2227話 ロイス=キャメルと軍事利用
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は無限湖沼ルルラシアの海エリアに浸食されつつある最前線で【海図航海士】に会って来たな。
俺がキモいザリガニエネミー軍団と戦うように誘導した【ロイス=キャメル】が想像以上の活躍をしていると聞いたので、案内した甲斐があったというものだ!
というわけでやって来ました無限湖沼ルルラシア!
ここで【ロイス=キャメル】に話を聞きつつ、キモいザリガニエネミー軍団を倒しておこうと思う。
「ふむ、お嬢さんが来てくれたか。
お嬢さんに誘導されてこの戦線に足を運んでみれば、見ていられないほど崩壊した戦線で驚愕したよ。
これほど包丁次元のプレイヤーは危機感がないとは思わなかった」
まぁ、陣営対戦とか公式イベントになれば結構はりきるんだが、今回のはワールドアナウンスで流れているわけでもないし報酬も明示されていないからいまいちやる気が出ないんだろう。
こういう形式のトラブルはこれまで俺が勝手に解決してきたのも原因かもしれないな……
「お嬢さんによるワンマンプレーの産物というわけか。
【ランゼルート】、【師匠】、【綺羅星天奈】君も大概だが、次元戦争で上位になる次元の傾向としてやはり突出したトップがいて周囲がついてこれていない現状は変わらないのだな」
基本的にはそうだろうな。
むしろ、ステッキ次元みたいに【ロイス=キャメル】が軍事調練をしてプレイヤー全体のレベルを上げるために尽力している方が少ないだろ。
MVPプレイヤーだけで見れば【ロイス=キャメル】の方が異端とも言えるんじゃないか?
「そのようだ。
実力のあるものが全体を牽引すべきなのだが、その流れが生まれていないのは嘆かわしい……」
とはいえ、個人単位で見れば後継を育成しているやつは何人かいるけどな。
俺だって程度の差はあれ稽古とか指南は何人かにやっているし、【師匠】とかもゲーム内で弟子をとっていたりする。
「私も二人ほど直に教えている」
【エラ=サンドレラ】と【シャルル=ホルムズ】だな。
仕上がりから見てもやっぱり【ロイス=キャメル】の教え方は一級品だ。
個人戦闘力もあって、全体も支えているのは凄い。
「だからこそこの海エリアからの浸食を止めるための戦いにステッキ次元が総力をあげて取り組んでいるということだ。
攻略が進んできて危機感の薄れてきていた中で、いい訓練になるだろう」
やっぱりそういう使い方だったか。
予想はしていたが、【ロイス=キャメル】も強かだよな……
「それに私たちステッキ次元が包丁次元に組み込まれてからそれほど時間が経っていないのもあって、そろそろ次元単位での貢献をして存在感を示しておくのも悪くはない。
いつまでも外様というのは皆居心地が悪いはずだからね」
それもそうだな。
どうしても後から組み込まれた次元のプレイヤーと包丁次元のプレイヤーでは少なからず溝が発生してしまっている。
これを完全に克服するのは正直無理だと思っているが、多少なりとも緩和することは可能だろう。
あとは……働きかけ次第だかな!
「そこは任せたまえ。
私にはある程度のノウハウがあるよ。
今回とは立場が逆だが、占領した領地に馴染むことを何度か実践したことがある。
その時の経験が幾らか活きてくるはずさ」
それは頼もしいな。
そんな経験は普通積んでこれないから、ぜひともこの場で発揮して欲しいところだ!
それが出来そうなプレイヤーってある程度限られてくるよな。
「MVPプレイヤーの中で私が考えるに……【綺羅星天奈】君と私だけかな。
集団的カリスマ力と政治力を兼ね備えたプレイヤーでさらに実力も備えているというのはほんの一握りだけであろう?」
自信満々に言ってきたな……!?
いや、確かにここは自信満々に言うべきところだから否定はしないけどさぁ!
その後、めちゃくちゃキモいザリガニエネミー軍団を倒したぞ!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




