219話 ボマードちゃん覚醒!(?)
さーて、もっと食材を見つけるぞ!
水晶水……というより、水の質で料理に影響が出やすいものを選ぶなら、ここで山菜とかを集めておくのが手っ取り早いからな。
気合いを入れて集めなければ。
今のところ、山菜やキノコの類は集まってきているが、そのなかにレア度5という基準を越えそうなものはなさそうだしな。
というかレア度5っていうのが、どのくらいの基準なのか俺にも分かってないが……
これだけ苦労して集めてハードルが低かったらそれはそれで取り越し苦労になってしまうからなぁ……
まあ、苦労してるのは俺というよりも、俺の周りのメンバーだから構わないと言えば構わないか……?
「山菜は見つかるッスけど、珍しそうなやつは中々ないッスね……
さっきのケムリダケがそんな感じだったッスけど」
「いや~、思ったより大変ですよ~!」
「やりがいはあるがな!!!」
やりがいはほどほどでいいから、そろそろ何かしらの成果が欲しいところだが……
この草木が生い茂った山で採れそうな珍しいものか……
ケムリダケみたいなファンタジー系素材があればいいんだがな。
「それなら、あの木の実とか狙ってみるのはどうだ!!!」
【槌鍛治士】が上を指差しているので、その方向を見ると断崖絶壁に申し訳程度の枝が垂直に生えており、そこに1つだけ果物のようなものがなっている。
「……やっぱりあれ行かないとダメッスか?」
「いや~、あれは無理ですよ~!」
「ガハハ!!!」
俺たち全員が示し合わせたかのように意図的に無視していたものにとうとう触れてしまった【槌鍛治士】。
あの断崖絶壁を、あの高さまで登るのは誰もが忌避するものだ。
多分ここにいる全員が(誰かあれに気づいて取りにいってほしい)とスルーしていたが、ここまでの成果を見る限りそろそろチャレンジしないとログアウトする時間になってしまう。
「……登らずに落とすっていうのはどうですか!
いや~、私の新兵器があるんですよ~!」
ボマードちゃんの新兵器?
どうせろくでもないポンコツ兵器だろ?
「やっぱり私にだけ辛辣じゃないですか?
いや~、そういうところが好きなんですけどね!
……兵器は【槌鍛治士】さんお手製なので、安心してください!」
【槌鍛治士】が作ったやつなら信頼できそうだ。
なにせ俺の相棒だからな。
「ガハハ!!!
さっそくワシが作ったものの出番というわけだな!!!」
「じゃ~ん!これですよ~!
いや~、私にとっては念願の兵器と言っても過言じゃないですから嬉しいですね~!」
そう言ってボマードちゃんが取り出したのは、大きなドングリのような見た目ものだ。
だが、鉄で覆われているから形が似ているだけっぽいが。
これはいったい……?
「見ててください!
そぉーい!」
ボマードちゃんがちからいっぱいその金属ドングリを投擲した。
目標は断崖絶壁の先にある枝!
だが、ボマードちゃんのデバフボディーではそこまで届かすことができず、金属ドングリは岩肌に激突した。
「あっ!!!」
ボマードちゃんが顔を青くしていると、金属ドングリは爆発した。
……これは手榴弾的なやつか!
「いや~、ようやく爆弾魔の名に恥じない攻撃方法を手に入れることができました!
感激ですね~!」
このゲーム始まってからボマードといいつつ、爆弾に関係ない攻撃しかしてなかったからな。
「新緑都市アネイブルで採取した金属ドングリの中に【包丁戦士】から大量にもらった拡散スイカを入れたものだ!!!
暴発防止機能をつけるのに苦労したのだ!!!」
あっ、俺があげた素材さっそく活用したのか。
俺は仕事が早い男は好きだぞ?
……でだ、ボマードちゃんはなんで顔を青くしたままなんだ?
「この当たり方だと私の経験上……」
経験上?
もったいぶるな、はやく話せよ。
「……岩雪崩になります~!!!
いや~、死に戻りです!」
そう言いながら、ボマードちゃんは崖下にいたので、爆発の影響で崩壊した岩肌に呑み込まれて光の粒子になった。
「ガハハハ!!!
こうなると思っておったわ!!!」
おい、それならやる前に止めろよ!
【槌鍛治士】と俺も迫り来る土石流に呑み込まれてなすすべもなく、死に戻りした。
あっ、【バットシーフ】後輩も俺の後方で死に戻りしてるな……
ボマードちゃんのせいで全滅じゃん!!
やっぱり、あいつは頭お花畑だったか……
死に戻り後、【バットシーフ】後輩が俺のところにやってきた。
「まさか、岩雪崩に巻き込まれるとは思ってなかったッスよ!
流石はボマードちゃんッス……」
まさかあんな感じでお開きになるとは俺も思ってなかった。
しかも、結局あの果物採れてないし……
そう落胆していると、きょとんとした顔をして【バットシーフ】後輩が声をかけてきた。
「えっ、これのことッスか?」
そういう後輩の手にはあの果物が握られていた。
……お前いつの間に!?
「つい手癖で盗っちゃったッス!」
やるじゃないか!
こういうときにお前の才能は使えるなぁ~!
今日はホクホクした気分で寝れそうだ。
盗れたり盗れなかったりする。
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