2360話 連care
「このタイミングでお嬢さんが来てしまったか。
もう少し包丁次元の戦力を事前に減らしておきたかったところだがね?
ここに来たということはエラはやられてしまったのだろうが、この時間まで来られなかったということはお嬢さんを一時的に隔離する役割を果たしてくれたのだろうが……」
俺が【エラ=サンドレラ】を倒したのはあくまで予想しか出来ないだろうが、【エラ=サンドレラ】がここに来てない結果としてそうなる。
……まぁ、事実なんだけどな!
「先生のお手を煩わせるわけにはいきませんよ!
ぼくが【包丁戦士】さんの相手をします!」
突如参戦した俺に対して【シャルル=ホルムズ】が前に出て相手をしようとしてきた。
だが、【ロイス=キャメル】が右手でその動きを制して止めていく。
「待ちたまえ。
確かに私は【包丁戦士】お嬢さんを相手に複数のプレイヤーを向かわせるのは得策ではないと事前に話していたが、この場ではその通りではない。
【ペグ忍者】お嬢さんが健在であれば一対一の方が良かったであろうが、ボマードお嬢さんがペアなのならば、二対二のまま私とシャルル二人でかかるのが得策であろうよ。
総合力ならこちらが勝っているという優位を手放すのは状況判断からして勿体ない」
「流石です先生!
では、先生と弟子であるぼくのコンビネーションを【包丁戦士】さんに見せましょう!」
どうやら向こう側はコンビネーションプレイでこちらに向かってくるようだ。
……ボマードちゃんは?
「俺様の半身ヨォ!
イャ~、この相手は厄介だゼェ!
早さが追いつけないゾォ!」
……まぁ、そうなるか。
今表面に出てきている意識はボマードちゃん本人のものではなく、取り込んだ深淵細胞に付随して付与されたデメリット……深淵種族レイドボスである【ジェーライト】の意識が身体を乗っ取っている状態のようだな!
だから普段のボマードちゃんならしないような悪どい表情を浮かべているわけだ!
そして姿も【深淵纏縛】をして【ジェーライト】の深淵細胞を励起したバニーガール衣装になっているので、攻撃に特化した動きをするために【ジェーライト】が身体を動かしているんだろう。
ボマードちゃんは別の動きも出来るんだが、今はこれが最善と判断したってことだ。
「【ペグ忍者】だけだと速度で圧倒できても攻撃力が足りなくてヨォ~
イャ~、俺様が出てこなかったらもう負けてたゾォ!」
足りない部分を補うための【ジェーライト】の意識と【深淵纏縛】のバニーガール衣装なのはよーく分かった。
それでこれからどうする?
「俺様はあの二人のスピードに身体が追いつけないゼェ。
イャ~、身体が常にデバフを受けてるのは辛いゾォ……
だから、俺様の半身が前に立っていてくれたら攻撃に専念できるナァ!
さっきまでもそうやって戦っていたゾォ~」
【ペグ忍者】を回避タンク、ボマードちゃんを固定砲台として運用していたわけか。
それなら戦術としては成り立つだろう。
……分かった、とりあえずそれで一旦やってみるか!
うおおおおおおおおおおぉぉっ!?
俺は虚仮威しの意味も込めて大声を出しながら突撃していった。
とりあえずは【ロイス=キャメル】狙いだな。
「私を真っ先に狙ってくるか。
消耗していて倒しやすいシャルルを先に狙うと思っていたが予想外だったといえる。
……とはいえ、用意がないわけではない」
「【包丁戦士】さん、横から失礼します!」
俺を迎撃する姿勢を見せた【ロイス=キャメル】の横から【シャルル=ホルムズ】が現れてチュートリアル武器のパイプで殴りかかってきた!
……まぁ、連携するなら片方を狙った時に狙われてない方が隙を突こうとしてくるよなぁ。
真っ当な戦術だし、それで失敗することはないだろう。
もちろん、こちらもそれをやるけどな!
「俺様もいくゾォ!
スキル発動!【魚尾砲撃】!」
後ろで控えていたボマードちゃんが尻尾から極太レーザーを放ち、【シャルル=ホルムズ】を撃ち抜こうとしている。
これでどうだ!
「これは、さきほどまでの焼き増しではないか。
残念なものだ」
【ロイス=キャメル】は攻撃途中の【シャルル=ホルムズ】を抱えてバックしていくことで回避していった。
さっきまでやってたのかよ……
そりゃ読まれるよなぁ……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




