241話 正義論
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日はちょっと疲れ気味にログイン!
最近なんかレイドボス関係ばっかりで疲れてきたな……
いや、そういうゲームだからって言われると何も言えないんだが、俺としてはモンスターと戦うよりもPVPのほうが好きだからなぁ……
そう考えると闘技場イベントは良かったな。
俺も満足してプレイヤーを倒し続けられたし、色々なやつと知り合えたからな。
だが、一番やりたいのはシステムを何も使用せず問答無用でプレイヤーをキルし続ける辻斬りだな。
俺のプレイヤーキラーとしての闘争心と加虐心が今まさにそれを望んでいる。
というわけで、やって来ました草原エリア。
プレイヤーキラーとして活動するならやっぱりここだよな。
プレイヤーがそれなりに来る割に施設が少ないエリアだから、獲物が沢山ってわけだ。
建物が多いと、どうしても人が分散していくから新緑都市アネイブルだとあんまり楽しめなかったりするから、息抜きにはここでプレイヤーキラーとして遊ぶのに限るな!
おっ、あんなところにいかにも初心者プレイヤーと言わんばかりの群れがあるな。
ちょっと近づいてやるか。
「げげっ!?包丁の狂人だ!」
「なにそれ?
あの娘可憐な見た目なのに、そんな名前なのか」
「ちげーよ!
俺たち第3陣プレイヤーがログインしたときに現れた初心者狩りのプレイヤーキラーだ!」
「マ?」
「そいつの言う通りだ。
俺もその時の大虐殺に巻き込まれた1人だから……」
「あっ、俺も俺も!」
「マジか……折角可愛いアバターなのに怖すぎだろ……
大人しく姫プでもしてたらいいのに……」
「ワイ、大虐殺の被害者。
あんな可愛い娘に殺されてしまって性癖が歪んだ模様。
【包丁戦士】ちゃん、ワイを滅多刺しにしてほしいでござる!」
「……こいつも大変だな……」
なんか近づいていると俺のことを話し始めたみたいだったから、ゆっくり進むことで話を盗み聞きしていたが、既に初心者プレイヤーたちにも俺の悪名が広まりつつあるようだ。
何も知らない羊ちゃんたちが減っていくとやりにくくなるから、あまり好ましくないが、自然の摂理みたいなものだから仕方ないね?
ということで……
「殺戮パーティーの始まりだあぁぃぁぁあぃぁぁぁぁああ!!!
パーティーの料理の材料はお前らだぁぁあぁあ!!!
大人しく調理させてくれよ?」
ふふふ、やっぱりテンションが上がってしまうな。
「うわっ、やっぱりプレイヤーキラーじゃん!」
「だけど、俺たちもあの時とは違う!」
「スキルも手に入れたし迎え撃つぞ!」
「「「「「おー!!」」」」」
ふふふ、仲がいいことで?
だが、そんな仲も俺が物理的に引き裂いてやるぞ!
俺はまずしゃがみこみながら一番手前にいた短剣使いの男の死角に潜り込み、振り返ろうとしている瞬間に首を包丁で切り裂いた。
うん、切り裂いた部分から溢れる光の粒子を浴びて元気が出てきたな!
やっぱりプレイヤーキルは最高だ!
俺が速攻で1人屠ったのを見ると残りのメンバーは一瞬怯えた表情を浮かべた。
「うへっ、プレイヤーキルして恍惚とした表情を浮かべてるじゃん!」
「ワイ、あの笑顔を守りたい侍。
義によって助太刀するでござる!」
いや、お前の助けなんていらんわ!
侍の姿をしたプレイヤーがなんか初心者プレイヤー集団を裏切って俺に付こうとしていたが、普通に邪魔なので背後から袈裟斬りを放って光の粒子に変換した。
「ワイ、【包丁戦士】ちゃんに切られて満足な模様……
あとで掲示板で自慢しておくで……ござる……」
切られて死に戻る寸前にそんなことを言いながら消えていった。
あいつはいったい何がしたかったのだろうか……
まあ、キルできたからいいか。
掲示板で自慢するって言ってたのは気になるがな。
「おい、もう二人やられたぞ。
これってヤバイんじゃないのか」
「慌てるなって、何個かあるスキルを試しうちしてみるぞ!
スキル発動!【魚尾砲撃】だ!」
あっ、ちょっ、おい!
何を早まったのか初心者プレイヤーの一人は【魚尾砲撃】を繰り出した。
急速に身体にエネルギーが集まっていき、それが溢れ出さんと膨張し始めた。
「おおっ!
なんか強そうなスキルじゃん!
これっていけるんじゃないのか!
俺も発動しよっと!【魚尾砲撃】!」
「俺も俺も!
【魚尾砲撃】!」
おいおいおい、お前らそんな危険な使い方するなよ!
制御出来てないだろ?
「……おい、このエネルギー集まってくるのはいいけど止められないんだが?」
「大変だな!?
とりあえず危ないし特攻して引き分けに持ち込むぞ!」
「こうなったらやけくそだ!
うおおおおおお!!!」
やけくそになった初心者プレイヤーは全力で俺に向かってきた。
来るな来るな!!!
爆弾になったお前らにもう用はないってば。
だから来るな!!!!
俺の制止を聞く気配もない初心者プレイヤーは俺の一メートル圏内に潜り込んできた。
俺はそこから抜け出そうとし、なんとか【魚尾砲撃】の爆発範囲から抜け出した。
その直後に爆発した。
あっ、その人数で爆発されると連鎖反応起こすんだった……
通常の【魚尾砲撃】の範囲から抜け出して安心していた俺だったが、【魚尾砲撃】は複数人数で使用すると威力と範囲が増えるということを失念していた。
そのせいで爆発に巻き込まれ、身体が光の粒子に変わっていく……
くそっ、こんなやけっぱちに引っ掛かるとは。
そのまま俺は死に戻りを……
すると思ったが、その直前に矢が俺の胸と胸の間に突き刺さった。
初心者プレイヤーの中に弓矢使いは居なかったはず……
ってことは……
俺が死ぬ間際に見たのは不機嫌そうなおじさん、【短弓射手】だった。
こいつ、最初から漁夫の利を狙ってやがったな!?
おじさんらしい狡猾な手だ。
最後の矢が後押しとなり、俺は即座に死に戻りした……
【ワールドアナウンス】
【【ユニーククエスト 荒野の自由の正義論】clear!】
【【短弓射手】と【荒野の自由】の間に同盟が結ばれました】
【【荒野の自由】が討伐された扱いとして処理されます】
【【短弓射手】により【包丁次元】のプレイヤー全員のメニュー画面に称号装備機能が追加されました】
うわっ、なんか俺が最後の獲物になってしまったのか。
【荒野の自由】、とうとうそこまで力をつけましたか……
【Bottom Down-Online Now loading……】




