2314話 襲撃!骨集団!
「とりあえず何事もなく撤退地点まで来ることが出来たね」
殿として最後尾を常に維持したまま移動していた【フランベルジェナイト】が無事撤退地点までたどり着くことが出来たことで俺たち包丁次元のプレイヤーは無傷で陣形を整えることに成功した。
……まぁ、これが防衛側の最大のメリットなんだろう。
自分で作った拠点だから配置も完全に把握しているわけだし、移動に迷いもなくなるわけだ。
そうなると当然手探りで移動している侵攻側の天昇箱庭側のプレイヤーと比べると行動が早いのも自然の流れとなる。
「そうだね。
だからこそ、俺たちの安全が序盤は確保できるね。
時間切れで底下箱庭側が勝てるから俺たちに有利に働く仕様は有効活用したいよ」
有効活用はしたいが、どの程度まで使えるかは微妙なところだよな……
結局前回の防衛側で戦ったときも途中までは地形を利用できていたんだが、相手もバカじゃない。
天昇箱庭側のプレイヤーも戦いながら慣れてきて、最終的には地形を利用されて逆にこっちが追い詰められてしまったことがあった。
相手はNPCじゃなくて考えて行動するプレイヤーだということを認識して行動しないとな!
特に今回は地形を最高活用してきそうな水流科が敵にいるんだ。
この地形で完全に有利に立てるのは本当に序盤の時だけと俺も見込んでいる。
だからこそ、有利に立ち回れるとされている冥府科のプレイヤーたちは確実に俺たちで潰しておきたいところだ。
そうして周囲を警戒することしばらく。
地面から気配を感じとれるようになった。
おい、お前ら!
敵襲だっ、敵は地面から来るぞ!
俺が警告をしてから三十秒後、地面から骨しかない鼠や猫、虎たちが襲撃してきた!
「うわっ、骨だけのモンスターか!」
「きもっ!」
「カタカタ音が鳴ってて怖いな!?」
「聖杖の錆びにしてあげるわ!」
スケルトンモンスターたちに対して包丁次元プレイヤーたちが一斉に対応しはじめた。
数としてはこっちが圧倒的に多いのだが、天昇箱庭はアバターのスペックが底下箱庭側のプレイヤーの三倍くらいには高い。
数だけ見て戦力分析するのは早計だろうな。
「そうだね。
俺も不利になっているところに助太刀に行ってくるよ。
フェイちゃんから離れるのは心配だけど、ここで包丁次元のプレイヤーを減らしちゃうこともまた長期的に見るとフェイちゃんの危険を増やすことに繋がるからね。
断腸の想いで戦ってくるさ。
フェイちゃんも気をつけてね」
俺から離れたがらなかった【フランベルジェナイト】だったが、戦況を見た上でもうすぐやられそうになっているところへ切り込んでいったようだ。
「あっ、【フランベルジェナイト】様ぁ~!」
「きゃ~、私たちのところに来てくれたのね!」
金属鎧を着込んだイケメンが格好いい剣で助太刀に来られたらその辺の婦女子たちは黄色い歓声を上げて喜ぶのも無理もない。
まるで白馬の王子さまってところか。
こういう経験が出来るのもVRMMOの醍醐味だろうし、助けられた婦女子たちも本望に違いない。
さて、俺も助太刀に向かうとするか。
ということで骨しかない虎と戦っているプレイヤーたちのところへ参戦した。
襲ってきた天昇箱庭側のプレイヤーたちの中でも現状一番強そうなやつだ。
一方で、【フランベルジェナイト】がこっちに来なかったことからもスケルトン虎を相手にしている包丁次元プレイヤーもぼちぼちの戦力ではあるので戦いとしては成立しているな!
「おっ、【包丁戦士】がこっちに来てくれたぞ!」
「ピンチの時はプレイヤーキラーの手も借りたい!」
「助けて~!」
うんうん、こういう時はきっちり歓迎されているな!
それなら助けるのも吝かではない!
俺はスケルトン虎の背後に回り込み、そのまま尻尾に斬撃を繰り出していく。
……ちっ、接合部から少しずれたか!
骨の一番頑丈な部分に斬撃がずれてしまったので初撃ではあまりダメージを入れられなかった。
だが、まだまだいかせてもらうぞ!
俺は迎撃を軽々と避けつつも、執拗に斬撃を繰り返し骨の尻尾を切り落とすことに成功した!
「うおっ、すげっ!」
「こんなにあっさり切り落とせるのかよ……」
「尻尾での攻撃がパターンから減ったのはありがたいね」
いいぞいいぞ、もっと俺を誉めろ!
いい気になってもっとやる気を出してやるからな笑
そうして戦いを継続しつつ、一回目の戦闘は無事終了することが出来た。
こちらも無傷とはいかず、何名かのプレイヤーを死に戻りさせてしまったが結果としては上々だろうな。
思っていたよりも被害はかなり少ないからな!
やはりこっちに有利な地形だったからだろうなぁ……
そこそこですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




