2231話 ルル様の末恐ろしい話
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【菜刀天子】から世界剣樹について話を聞いていたな。
どうやら攻略のカギはability持ちのプレイヤーらしく、しかもその所持者を複数人集める必要があるみたいだな。
他にも情報を集めないとまだまだ攻略方法が分からないので、さらに集めに行くぞ!
というわけでやって来ました深淵奈落のその先にある反転新緑都市アネイブルの重要拠点反転王宮!
ここにある玉座に座っているのは黒緑色のスーツを着たマフィア風の男(?)……その正体はルル様だ!
「カッカッカッ、漸く我の元へ来たか。
久方ぶりに顔を見る気がするのぅ」
言われてみるとルル様と会うのは久しぶりかもしれない。
どれくらいぶりだろうか……
「それで、久方ぶりに我の元に現れて何を聞こうというのか」
それは世界剣樹についてだな。
【上位権限】レイドボスごとに開示できる情報が違うってことで、聞いて回っているわけだ。
「世界剣樹についてか。
……ふむ、それであればabilityの性質について説いておこうかのぅ。
abilityごとに強弱、上下関係はないのだが縁や理に関するものこそが世界剣樹に干渉するためのものとなるのだ」
縁や理……かぁ。
俺のability【会者定離】は間違いなく縁に関係するabilityだから対象だろうな。
だが、これを複数人集めるのは大変だぞ……!?
「その情報をお前が持っているということは憎き元次元天子から先に情報を得ていたということか、嘆かわしいな。
我の方へ先に来るのが道理であろうに……
随分と次元天子に絆されたようだのぅ」
ぐぅっ……!
あっちを立てればこっちが立たないな!?
【菜刀天子】からは【勅聖剣タイア】を借りたから、それの礼をしないのも道理に反するからなぁ……
「……さようであれば仕方あるまいか。
我からは今回の世界剣樹の生育に手を出しておらぬからのぅ。
だが、我からのこれまでの恩を忘れたとは言わせぬ。
今後は気をつけておくことだ」
くっ、ルル様としばらく会わなかったこともあって好感度がわりと落ちてるな!?
まるで乙女ゲーやギャルゲーの好感度管理をさせられているみたいで大変だぞ……
しかもその攻略対象が複数同時にいるからなおのことだ。
しかも、単純なパターンじゃなくて高度なAIを積んだ戦闘力の高いレイドボスだから手がつけられない。
ルル様の居住地が滅茶苦茶奥底に変わったせいで来るのが大変なのも拍車をかけてるのがたちが悪い。
……それはさておき、縁や理に関するabilityの持ち主ってそんなに複数人いるのか?
俺が会ったことあるability持ちのプレイヤー自体そんなにいないんだが……
「それは我にも分からぬ。
プレイヤーは自発的にabilityを発現させて定着させておるが故にな。
見つからぬなら探すしかあるまいし、存在しないなら発現を促すほかあるまい」
ルル様は簡単に言ってくれているが、探すのはもちろん難しいんだがそれ以上に発現を促すっていうのはそもそも可能なのか疑問すらある。
abilityって意識すれば定着するっていう簡単な代物じゃないはずだ。
俺だって変なタイミングで定着したから意図的にやったわけじゃないし。
「だが、何がトリガーになったのかは分かるのであろう?
意図的に、全く同じではないにしても似たような別のトリガーを踏ませ続けることは可能であろう。
お前たちの得意な検証とやらで打破出来る範囲ではないのかのぅ?」
……そう言われてみると出来ないこともない、のか?
何とも判断しにくい範囲だが、とりあえずは探してみる方向でいって無理だったらルル様の第二案を実行してみるしかない。
何とも末恐ろしい発想だがな!
カッカッカッ、どうするかはお前次第だ。
たまには我のところにも来るのだぞ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




