2359話 山頂戦線
さて、気配を感じない戦場を歩き続けているわけだが、流石にそろそろ手がかりが欲しい。
……つまり、【ロイス=キャメル】の作戦を逆に読み解いてどこに戦場が展開されているのかについていく必要があるわけだな!
おそらく、考えなしで動いていたら【ロイス=キャメル】の思うつぼだ。
俺が進みそうな方向を避けて戦闘が繰り広げられていることだろう。
じゃあ、逆に俺が行きそうにないところってどこか……
……山頂か!
あそこだけ見晴らしがいい場所だから、俺が有利に戦うのが難しくなるから半分無意識的に避けて行動していた。
俺は障害物が多かったり、見通しが悪いほど強く動けるからな!
なにせ、気配察知出来れば相手が見えようが見えなかろうが関係ないからだ。
わざわざ開けた場所に出る必要も感じられないし、向かうつもりも無かった。
だが、ここまで歩いて遭遇どころか気配を感じられないってことは、【ロイス=キャメル】は俺の半無意識的行動を俺のスタイルから予想して布陣を組み直したのだろう。
……まぁ、さっき倒してきたステッキ次元モブプレイヤーたちの発言からして、この考え方はあくまでも想定されたパターンのうち一つに合致しただけだから完全に読まれたわけじゃないのが心の救いになる。
つまり、まだまだ【ロイス=キャメル】の布陣にはつけいる隙があるってわけだからな!
どれだけパターンを用意していて、そのための練習をしていたとしても俺の行動次第で脆く崩れ去るものだからだ。
というわけで俺は山頂に向けて歩む先を変えて探索を開始した。
はじめは特に何も感じられなかったのだが、歩みを進めるにつれて複数人の気配を感じ取れるようになり、剣戟の音も響き渡ってくるようになったな。
やはり予想通り山頂方面に敵がいるのは明白だ!
山頂で誰が誰と戦っているかは分からないが、とにかく急いで助っ人に向かってやらないとな。
【ペグ忍者】ならまだ単独でも何とかしそうだが、ボマードちゃんだったらまずい。
いや、むしろここまで生き残っていたらそれはそれだけでも大金星ではあるんだが……
そうして登ってみたらどうやら【ペグ忍者】とボマードちゃんの部隊が既に合流していたようで、二人が背合わせで戦っていた。
相手も【ロイス=キャメル】と【シャルル=ホルムズ】の両方揃っているな。
これはもしや膠着した戦線だな!?
俺が【エラ=サンドレラ】を倒すくらいの時間はあったんだからこの辺の主力プレイヤーたちは倒されていてもおかしくないのに、それぞれ生き残っているんだからほぼ確実だな。
……とはいえ、周りのモブプレイヤーたちは双方ほぼ全滅に近い状態だから指示合戦で【ロイス=キャメル】は後ろに下がっていたのだろう。
こっち側の指示は……【ペグ忍者】か?
【検証班長】ならともかく【ペグ忍者】では流石に指揮能力の実力差もあり不利っぽいが、【ロイス=キャメル】が俺に人員をかなり割いていたのもあってモブプレイヤー同士の戦いでは優位に立てる条件が整っていたはず。
……それも含めてイーブンだったのだろう。
だが、指揮に気を取られていたからか珍しく負傷が激しい。
おそらく戦線に自ら入りながら無理やり指示を出していたのだろう。
それくらいしないと差は埋められないし、仕方ないだろうな。
「ほ、【包丁戦士】しゃん……
悪いのらけど【ペグ忍者】はもうダメなのら……
頭も身体も限界なのらよ……
【シャルル=ホルムズ】は消耗させられたのらけど、【ロイス=キャメル】はほぼ万全な状態なのら!
本当は【包丁戦士】しゃんが来る前にMVPプレイヤーの余力を削っておきたかったのらけど、申し訳ないのらよ……」
いや、【ペグ忍者】はよくやった方だ。
指揮なんて専門じゃないのによく【ロイス=キャメル】に食らいついていたな。
「それはもちろん、【検証班長】しゃんの姿を見ていたのらからね。
正確な指示は出来なくても失敗を減らす指示は出来るのらよ!
それでも【包丁戦士】しゃんを待つまで崩壊させないのが精一杯だったのらけど……」
ここからは俺とボマードちゃんに任せておけ!
お前は残ったモブプレイヤー同士の戦いの指揮だけに集中していてくれたらそれだけでいい。
特に【ロイス=キャメル】は俺が抑え込むつもりだ。
指揮もこれまでよりずっとやりやすくなるはずだぞ!
「それは、助かるのらね!
【包丁戦士】しゃん、直接戦闘はバトンタッチなのら!」
おう、任せておけ!
リーダーは行動で背中を追わせることが出来たときに本物となるわけです。
劣化天子も見習いなさい。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




