってほしい。
俺たちの連携に痺れを切らしたのか、ジェーのカットインと同時に咆哮が響き渡る。
【≠^〇^∠#†∠^≠「「#≠#Ж「ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ】
これは横凪ぎ極太レーザーのカットイン!?
【釣竿剣士】、任せた!
「任されました、釣竿一刀流【渦潮】っ!」
今回三度目のトワリングのような釣竿捌きで凶悪な極太レーザーを千切りにする。
ただ、先程と同様に近くにいた【モブ】たち5人が灰と化した。
これで残っているのは【包丁戦士】【釣竿剣士】【検証班長】【ペグ忍者】【モブ検証班】の合計5人になってしまっている。
レイドバトル開始前は30人いたのに、もう6分の1になってしまったのだ。
一応、第2段階まで追い込んでいるし主戦力を温存しているのでまだ勝機は消えていないのが救いだ。
「おっ、勝負を決めに来たかっ!?」
横凪ぎ極太レーザーを終えたあと、【釣竿剣士】は先ほどの位置に戻っていたがそちらではなく俺に対して2匹同時に尻尾を向かわせてきた。
これはかなりキツくなるぞ……
だが、これさえ凌げば【釣竿剣士】がどうにかしてくれるはず。
1匹目を包丁の腹で受け流し、2匹目はかわしながらさっきから切れ込みを入れているところに重ねて切れ込みを追加していく。
ヒット&受け流し&アウェイだ。
そこ、ネームがださいとか言うな。
この繰り返しをしていく中で【釣竿剣士】は今まで全く攻撃を通すことができなかった白虎部分に殴打を加える。
そして、20回目の攻撃が当たったとき、それは起こった。
白虎部分の体がフラフラし始め、地面に倒れたのだ。
これは……
「特殊ノックバック!?
今が好機だっ、全力でいくぞっっっ!!!」
ここが天王山だ、全てを出しきるっ!
真面目に戦っている後方で、花飾りの少女を見てうっとりしている頭巾の少女が居たとか居なかったとか……
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