2175話 ボマードちゃんのコソコソ話
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
ここ数日はリアルでの用事が忙しくてまともにログインして活動することは出来なかったな。
その代わりに掲示板をゆっくり閲覧したりしていたんだが、やはり直近であった大きな出来事として陣営対戦についての話題がよく取り上げられていた。
……まぁ、参加人数も多かったみたいだし、そりゃそうなるよな。
ボトムダウンオンラインの敵役としての目玉である【上位権限】レイドボス同士のぶつかり合いが起きるとなれば野次馬も沸き立つというもの。
俺だって傍観者ポジションだったらどれだけ気楽に高みの見物を決めていたか分からないくらいだ!
というわけでやって来ました新緑都市アネイブルのほのぼの市場!
ここにボマードちゃんを呼び出していて、機戒種族側についていた理由とか聞いてみようかと思ったわけだ。
「【包丁戦士】さんから呼び出されるのはいつでも嬉しいですね!
いや~、求められてるって感じが最高ですね~!」
承認欲求が満たされるってやつだろうか?
だが、ボマードちゃんはアイドル活動でその辺りの欲求は満たされてそうなイメージはあったんだがな……?
「それはそうなんですけど……
いや~、【包丁戦士】さんだけは別格ですって!
他の人からは得られない栄養が取れますよ~!」
はいはい、いつもの戯言ね。
……と、そろそろ本題といこうか。
ボマードちゃんは何で機戒種族側で戦っていたんだ?
【槌鍛冶士】と好き好んで敵対しようとしたとは思えないんだが……
「それはそうですよ、【槌鍛冶士】さんも大事なクランメンバーですからね~!
いや~、【包丁戦士】さんも過去に経験したと思うんですけど機戒種族側で強制参加させられちゃってたんですよ!
多分ジェーライトさんの意思が私の身体の中で生きてたので、テイマーみたいな扱いをされたのかもしれないですね~」
ほう、ボマードちゃんも俺と同じ考え方をしていたか。
ただの頭お花畑じゃないってことか……?
……いや、待てよ?
そっちにはアイツがいたな。
「ヴッ……【包丁戦士】さんにはバレちゃいましたか……
いや~、【検証班長】さんの考察をそのまま覚えてただけなんですよ!
【検証班長】さんも興味深そうにしてましたからね。
色々と考えてくれてましたよ~」
まぁ、【検証班長】の考察だろうな。
ボマードちゃん単体から出てきてたらビックリするわ!
「【トランポリン守兵】さんも同じ様になっていたみたいなので、多分合ってるって言ってましたよ~
いや~、レイドボスの意思を身体に宿してるプレイヤーが【トランポリン守兵】さんと私しかいないみたいなので、これ以上は調べられなかったみたいですけど」
「そんなプレイヤーが何人もいたらオレも困るゼェ……
イャ~、この身体にも慣れてきてそこそこ戦えるようになってきたから、このまま定着するのも悪くないと思えてきてるナァ」
しれっと会話に混ざってきているのは元レイドボスの【ジェーライト】だ。
ただ、その声はボマードちゃんの口から流れてきているので、端から見たら完全に独り言である。
というか、定着するなよな!
ボマードちゃんの人格と身体のリンクが無くなると流石に寂しいからな。
それはそうと、ボマードちゃんは陣営対戦中はどんな風に活動していたんだ?
「私は【ハリネズミ】の皆さんと一緒に活動してましたよ!
いや~、【ハリネズミ】の皆さんが【マリシャス】の皆さんを狙ってたのでほとんどクラン【コラテラルダメージ】内での戦いみたいでした」
あぁ、そこにボマードちゃんも参戦していたのか。
まぁ、変に動き回るよりは良かったかもしれないな。
あいつらとしてもボマードちゃんの戦力を使って【マリシャス】に挑める機会になったわけだし、そう悪い話じゃない。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




