2355話 灰テンション
「これが『灰被りの姫』の異名を持つ私の真の力です!
【聖獣毛皮】や他のスキルがほとんど使えなくなりますけど、それを補っても上回るくらいには強い自信があります!
これで、【包丁戦士】様のお相手させていただきますよ」
【失伝秘具(童話礼装)】ー【灰城の不解魔法ー硝子靴】とability【一夕之夢】の組み合わせによって全身が灰になった【エラ=サンドレラ】はさっきまでよりもさらに強気で攻め立ててくる。
まぁ、これだけ強い能力の組み合わせで無敵なような状態になっているんだから、強気になるのも無理はない。
誰だって高揚感を覚えてしまうことだろうよ。
だが、俺はそんなことを言ってられない。
あの灰被りのお姫様をどうやって倒すのか考えないといけないからな!
【エラ=サンドレラ】と俺ではそれぞれ勝利条件が違うからだ……
向こうは俺を足止めさえできればいいのに対して、俺はこいつを倒さないといけない。
果たして無敵な【エラ=サンドレラ】を倒す方法はあるのか……?
とりあえず攻撃をしてみよう。
スキル発動!【天元顕現権限】!
さらにスキル発動!【渦炎炭鳥】!
俺は天子の黄金色の翼を生やしていき地面から足を離していく。
そして赤色の魔法陣を生み出すとそこから火柱を放ち、【エラ=サンドレラ】へ向かって放っていった。
斬撃や打撃が効かないなら魔法攻撃はどうだって思ったわけだ!
効くかどうかは知らないがなんとかなれ!
その想いで放った一撃だったのだが……
「魔法攻撃に切り替えてきましたね!
その思考と行動はこれまでにも何人もしてきました。
……当然効きませんよ!」
【エラ=サンドレラ】は防御行動すらせずに火柱に包まれていったのだが、それでも炎を意に介さずして平然と俺へ講釈垂れてきた。
言い方は正直嫌みったらしいが、事前の言動も含めて【エラ=サンドレラ】は俺の次の攻撃を魔法攻撃にするように仕向けてきていた。
話術が上手いわけではない【エラ=サンドレラ】が自分でこのパターンを考えたとは思えないし、おそらくは【ロイス=キャメル】による入れ知恵だろうよ。
……だが、このabilityと【失伝秘具】の組み合わせはその【ロイス=キャメル】によって使うなと言われていたとさっき発言していた。
使わないはずの手札に対しての使い方を教えているということは、やはり何かしらピーキーな性能なのか、あるいは明確な弱点を抱えているかだと俺は睨んでいる。
「んぐっ!?
そ、そんなことは、ないです!」
よしっ、かまかけが成功したな笑
子供は素直でタスカルタスカル……
露骨に俺の言葉に対して動揺してくれたから、突破口はきっちり残されていると分かった。
あとはこの灰と大斧による攻撃を避けながら、攻略方法を考えつつ隙を見つけて仕掛けないといけないわけだな!
……しんどいぞ!?
「な、なんのことか分かりませんが、させません!
灰よ、広がってください!」
【エラ=サンドレラ】は慌てたように俺への対応をはじめてきた。
いや、別に俺が打開策を見つけたわけじゃないのにな……
流石に判断が早計すぎると俺は思ったんだが、敵である【エラ=サンドレラ】にそれをわざわざ伝えるのもおかしな話だ。
こういう急場凌ぎの対応をするときが一番粗を出しやすいからな。
ここは便乗して弱点とやらを探させてもらうとしよう。
……そう考えていたのだが、【エラ=サンドレラ】が広げてきた灰は徐々に徐々に俺の表皮を削り取っていっているようだ。
まるで全身をヤスリで擦られているみたいだな!?
威力としてはそこまで強くないみたいだが、回避不能な攻撃ということもあって長引かせると俺が一方的に不利になる。
これは早くなんとかしないと……っ!?
……ん?
これって何かおかしくないか?
だって、【エラ=サンドレラ】は俺を足止めさえ出来ればいいんだろ?
だったら何で俺を焦らせる要因になる攻撃をしてきたんだ!?
考えなしで使ってきたのならそこまでだが、俺だけじゃなくて【エラ=サンドレラ】にも何か焦らないといけない事情があるのかもしれない。
それこそが【エラ=サンドレラ】の弱点に繋がるキーワードだな!?
何か掴んだようですね。
劣化天子の考えたことが的中していると良いですが……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




