2242話 【勇者】の特権と土木下請け委託
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【ロイス=キャメル】から海エリアの浸食についての対策を聞いていたな。
キモいザリガニ軍団は【ロイス=キャメル】を筆頭にステッキ次元の連中が抑えていき、根本解決するための海エリアでのレイドボス討伐は【海図航海士】や蛇腹剣次元のMVPプレイヤーである【マキ】を軸にしてやっていくとのことだった。
ちょうどまた一つ海エリアの名称が開示されたので、攻略も一気に近づいたのが全体にも伝わってきたのはいい傾向だな!
進捗が分かるのは本当にありがたい。
俺も、他の連中も士気が高まるからな!
というわけでやって来ました堅牢剣山ソイングレスト……の麓にある洞穴!
ここには骸骨がいたるところに飾られているわけだが、見た目で分かる通り【キズマイナ】の隠れ家だ。
「【包丁戦士】さん、【上位権限】レイドボスたちに話を聞き終わりましたかぁぁ?」
まぁな。
話を聞いてくれなさそうなやつを除いて全員聞いてきたつもりだ。
「その上であてぃしのところに戻ってきたということは、何か問題でもありましたかぁぁ?」
問題……ではあるか。
【キズマイナ】に協力を頼みたいことがあってな。
他の連中でも時間と人数をかければ同じ成果は出せると思うんだが、お前にやってもらえたら一気に楽になる案件だ。
多分、行動制限も途中まではかからないんじゃないか?
「ふひひっ、【包丁戦士】さんはあてぃしに何をやらせようとしているんですかぁぁ!
いつもみたいにコキ使う気ですねぇぇ?」
いつもみたい……というより前にも似たようなことをやってもらったことがあるからな。
その繰り返しみたいなものだ。
実は、草原エリアで穴を掘って欲しくてな……っと言いたいことは分かるが声は上げるなよ?
俺が穴を掘りの依頼をしたところで【キズマイナ】は怪訝そうな表情を浮かべた後に、ハッとした表情になっていた。
だが、その疑問を口にされるとユニーククエスト経由じゃないと手伝ってもらえない可能性もありそうだし、一応止めさせてもらったわけだ。
嫌な予感しかしないからな……
「ふひひっ、ということはあてぃしの役割は決まっていますねぇぇ……
前にも【大罪魔】のいるところまで穴掘りをしたので、やり方のコツは掴んでいますよぉぉ!
あの時の要領でやれば大概のところで穴掘りは出来ますねぇぇ!」
流石は【キズマイナ】だ。
元々クランメンバーだったこともあってか、他の【上位権限】レイドボスたちよりも圧倒的に協力的なんだよな。
本当にタスカルタスカル……
「あてぃしは宿業をある程度無視するような感じで活動してますからねぇぇ!
他の【上位権限】レイドボスたちは弱体化を恐れてそんなことはしませんけど、あてぃしは元々最弱の底辺種族の一人だったので弱くなることにも抵抗はないんですよぉぉ!」
身を削った献身ってわけか。
美徳でもあるが、危険な行為でもあるよな?
討伐される危険性も上がるわけだし。
「そこは承知の上ですよぉぉ!
【勇者】を継げる者が現れたら倒されても悔いはないと思いますよぉぉ!
ふひひっ、【勇者】の条件は厳しいので倒されたとしても、それを満たしていなかったら討伐扱いにされないのが【勇者】の特権みたいなものですぅぅ!」
……そんな特権もあるのか!?
だから平気でプレイヤーたちの前に現れたり、弱体化も無視しているわけか。
「【包丁戦士】さんは可能性ありそうですけどねぇぇ……」
それはどうなんだ?
俺が【勇者】って柄か?
とはいえ、【包丁戦士】さんの責務が過多になっていますからねぇぇ……
他の人に継いでもらいたいですけどぉぉ……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




