2226話 【海図航海士】と海の浸食経過
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【石動故智】に会ってガーデンバトルの所感とか聞いていたな。
あの後リアルの方でも進展があったようで、思っていたよりも価値のある戦いになっていたんだと改めて思わされたな!
……まぁ、俺にとってはガーデンバトルで普通に勝った報酬くらいしかないので特別な価値があったかと言われると別にそうでもないんだが。
人がプレイしている以上そういうこともあるんだろう。
というわけでやって来ました無限湖沼ルルラシア!
ここの海による浸食が進んでいる場所まで見に来たわけだが……
前に来た時よりもキモいザリガニエネミー軍団戦っているプレイヤーが増えているな!?
「【包丁戦士】さん、今日も来てくれたのか。
人が増えてきたとはいえ、どれだけいても困るものじゃないから熱烈歓迎」
俺を見つけて猛ダッシュで駆け寄ってきたのは海エリアを牽引するトッププレイヤーと言っても過言ではない【海図航海士】だ。
あれからそこまで日が経っているわけじゃないのに、これだけよく集めたな?
「俺が集めたわけじゃなくて、むしろ【包丁戦士】さんのおかげ。
【ロイス=キャメル】さんをここに誘導してくれたおかげで、ここの凄惨な状況を見てもらえてすぐに対応。
訓練も兼ねてと言ってステッキ次元のプレイヤーをここに集めてくれていて大援軍到来」
はーん、通りで見覚えのないプレイヤーばかりここにいるわけか。
普段見ないやつや、聞き覚えのないスキルを使っていたりするのもそうなんだろう。
「その甲斐あって、元々浸食されていた場所をかなり海エリア側まで押し返すことが出来ている。
どうやらある程度ザリガニエネミーを倒すと潮が引いていくらしくて、思っていたよりも悲観的じゃない。
ただ、プレイヤーが少ない時間帯にはザリガニエネミーを倒すスピードよりも浸食のスピードの方が迅速」
うわっ、24時間浸食されているから特定の時間帯で有利になってもダメなのか……
ネットゲームだからこその仕様なんだろうが、全時間帯にプレイヤーが同じ数だけいるわけじゃないし特に真昼間とか早朝なんて社会人や学生は基本的にログイン出来ないだろうから戦線が手薄だろうなぁ……
「【ロイス=キャメル】さん率いるステッキ次元のプレイヤーたちが来なかったら、ステッキ次元の専用エリアの【開襟町ステッキ】まで海に呑み込まれるのも時間の問題だった。
それもあって、包丁次元や蛇腹剣次元のプレイヤーよりも危機感が極大」
あー、そういえば【開襟町ステッキ】ってこの無限湖沼ルルラシアに展開されているもんな。
自分たちの居住地に海水が広がってきたり、キモいザリガニエネミー軍団が雪崩れ込んだりしてくるって予兆があるなら抵抗するのも自然な流れか。
……そう考えると、今更ながら【ロイス=キャメル】にあのタイミングでキモいザリガニエネミー軍団のことを伝えたのはファインプレーだったな!
あの時は【ロイス=キャメル】の暇潰し兼気分転換用という雑な理由で案内しただけだったんだが、実利にもかなっていたようだ。
そういうのって結構後から気づいたりするよな~
「【包丁戦士】さんはそういう悪運が強いと噂で聞いたことがある。
噂は本当だったのか……驚愕!」
まぁ、【海図航海士】といる時にそういうことってあんまり無かったような気もするしな。
わりと俺が普通に教える側とかアドバイザーみたいなポジションになりがちだし。
やっぱりその辺はクランの立ち上げに立ち会ったのがデカイ気がするぞ。
「あの頃から本当に世話になってる。
いつまでも俺を導いてもらえるのを期待」
おいおい、自立してくれよ~?
……まぁ、そう言いながらも何だかんだ自分なりに【海図航海士】は行動しているのは知っているから、冗談半分って言っているのも知ってるけどな!
この際ステッキ次元のプレイヤーでもいいので、海エリアの進行を止めてください。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




