2180話 鳴る2つの真実
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【海図航海士】に深海種族関係の攻略の進捗を聞きに行っていたな。
最近では海のトッププレイヤーと呼ばれるほど知名度が上がってきていた【海図航海士】だが、その自覚はなく、そしてこれからもそこを変に意識したり責任感を持ったりするわけではなく自分が思うがままプレイすると言っていたので良くも悪くもマイペースなのだろう。
そして、【カニタマ】討伐のための助っ人レイドボスや弱体化ギミックなど見つけるのに協力して欲しいとのことだったので探していくことにしよう!
というわけでやって来ました沼地エリア……無限湖沼ルルラシア!
ここにとあるプレイヤーを探しに来たのだが……
「呼んだかな?
私を探している気がしたんだけど、どうかな?」
呼んでないけど探していたプレイヤーが唐突に気配もなく現れてくれた。
俺が気配を読めないプレイヤーは数少ないが、その中の一人……ステッキ次元所属(?)の【双真ナル】だ。
そうそう、お前を探していたんだ。
海エリアの攻略を推し進めたわけだから、【カニタマ】の攻略にも協力してもらおうかと思ってな。
レイドボスの助っ人とか、弱体化ギミックを探してるからその心当たりとかあれば教えてくれ。
「そうだね……
関係が深い【熱狂剣山の地霊鉱爵】かその配下になっている【熱狂山脈の鉱炎猿王】がまず可能性として何か情報を握っているかもね。
種族的にも関わりがあるし、読んでいた限りだと仲も良さそうだったから」
なるほどな。
だが、仲がいいならそう簡単には協力してくれないんじゃないのか?
裏切るみたいな感じになるし……
「普通ならそうだろうね。
だけど、【カニタマ】に関しては賑やかな方が好きなタイプのレイドボスだから大勢のプレイヤーや知り合いレイドボスが集まってくれたら喜ぶ……と考えてもおかしくはないはずだよ?」
そういう考え方もあるか……
それは予想外な発想だったな!?
俺はこれまで助っ人として引き合わせてきたレイドボスは戦う相手に敵意を持っているやつらばっかりだったから、それを前提に考えていたのもある。
……というか今回の場合は【カニタマ】がおかしいだけって気もするが。
「そうとも言うだろうね。
うちのおじいちゃんならもっと奇天烈なことをするんだろうけど、無難に話の流れを壊さない程度に合わせていくならこの辺りだよ。
ギミックは……とりあえず次の深海種族レイドボスを倒さないと。
今の時点でやるなら航路権を活用して施設の活性化をするのが近ミチかな?
海エリアの攻略は何にしても賑やか、楽しいのエンターテイメント性を意識していたらそれだけで文字通り波に乗れると思うよ」
随分と詳しいな……
もっとふわっとした回答が返ってくるかと思ったが、思ったよりもガッツリ答えてくれたな……
かなり具体的だったので正直助かるぞ!
「この包丁次元は放置しておくと全然海エリアの攻略が進んでいかないからね……
本来なら3体目のレイドボスを倒すのにもあと500話くらいかかってたはずだから、それだと海の影響力が弱すぎて私も困るんだよ。
それを二体分押し進めたからこそ、このタイミングで深海種族の【上位権限】レイドボスの【カニタマ】を倒すという流れが新たに生まれたのだから嬉しい限りだね」
こいつ……本当になぁ……っ!
どうやらまだまだ何か狙い目があるようだ。
そのために俺を露骨に誘導しようとしてきている。
だが、その上で【双真ナル】の協力を得ないのは愚策だ。
使えるものは使わせてもらうぞ!
「望むところだよ。
Win-Winの関係といこうじゃないか」
相変わらずこのプレイヤーも中々胡散臭いですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




