2294話 封地された獣
おい【ペグ忍者】!
地面から生えてくる蔓にペグを投げつけて地面に縫いつけられないのか!?
【マヒク】本体から伸びてきていた蔓にはそうやっていただろ?
俺が怒鳴りながら【ペグ忍者】を急かしていく。
二人しかいないのもあって切羽詰まっているからな……
「もう試したのら!
でも、この蔓は地面に縫いつけても地面に潜っていってしまうから意味がないのら!」
ちっ、そういうことか……
これまでの対策が通用しなくなっているのはきつすぎる!
本当に攻略させる気があるのか!?
「こうなったら無理やり【ペグ忍者】の攻撃間合いになるまで潜り込むのら!
【包丁戦士】しゃん、全力支援頼むのらよ~」
ここで【ペグ忍者】が乾坤一擲。
全てをなげうって攻めに転じる方針を示してきた。
俺としてもここから長期戦をしかけて勝てるとは思えないので全面的に賛成だ。
だが、お前が死ぬ可能性も高いぞ!
「それは承知の上なのら!
【ペグ忍者】が死んだらあとは頼んだのらよ~」
そうして【ペグ忍者】が駆け抜けていく。
蔓を紙一重が回避しながら、どんどんペグできりつけていく。
「にゃにゃにゃにゃっ!!!!!!
スキル発動!【虎月伝心】なのら!!!!」
【ペグ忍者】は円環粒子をペグに纏わせながらさらに【マヒク】の内部を抉り切るようにして追撃していく。
もちろん【マヒク】も無抵抗というわけではなく、様々な反撃を繰り広げてきているわけだ。
そこに対して俺は深淵の黒い壁を添えていくことで、【ペグ忍者】に被弾を最低限に抑えていく。
だが、俺の防御も限界があるので……
「ほ、【包丁戦士】しゃん……
【ペグ忍者】で出来ることはやりきったのら……
あとは、たのんだ、のら、よ……」
息絶え絶えに言葉を紡いだ【ペグ忍者】は全身が光の粒子となり消えていってしまった……
……くっ、とうとう俺一人になってしまったか!?
ここまで順調だっただけに最後まで二人で残った状態の上で勝ちたかったがなぁ。
とはいえ、【マヒク】の姿を見ると【ペグ忍者】の頑張りが分かる。
本体のいたるところに切り傷が刻み込まれており、その内部までめり込んでいる。
あとは俺がどこまで頑張って削れるかだが……
今の手札で攻撃するならこの方法が最適だろ?
スキル発動!【塞百足壁】!
俺はスキル【塞百足壁】のうちいつもの黒い壁を作るバージョンではなく、上空から足の形をした壁を降らせるバージョンで【マヒク】へぶつけていく。
まるで巨大なムカデがこの場で足踏みをしているかのように【マヒク】へと襲いかかっていく。
ただ、俺へも蔓攻撃が迫ってきているので、こっちへの対処に集中力を割かないといけない。
黒い壁による防御と俺自身の回避は正確に、上空から降らす足壁はもはや制御せず無秩序に落ちてきている。
たまに俺の方にも降ってきているが、そこは回避で何とかしていく!
ここからは忍耐勝負だっ!
そうしてしばらく単独で戦っていき、とうとう……!
巨体が崩れ、俺の肩の荷が降りることとなった。
【ワールドアナウンス】
【レイドクエスト【封地剣を司る獣】
がレイドチーム【ペグ包丁】によってクリアされました】
【【包丁戦士】と【ペグ忍者】が称号【封地剣獣の討伐者】を獲得しました】
【世界剣樹の中層へかけられているロックが一部解除されました(1/7)】
【【ペグ忍者】と【包丁戦士】は世界剣獣への挑戦を一時的にロックされました】
【別種の世界剣獣討伐は他のプレイヤーにて実行をお願いします】
【個人アナウンス】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が177になりました】
んおっ!?
世界剣獣はやっぱり七種類いるのか!?
予想していたこととはいえ、それだけいるのは中々長い道のりだな……
それに、それらへ俺と【ペグ忍者】が対処できなくなったのはきつい。
他力本願で行くしかなくなったわけだからな!
とはいえ、【マヒク】の討伐に全力で大人数レイドチームを組んでいた場合の悲惨さを考えるならば、俺と【ペグ忍者】の二人だけで犠牲が済んだと考えたら最低限の被害だろう。
特に縁や理の関するability持ちのプレイヤーをここで使いきっていた場合には世界剣樹というコンテンツ自体詰みの状態になってしまうわけだからな……
よくやりましたね。
ゆっくり休むといいでしょう。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




