2235話 【検証班】と【裏の人脈】
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【槌鍛冶士】に世界剣樹のことについて聞いていたな。
そこで今一番欲しかった情報である攻略の始点について聞くことが出来た。
登るんじゃなくて、地面を掘っていくのが正解だったとは思わなかった。
とはいえ、これまでにもそれを試したプレイヤー自体はいたんだが多少掘ったところで成果が出なくて皆諦めていたからな……
本当に正解だと確信していたらもっと熱心にやっていたことだろう。
というわけでやって来ました新緑都市アネイブルにある樹木をくり貫いて作られた建物……クラン【検証班】のたまり場であるメッテルニヒ!
ここの一階にある受付を顔パスでスルーしていき、二階へと階段で上がっていく。
するとそこには……
「来ましたね【包丁戦士】さん。
待ってましたよ」
……【検証班長】が優雅に座っている姿があった。
いつも忙しそうにしている【検証班長】にしては珍しく余裕がありそうだった。
「今は海エリアの浸食と世界剣樹についての情報が集まってくるばかりだからね。
それらの情報も既知のものが多いから情報の整理がそこまで必要ないんですよ。
世界剣樹については【包丁戦士】さんが聞き回っている最中だったので、今だけは余裕があったね」
なるほどな。
ホットなコンテンツが明確にあれば管理も楽ってわけだ。
そんな余裕な中申し訳ないが、今からお前に情報の波状攻撃を仕掛けさせてもらうぞ!
「情報の波状攻撃!?」
驚く【検証班長】を無視してそのまま【上位権限】レイドボスたちから集めた情報を次々に【検証班長】へと伝えていった。
はじめはただ驚くばかりだった【検証班長】だったが、次第に落ち着きを取り戻しはじめて思考を巡らせながら聞き入っている様子だ。
この頭の切り替えの早さが【検証班長】の魅力だよな!
「なるほど、当面のボクたちの課題は縁や理に関するability持ちを複数人集めることと、根先に到達する方法の2つですね。
どちらも考えるだけでも大変な政策が必要ですが、ボクの方でも考えてみようかな」
特に【検証班長】に期待したいのはability持ちを複数人集めることだ。
こればっかりは情報系クランであるお前の力を借りないと俺単独では不可能なものだからな……
「何が縁や理に該当するのか基準が分からないので当たり外れは発生すると思いますけど、多少大雑把に集めてみます。
変に狭く集めすぎると本当は該当していた人を弾きかねないからね」
ごもっともだな。
流石は検証のプロ、合理的だな!
「あとはクラン【裏の人脈】の力も借りましょうか。
ボクのクランよりも人探しなら向こうの方が専門的ですからね。
悔しいところだけど、特化されている分勝ち目はないんだよ」
クラン【検証班】の方が規模もデカイし、【検証班長】っていう立派な頭脳役がいるから負ける要素も無さそうだが……
「クラン【裏の人脈】は自ら内側に入り込んでいくスタイルですからね。
俯瞰的に物を見るよりも人とのコミュニケーションに力を置いているので、いつの間にか知り合いになっていたり取り込まれていたり……という声をよく聞きます。
忌憚なくコミュ力の化物みたいな集まりとも言えるよ」
【検証班長】をしてそう言わせるか……
こいつも大概なんだが、それを上回るということなのだろう。
俺からしてみるとそこまでの印象は無かったんだが……
「【包丁戦士】さんにはそうかもしれませんね。
それはある意味適切な距離感だと思うので、クラン【裏の人脈】の正しさが改めて分かったよ」
いや、それってどういうことだよっ!?
俺の問いかけに【検証班長】は答えずに、そのままスルーされてしまったのだった……
つまりそういうことです。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




