2378話 赤ずきんちゃんによる戦力増強
「【包丁戦士】様、お戻りになられましたね!
遠くから見ていましたが、とてもアクロバティックな動きを披露されていて驚きました!
おじ様の色欲状態でもあれほど激しい空中戦は実現できません……
お陰さまで随分と私のいる戦場では楽をさせてもらいました!」
【カニタマ】の黒い触手を振り切って【エラ=サンドレラ】のいる戦場に合流した俺だったが、合流して早々に【エラ=サンドレラ】に労ってもらったぞ!
本当にめちゃくちゃ苦労して抜け出してきたんだから、労ってもらったのは普通に嬉しいところだ。
単独行動していたとはいえ、一応全体への影響力の大きいデバフをかけることが出来たんだから俺がMVPプレイヤーじゃなくてその辺のモブプレイヤーや2つ名持ちプレイヤーだったら、このまま死に戻りしても充分なくらいの働きを終えたって言っても過言ではない。
ボマードちゃんがいい例だな!
「確かに【包丁戦士】様の仰る通りですけど、生き残って戻ってからにはさらに尽力してもらいますね!
まずは私の戦線をさらにいい状態に整えられたらと思っています!」
そして、【エラ=サンドレラ】はちゃっかり俺に助けを求めてきた。
さっきまで俺が余裕を作り続けていたからそこまで逼迫した戦場にはなっていないのは見ても分かるし、【エラ=サンドレラ】の様子を見ても明らかだ。
その上で俺に参戦して欲しいということは何かしらの打開策やきっかけが欲しいってことなんだろうよ。
「ご明察でございます。
この戦線は安定していますけど、安定しているだけです。
微々たるダメージを与えて、安全第一で撤退……これを繰り返しています。
【カニタマ】の行動パターンが変化したり、こちらの指示ミスが発生しない限りは崩れませんがもう一歩踏み出して戦況を好転させたいのです!」
なるほどな。
【エラ=サンドレラ】も役割を果たしているが、その上でさらに上位の活躍をしておきたいってわけだ。
立派な心がけだが、それは本当に戦場のことを考えてだろうか?
俺としては別の意図が透けて見えるんだが……
「ぎっ、ギクッ!?
ソ,ソンナコトアルワケナイジャナイデスカー!
おじ様にもっと誉めてもらいたいとか、そんなことあるわけが……」
ほらほらほら、言わんこっちゃない!
自分の戦線でより大きな戦績を生み出して誉めてもらいたいんだろ!
そんなことだろうと思ってたぞ……
お前の【ロイス=キャメル】への執着も相当だからな……
大体の行動がその意図に繋がると考えておかないと困るくらいにはな!
そして、今回もそれに当てはまったわけだ。
「で、ですが戦況をより好転させたいという気持ちに偽りはないです!
私はこの戦線の最前線指示を任されていますから!
シャルルのように全体にまで気を回す器量はありませんが、だからこそ任されたこの部分だけはきっちりやり遂げたいのです!」
……ふーん、こっちの本音には共感してやろう。
少なくとも力を貸してやってもいいと思えるくらいには真摯な心がけだからな。
だが、功績に囚われて利己的な行動や指示をし始めたら即離脱して別のところへの支援に行くからな?
それを覚悟した上で俺を……【包丁戦士】を組み込んだ戦場の組み替えをしてみろ!
他のところでイレギュラーが起きない限りはしばらく付き合ってやろう!
「感謝いたします!
では基本はポイント1での対応をお願いします。
触手のパリィは【包丁戦士】様の得意分野でしたよね!
出先からすぐに一本の動きを止められるならその分攻撃に回せる人員を増やせるので助かります!」
なるほどな。
俺の特技を見越した配置と戦術をあらかじめ考えていたわけか。
これまで一緒に戦ってきたものの、【エラ=サンドレラ】の指示下で動いたことはなかったので用意されてるとは思わなかったのだが、案外考えていたもんだな。
流石は【ロイス=キャメル】の弟子と言うべきか。
もし俺が指揮下に加わった時のことを頭の片隅では考え続けていたのだろう。
随分と強かなことだな!?
考え続けることはいいことです。
私のようなAIは思考こそが全てですから。
それは外部プレイヤーの冒険者に関してもさほど変わらないはずです。
考える葦とはよく言ったものですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




