2375話 役割分担と嫌がらせ
「これが包丁次元の次元天子の力ですか。
これでも全盛期より弱っているとのことですが、圧巻ですね!?
これまでぼくたちが沼地で戦いつづけていたエネミーたちが一瞬で居なくなってしまいました」
それもこれも俺が【菜刀天子】のユニーククエストをクリアしたからだな!
その【菜刀天子】が使っているリソースも俺が次元戦争を引き起こして集めてきたやつだぞ?
このキモいザリガニエネミー軍団一掃は実質俺の功績みたいなものだ。
感謝しておけよ!
「流石は【包丁戦士】さん。
先生が特に注目しているプレイヤーですね!
先生はユニーククエストのクリアについては苦手でしたからね。
堅実な行動から外れたことをすることで実益を獲得していけるプレイヤーは、一握りしかいないと先生はよく仰っていました。
それを目の当たりにさせられた気分になりますよ」
「匂いは殺戮臭いですが、功績は最上級……それが包丁次元のMVPプレイヤーというわけですね。
おじ様も嫉妬するわけです」
俺が【菜刀天子】を呼び出したことに対して、ステッキ次元の【シャルル=ホルムズ】と【エラ=サンドレラ】が反応してきた。
こいつらの話を聞くだけで俺が【ロイス=キャメル】からどんな評価を受けていたのか容易に想像できてしまう。
「【包丁戦士】さんのお陰で動きやすくなりました。
俺たちはこれから触手への攻撃を開始!
総員、特に変わったことをするのは不必要。
これまで通りの定石で果敢に攻勢!」
……という【海図航海士】の号令で魔海城船アンサンセの乗船メンバーたちが一斉に動き始めた。
最前線に位置しているのは【エラ=サンドレラ】だ。
直近のステッキ次元と包丁次元との戦いで俺と一騎討ちのようなことをしていたが、この場においてはあの時よりもさらに活躍することだろう。
「警戒区域にいるプレイヤーは【エラ】の指示に従って回避してください」
「私にお任せください。
皆さま、2.6.8区域へ回避してください」
【シャルル=ホルムズ】と【エラ=サンドレラ】の連携によって速やかに指示伝達が行われていく。
システム化された動き方によって効率よく行われるそれは【ロイス=キャメル】による指導の賜物だろうな。
「総員、砲門用意!
発射!」
一方で【海図航海士】による指示は単純明快。
船上と海中を行き来しながら【カニタマ】の様子をつぶさに観察して、最適な攻撃タイミングを砲撃担当者へ伝えていっている。
海の中までスムーズに対応できる海エリアのトッププレイヤーだからこその動き方だと言えるな!
船上のメインはステッキ次元の二人、船外と船内を行き来しての警戒は【海図航海士】が行っていて、今回は船が何隻もいることもあっていつもより俺たちに襲いかかってくる触手の数も気持ち少なめになっている。
となれば今すぐ俺が攻撃に赴かなくても大事には至らないわけだ。
それなら前にも試したアレをさっさと実行しておくべきだろう。
そう考えた俺は船内を経由して【カニタマ】の身体へよじ登っていく。
前も【カニタマ】による妨害はあったのだが、俺だけに構っていられるほどの余裕はないのか前回よりも防衛に割かれる触手の数が減っている!
……これならっ、イケル!
剣現せよ、【封地剣マヒク】!
そしてスキル発動!【封印土剣】!
俺は【カニタマ】の身体に【封地剣マヒク】を刺し込んでいく。
すると、アナウンスが鳴り響き【カニタマ】への時限式のデバフが付与されていった。
【エリアアナウンス】
【【絶深海溝の異旧外主】の能力に一部制限がかかりました】
【制限時間10:00:00】
んおっ!?
何かめちゃくちゃ長い時間でデバフがかかったぞ!?
こんなに長くかけられたのははじめてかもしらない……
何が要因なんだ……?
【困惑しているようですね】
【全く、これだから劣化天子は……】
俺が困惑していると【菜刀天子】からのメッセージが届いた。
さては【菜刀天子】、何かを知っているな?
【当然です】
【この私が世界剣種【勅聖剣タイア】のスキル【勅命聖剣】を行使して神威を広げたのですから】
【その恩恵で同等の力を持つ世界剣種の効果が【絶深海溝の異旧外主】へと効きやすくなっています】
【この私の偉大さを噛み締めて戦うことです】
……相変わらずの上から目線の発言だが、実際助かっているから突っ込みを入れるのは止めておこう。
変に止められても困るしな!
……聞こえていますよ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




