2256話 師匠超えの火力
『にしてもこんなに早くバレるなんて思わなかったな……
【綺羅星天奈】の頭のキレは改めて神憑りしてるって思わされたぞ……!?』
「ケケッ、それはおれも同感だぞ!」
それは今さらな話だろっての。
アタイの体質みてぇなもんだから驚かれたところでどうしようもねぇぞ、ゴラァ!
「ふむ、これはいかがかのぅ?
……共鳴釣竿一刀流【極闇破壊】」
そんな驚いていた連中とは別に、釣竿のじいさんは問答無用で【包丁戦士】のやつへ攻撃を仕掛けはじめた。
黒炎が釣竿に灯り、それが【包丁戦士】のやつをまるでプロレスのリングを思わせるかのように囲み込んでいく。
そして、上空にも黒炎の塊が生み出され逃げられない状態になった【包丁戦士】のやつを焼き押し潰そうと落ちてきている。
えげつねぇ攻撃方法だ。
一つの動きのなかで拘束と攻撃を同時にやれんのは流れが完成され過ぎてんぞ、ゴラァ!
『さっきから俺の動きを毎回止めてきてから攻撃してくるのは嫌がらせか!?
……いや、実際嫌がらせなんだろうけどさ。
だけどそっちが黒炎ならこっちも黒炎で対抗するのもありだよな!
スキル発動!【深淵煉獄】!』
【包丁戦士】のやつも身体から黒炎を生み出して、上空から迫り来る【師匠】の黒炎へぶつけていった。
それが五秒ほど拮抗していたのだが、次の瞬間には【師匠】の黒炎が撃ち破られてしまいプロレスのリング状の拘束も解除されてしまっている。
「ウゲゲッ、【師匠】の攻撃も真っ正面から撃ち破られたんだぞ……
さっきの【包丁戦士】の分身は回避とか防御で凌いでいたのに、本体になったらここまで出力が上がったんだぞ!?」
【牛乳パフェ】の野郎も驚いているか。
まさかここまで変わるなんざアタイも想定して無かったぞ、ゴラァ!
今の【包丁戦士】のやつなら【ランゼルート】ともいい勝負出来るんじゃねぇか!?
「ふむ、儂単独で今の状態の【包丁戦士】嬢さんを打破するのはちと難しいかのぅ……
生産的人間であるならばやはり【牛乳パフェ】と【綺羅星天奈】嬢の力を借りる他あるまい。
故に、お主らはこれまでのように手をこまねいているようではすぐに寝首を狩られてしまうと覚悟せい」
釣竿のじいさんはアタイらに叱咤叱責してきたが……
ここからはアタイらも遠慮せずに攻撃に参加しろってことなんだろうよ。
言われなくとも分かってはいるんだが、まだアタイは積極攻撃に移るためのボルテージが貯まってねぇっての。
あと少しではあるんだがなァ!
「ウゲゲッ、おれも既に【深淵纏縛】を使ってる状態なんだぞ!
今やるならこれだぞ!
スキル発動!【阻鴉邪眼】!」
【牛乳パフェ】の野郎はデバフサークルを生み出して【包丁戦士】のやつを囲んでいく。
ただでさえ強い状態だから弱体化を狙うってのは悪くねぇ選択だ。
特に【牛乳パフェ】の野郎の姿はあのスキルを使うことに長けてるみてぇだし、ちょうどいいだろうなァ!
「聖女である私も続きます。
スキル発動!【天元顕現権限】!
さらにスキル発動!【巌亀開花】!」
アタイは天子の黄金色の翼を生やして十字架を地面に叩きつけていく。
十字架が触れた地面から岩が突き出てきた。
しかも、一回ではなく地面に十字架がぶつかるたびに何度も先端が突起状になった岩が飛び出てくるっていう優れた代物だァ!
「ほほほっ、儂が焚き付けたのだから同じく攻撃に参加せぬわけにはいかぬな。
……釣竿一刀流【居合斬】!」
釣竿のじいさんはアタイの出した岩を次々に足場にして【包丁戦士】のやつへ立体的な急接近を仕掛けて、そのまま釣竿を振り抜いていった。
あれは流石に対処できないじゃねぇか?
『……対処出来ないと思ったか?
まぁ、普段の俺ならそのまま死に戻りするか、致命傷を負うだろうな。
だが、今のパイパースペック状態の俺は一味違うぞ!
スキル発動!【魚尾砲撃】!
スキル発動!【魚尾砲撃】!
さらにスキル発動!【魚尾砲撃】!』
【包丁戦士】のやつは背中付近で浮いている目のような模様をした羽からレーザーを出し、それを多段的な推進力として扱ってデバフサークルからの脱出、岩の範囲からの退避、【師匠】の斬撃の射程からの回避をそれぞれやってのけたみてぇだ。
あの口振りからしてレーザーで、あの出力を複数放ち続けんのは普段の【包丁戦士】なら無理なんだろうよ。
出来たとしても一時的とか無理をしないといけないとか制約がつくのが落としどころか。
だが妙だぞ、ゴラァ!
何でその出力で反撃しなかったんだァ?
釣竿のじいさんの技を真っ正面から撃ち破れる出力はあんのによォ……?
あの膨大なリソース、何かカラクリがあんのか……?
……ダメか、まだ神憑りの閃きには材料が足りねぇかってか。
三人同時攻撃でも無傷どころか余裕なのは強敵ですね……
天奈、連携ですよ連携!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




