2182話 鉱石マニアの花魁鉱爵
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【大罪魔】から罪科石という特殊な環境下でしか手に入らない鉱石をもらったな。
【大罪魔】がリソースを溜め込むことで生成されるようになったものということなのできっと【熱狂剣山の地霊鉱爵】も持っていないだろう。
だからこそ、お土産としての価値があるってわけだな!
本当に渡りに船みたいな感じでもらえたので俺が悪運が強いと言われるというのも納得出来てしまうくらいには順調だ。
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
ここの洞穴を進んでいくと褐色で踊り子のような見た目の鉱人種族の【上位権限】レイドボス……【熱狂剣山の地霊鉱爵】の姿があった!
全く隠れてないのは俺を含めて討伐を挑んだプレイヤーが悉く簡単に返り討ちにされてしまっているからだ。
このままこのエリアにいる限り、地形利用をされて勝ち目がないのは周知のことになっていて安全を確信しているからだろうな。
「あちきに会いに来たということは何か用事があるということでありんすよね?
何を企んでいるのでありんすか?」
企んでるってわけでは……いや、一応企んではいるのか。
とはいえ隠しても仕方ないことだからお前には直球で話をしておこう。
【カニタマ】を倒すのを手助けして欲しいんだ。
「一心同体のようなあちきと【カニタマ】の関係性を知ってのことでありんすか?」
そりゃもちろん。
一心同体だからこそお前が【カニタマ】のことを一番分かっているはずだろ?
あいつは根っからのエンターテイナー気質だろうからな。
知り合いがいっぱいいて、賑やかな方が好きだろ?
それが敵対関係にあったとしても大歓迎してくれる……ってことはないだろうか?
「……それは……ありえんすね。
あちきが参加したとしても賑やかし要員が増えたとして喜ぶことでありんしょう。
【カニタマ】は勝ち負けという考え方ではのう、楽しいか楽しゅうないかで物事を判断しんすから」
だろ?
だったらそこに協力するのもお前にとってはある意味ではメリットになるんじゃないのか?
「いや、【カニタマ】にメリットはあってもあちきにメリットはかなり少のうござりんす。
リソースを割くだけの有益さがあれば検討してもいいかもしれんせんが」
……言ったな?
それだったらこれはどうだ!
俺はそう言いながら【大罪魔】から受け取った罪科石を【熱狂剣山の地霊鉱爵】へと見せていく。
すると【熱狂剣山の地霊鉱爵】は目の色を変えていった!
「これは罪科石っ!?
かつての対戦の後めっきり採れなくなり、もうこの世界に存在しねえと思ってやした!
これはこれは……是非とも欲しゅうござりんすね!」
お、おぅ……っ!?
急にテンションを上げてきたな!?
鉱人種族っていうだけあって、予想以上に食いついてきたな……
スーパーハイテンションってわけか。
「これは技術体系が失われちまい希少になっちまった【失伝秘具】よりもあちきにとっては嬉しい代物でありんすね!
またお目にかかれるとは……
ぜひとも最高まで極めた七つの大罪全てを配合させた罪科石で結晶を作り上げてみたいものでありんすが、今ではそれも再現不可能でありんすからね……
でありんすが、七つの大罪ということだけであれば可能……でありんすか!」
コラコラコラコラ!
急に饒舌になるな!
ただでさえ花魁言葉で聞き取りにくいっていうのに……
だが、お前の要求は分かった。
七つの大罪を込めた罪科石が欲しいんだろ?
俺が集めてきてやるよ。
そうしたら【カニタマ】討伐のため総力戦に参加してくれよな!
「わかりんした」
そうして【熱狂剣山の地霊鉱爵】によるユニーククエストが発令されて、約束は成文化されたのであった……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




