2225話 無自覚と強欲
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はガーデンバトルで激戦を繰り広げていたな……
何だかんだ勝つことが出来てよかったが、最終的に俺は両足が溶け落ちていたし【石動故智】に関しては最後の一撃で死に戻りしてしまっていた。
俺の四肢のうち片腕しか残っていない状態だったので、【石動ガンジ】が生き残ってしまっていたら敗北は確定していたことだろう。
やっぱりあの一撃は破壊力がエグいって!
というわけでやって来ました流刑次元!
ここで【石動故智】と会う約束をガーデンバトル中にしていたので、会いに来たわけだな!
「【包丁戦士】、来たね。
昨日はありがとう助かったよ」
どうやら【強欲】の力も外れて喋り方も平常に戻ったようだ。
俺も【暴食】で似たようなことが起きてるんだろうなぁ……
それでガーデンバトルで勝ってどうだ?
宗家の【石動ガンジ】を倒せたんだろ?
「まさか倒せるとは思わなかったから嬉しいよ。
欲を言えばコッチ単身で倒したかったね」
流石【強欲】だな!
【石動故智】のこういう側面に触れることが無かったので人間味を感じるなぁ……(しみじみ)
「あの後、【石動ガンジ】様からリアルで連絡が来てしばらくしたら本家への招待状を送るって言ってくれたよ。
戦いの時の様子からすると、もしかしたら本家と分家の溝も緩和されるかもしれないね」
……【石動故智】は楽観的に見ているようだがそんなに甘い話だろうか?
ここからまたひと悶着ありそうな予感がするんだが……
まぁ、それでも歩み寄りって点で見るなら招待状が届いただけでもマシなのかもしれないか?
【石動】家がどんな感じなのか聞いたくらいしか知らないから、他人がとやかく言うべきことじゃないんだろう。
「ガーデンバトルの最後はコッチは死に戻りしてたから分からないんだけど、あの一撃で【石動ガンジ】様は倒せてたかな」
あぁ、あの一撃で生き残ったのは俺だけだな。
お前と【石動ガンジ】は相討ちに近い感じだったんだと思う。
ただ、お前はタンクプレイヤーとして立ち回っていたんだから、最終局面を終えても俺を生き残らせたのはきっちり役割を果たしたってことだし攻撃では相討ちになったが実質勝ちだと思っていいぞ!
俺はしれっとフォローを入れておいてやった。
直接対決で勝ててないことを気にすると面倒だからな!
「……【包丁戦士】は優しいね。
そうやって言ってもらえると励みになるよ」
そうだろ?
まぁ、お前があそこで【紅石鉱山】をチョイスしたのは俺の方へ【石動ガンジ】からの反撃が飛びにくいようにルビーの山を壁にするっていう意図もあったんだろ?
【強欲】で攻めっ気が異様に高まっていたはずなのに、そこの理性を残して攻められたのは実際凄いと思うわ。
常人なら防御をかなぐり捨てて攻めに特化した攻撃をしていたことだろうしな!
……そうしていたら俺と【石動故智】は二人とも死に戻りしていたことは間違いないから、あのチョイスは絶妙だったと思うぞ!
「そこまで徹底的に褒められると照れてくるね。
……もしかして、【包丁戦士】はみんなにこういうことを言って回っているのかな。
そうだとしたら、随分と人たらしだね」
随分な言い振りだな……
せっかく褒めてやっているっていうのに。
そこまで皆をべた褒めすることはないぞ?
俺の目線できっちり役割を果たしているって思ったやつにしか褒めてないからな!
それが出来るやつって案外限られてくるから、結果的に褒めるやつもそんなに多くない……はず?
「……多分、自覚無さそうだよね。
きっと気づいてないだけでそこそこ褒めてそうな気がしてきたよ。
【包丁戦士】の様子を見ていたらそんな気がするからね」
どういう様子のことを言っているんだ!?
わけが分からんぞ!?
……自覚なさそうですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




