234話 砂漠エリアについての考察
「これはまた面白いことになりましたね?」
ビックリしたわ、まさか全く知らないエリアの名前が公開されるとはな。
一瞬荒野エリアの名前かと思ったが、荒野エリアのレイドボスは【荒野の自由】だったはずだ。
だが、こんかい名前が明かされた【陽炎砂漠シヤラマカン】のレイドクエスト名は【想起砂漠の現像鮫】だ、明らかに別の隠しエリアのことだろう。
闘技場イベントでこのエリアの代表選手が出てこなかったってことはそれよりも後に発見されたエリアなのだろう。
「その考えは早計なのら~!」
は?
なんでだ、この淫乱ピンク髪ペド忍者め!
あの時来なかったのならまだ見つかってないってことだろ?
「それがそうでもない可能性があるんだよね。
【包丁戦士】さんは岩山エリア攻略のために同盟を組んだ時のことを覚えているかな?」
ああ、あの時は【風船飛行士】が簡単には首を縦に振ってくれなかったから時間がかかったよな。
頑なに【トランポリン守兵】お嬢様と【風船飛行士】のクランだけでクリアするって言ったし……
【検証班長】の機転が無かったら組めなかったかもしれないよな。
「そう、何故組みたがらなかったのかが今回の可能性に繋がります。
一言で言うなら既得権益ですね。
自分たちが使っている設備や、素材、情報を秘匿したかったのでしょう」
「そういうことなのら~!!
闘技場に誰1人として参加しなかったら代表選手に選ばれることはないのら。
たぶん、示し合わせて皆で参加しないことを決めていた可能性があるのら~」
くっ、【深淵奈落】もたしかにそれに近い状態だったから誰も参加しないエリアがあるっていう可能性を忘れてた。
「地道に少数メンバーで調査を進めていたのでしょうね。
そのような状況でエリアの名前を見つけられるというのは感心するしかないです。
新緑都市アネイブルの名前を探す時は大人数での決死作戦でしたから」
ああ、俺の攻略のために役立った新緑都市アネイブルというエリアの名前は【検証班】で見つけてくれたんだったよな。
検証班は数で見れば最大勢力クランだから、それに匹敵する動きを【陽炎砂漠シヤラマカン】を攻略している少数メンバーだけでやったって考えると今まで表に出てきていなかった精鋭が揃ってそうだ。
そのうちの1人の名前はワールドアナウンスで割れてるけど。
……たしか【トンカチ戦士】だっけ?
俺と同じ戦士という2つ名だから少し興味があるな、是非ともキルしてみたい!
「【トンカチ戦士】さん、ですか……」
「掲示板でたまに名前を見かけるのら~」
「そういえば、掲示板を使っているのをボクも見たことありますね」
掲示板に書き込みをしているプレイヤーなのか。
その言葉を聞いて軽く掲示板を漁っていると、18話くらいの掲示板に名前があるのを見かけた。
「18話?なんのことです?
たまによくわからないことを言いますよね?」
よく言われるが、あまり気にしないでくれ。
俺が見つけたのは【スキル】ワールドアナウンスについて語るスレ【欲しい】っていうタイトルのスレッドだ。
とりあえず、掲示板を見たところボマードちゃんのファンってことは分かった。
……いや、43話くらいにもキンプレの代わりにチュートリアル武器と思われるトンカチを振っているプレイヤーがいたな。
もしかして、あいつがこの【トンカチ戦士】なのか。
しれっと近くにいたプレイヤーをキルしていたやつだから、微かに記憶に残っている。
どんな姿だったかまでは流石に覚えていないが……
「それにしても砂漠のあるエリアですか……
実に興味深いですね、サボテンとか生えていたりするのかな?」
砂漠ならサボテン、サソリ、オアシスみたいなイメージがあるからな。
その辺のテンプレートは踏襲してきてもおかしくないだろう。
……ちょっと待て、サボテンって言ったな?
何か引っ掛かるぞ。
最近どこかでサボテンを見かけたような……
そうだ!大暑サボテンだ!
あれには手紙がついていたな……ちょうどポケットに入れてたし、【検証班長】と【ペグ忍者】に見せてみるか。
仮称 大暑サボテン
これは荒野エリアで発見したサボテンだ。
食べると荒野エリアにある熱射が降り注ぐゾーンでの活動が一定時間だができるようになることを確認した。
さらなる活動範囲の拡大に向けてこの食材の調査を進める。
誰かがこの手紙を読んで興味を持つことを期待する。
荒野エリア調査隊
「これは……荒野エリアの先に砂漠があるということのヒントではないですか?
砂漠は熱射が降り注ぐイメージですし」
「この荒野エリア調査隊が砂漠エリアを見つけたのらね?
それと、砂漠エリアも荒野エリアの一部として考えていた可能性もあるのら~」
なるほどな?
【深淵奈落】も【無限湖沼ルルラシア】の中にあるし、山間部エリアも岩山エリアと渓谷エリアに挟まれたりしてるし、誤認していた可能性は高いな。
道中で見つけたこの大暑サボテンを使って【陽炎砂漠シヤラマカン】の環境に適応しながら探索を続けていたに違いない。
「なんにしても、今後は動向に注意しておくべきですね。
少数精鋭ということは、いつ本格的に表舞台に現れてもおかしくないフットワークを発揮できるということですから。
【ペグ忍者】も【包丁戦士】さんも気をつけるように」
「了解なのら~!」
ほい、わかった!
そうして波乱の実験は終了し、皆各々ログアウトした。
あちら方面で動きが出てくるとは……
この次元では比較的勢力として弱っているはずなので、私の脅威にはならないと思いますが……
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