2201話 気分転換の違い
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【山伏権現】にリアルの方で会ってきていたな。
まさか【山伏権現】も【海溝剣アトラ】による海エリアと【カニタマ】の変質をかなり問題視していたとはな……
正直ゲーム運営プロデューサー視点なら許容の範囲内かなと思っていたんだが、どうやら許されなかったようだ。
とはいえ、ゲーム外からだと【海溝剣アトラ】は存在しない扱いになっているらしく、削除しようにも出来ないという異常事態になっていた。
だからこそゲーム内からその影響力を取り除いて欲しいってことのようだ。
どこまで出来るか分からないが、やれるだけやってみないとな!
というわけでやって来ました草原エリアにある世界剣樹の根本!
ここに俺、【ロイス=キャメル】、【マキ】のMVPプレイヤー三人が集結していた。
「うわ~、近くで見るとすごいね~!
大きいよ~!」
「【マキ】お嬢さんはここで世界剣樹を見るのははじめてだったかな?
最高位のVR適性を持つお嬢さんなら何か感じるものはあるだろうか?」
【ロイス=キャメル】の問いかけから始まったように、今回の集まりは俺からの声かけじゃなくて【ロイス=キャメル】が集めたものだ。
タイミングが俺と偶然合っただけってことだな!
「うーん、よく分からないよ~!
でも見てると胸の奥がぞわぞわするよ~」
「ふむ、【マキ】お嬢さんでも具体的な解決策の手がかりにはならないか……
もしやと思っていたのだが、別の方法を考えないといけないらしい」
まぁ、ダメ元だったとはいえワンチャンあるかもしれないと期待していたので残念ではあるな。
そりゃ手っ取り早く解決できるなら誰だって期待してしまうからな!
「この世界剣樹というコンテンツ、どのようにすれば正解なのか、先に進められることが出来るのかがそもそも分からない。
だからこそ、その解決の糸口を見つけたいのだが……」
やっぱり一番上まで登ってみるのが俺としては良さそうだと思うんだよな。
露骨に飛行でいけないようにしてるんだし、その辺りに重要なギミックを仕込んでいるって考えるのが自然だろう。
伐採とか出来たらそれはそれで試してみるのもありなんだろうが、通常の攻撃やスキルではそもそも効いていないみたいだったから明確な打開策が見つからないと有効とは思えないし。
「斧がチュートリアル武器のエラに試させたが同じくダメなようだった。
木の伐採には最適なチュートリアル武器なのだからそちらでも可能性はあると思っていたのだが、私の考える方策が悉く通用しないのは正直堪えてくる」
まぁ、そういう時ってあるよな。
ドツボにハマっている時ってだいたい何をしても上手くいかないもんな。
「うちもそういう時あるよ~!
でも、そういう時はお昼寝してスッキリしたら上手く行くんだよ~!」
確かに気分転換も大切だよな。
俺はわりと色々なコンテンツをフラフラしているから常に気分転換しているようなものだが……
まぁ、それでストーリーが進行しているなら俺や【マキ】の動き方も強ち間違ってないってことでもある。
【ロイス=キャメル】のプレイスタイルには合わないかもしれないが、たまには息抜きすることも重要だと思うぞ!
プレイヤーキルでも一緒にやるか?
「……それは遠慮させてもらおう。
だが、このタイミングであえて別のコンテンツに触れてみるのも悪くはないか」
それなら一旦海エリアの方を手伝ってやってくれよ。
【海図航海士】っていう俺の知り合いが助っ人を熱烈してるからな!
キモいザリガニエネミー軍団をひたすら捌いているんだ。
無心で出来る人助けだと思ってやってみてくれ。
「せっかくだからうちも行こうかな~!
教えてもらった集団戦闘を一緒に試してみたいし~!」
「では、【マキ】お嬢さんの指揮下で一介の兵士として動いてみるとしよう。
きっと、それが私の気分転換になる」
それはまた真面目な気分転換だな……!?
気分転換でも海の侵略を抑えてくれるなら渡りに船というものです。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】