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2356話 灰削りの花

 【エラ=サンドレラ】の勝利条件と、やっていることで微妙にだが齟齬を感じた俺だったがあくまでもまだ感覚レベルの違和感だ。

 これが思い違いってことも充分にあるだろうが、ここを切り口に攻めていくぞ!



 ……スキル発動!【渡月伝心】!


 

 俺は包丁の先に銀色の円環粒子を生み出し、それを【エラ=サンドレラ】へと放っていく。

 さっきとはまた異なる性質の攻撃だ、これで通用してくれるなら話は早いが……



 「攻撃方法を変えてもムダです!

 その【伝播】の力の攻撃も斬撃には変わりありません。

 包丁で切り裂くとの同じ結果にしかなりません!」



 ちっ、やっぱりそうなるか……

 予想はしていたが、チュートリアル武器じゃなくてスキルによる攻撃ならいけるかと思ったがそうじゃないか。



 だったら次の攻撃だ!

 スキル発動!【花上楼閣】!



 俺は岩の花弁を弾丸のようにして打ち出していく。

 さっきからむやみやたらにスキルを連発しているのは、向こう側はノーガードで攻撃を受けているのでひたすら試しやすいのと、攻撃を受けている間は【エラ=サンドレラ】の身体が灰として霧散している状態になるので動きが止まるからだ!

 それもあって【エラ=サンドレラ】は攻撃を受けていない時でもさきほどまでよりも早い動きが出来ず、様子を窺いながらの攻撃となっている。

 灰になる影響がそれほど大きいということだな。



 ……ってことは灰に効きそうな攻撃ならどうだ?



 スキル発動!【波状風流】!



 俺は風のスプリンクラーを生み出し、そこから風の刃を放っていった。

 すると……



 「やっぱり【流動】の力には弱いですか……」



 灰がさっきまでよりも広い範囲に拡散していったぞ!

 ダメージになったかは微妙だが、これまでの他の攻撃よりも効き目はあったようだ!

 やはり灰という属性にメリットもデメリットもひっぱられているようだ。


 だったら……っ!

 スキル発動!【濁流万花】!



 俺は濁った水の花弁を周囲に生み出し、それを纏ったまま【エラ=サンドレラ】へと突撃していく。



 「なんですか!?

 どんどん……すごく、大きく、なってますよ!?

 制約もなくそのような効果を発揮できるスキルがあるなんて……」



 【エラ=サンドレラ】が驚いているように俺の濁流の花弁はみるみる大きく成長を遂げていっている。

 あいつは制約もなく……と言っているが当然成長にも条件はあって、被弾回数に応じて大きくなるわけだ。


 幸いにもこの戦場には【エラ=サンドレラ】が放ち続けている灰がヤスリのように地味ダメージを与えてきているので、花弁が破壊されずに被弾を重ね続けられるわけだ!

 普段なら数回で破壊されてしまうからこんなに大きくならないんだが、【エラ=サンドレラ】はその自らの攻撃によって墓穴を掘っているわけだな。



 「灰が、固め取られて、いってますね……っ!?

 これはよくないです!」



 スキル【濁流万花】によって削り取られた【エラ=サンドレラ】の身体はすぐさま復元されずに俺の濁流の花弁の中に灰ごと取り込まれていったようだ。

 相手が普通の肉体だったら切り裂いて、その部分が光の粒子になるだけだから挙動が変わってきているのは興味深い。


 灰の身体特有の反応っていうわけだな!



 「ですが、その花弁もダメージは蓄積しているはずです!

 私が最後のひと押しさえすれば……

 これで、どうですっ!」



 流石に身体が削り取られるのはまずいと思ったのか、【エラ=サンドレラ】は大斧を荒く振り回して花弁の破壊を試み始めた。

 

 当然、【濁流万花】の挙動として被弾をしているので花弁も大きくなり続け、【エラ=サンドレラ】の身体がゴリゴリ切り取られていっている。

 その反面、花弁こそ大きくなっているが【濁流万花】の花弁にもひび割れが生まれはじめ……





 「破壊完了です!

 ……私の被害もかなり大きくなってしまいましたが、おそらく私への対抗策として最大の切り札だったのではないですか?

 これ以上私の不利はないですよ!」



 ちっ、このまま倒しきれたら御の字と思っていたんだがそうは問屋が卸さないわけか……

 確かに【濁流万花】より今の状況を打破できる手札は思いつかないな。

 さてはて、どうしたものかな……






 劣化天子の手札……

 ……考えたくはないものですが。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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