217話 突入!洞穴
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
岩山エリアでポリンお嬢様とエリア周回の約束をしたから、今日はその約束を果たしに行くとしよう。
「まずはここですわ!」
意気揚々と俺の前を歩き誘導していたポリンお嬢様と後ろから着いていった俺が到着したのは岩山エリアにある洞穴の入り口前だ。
検証班の支部がある洞穴とはまた別の場所でもある。
俺が岩山エリアに来るときは基本的に検証班の支部がある洞穴と、レイドボスがいる頂上しか用事が無かったので他については知らなかった。
というわけで、この洞穴は俺にとって未知のゾーンってわけだ。
で?
ここには何があるっていうんだ?
「それは入ってからのお楽しみでしてよ?」
なるほど、そういう感じか。
いいだろう、直接この目で確認してやるか。
俺が洞穴に入っていくと、奥の方が何やら光っているのを確認できた。
洞窟の入口が光っているというのは分からなくもないが、奥が光ってるのは違和感プンプンだ。
ポリンお嬢様が意味ありげに黙ってたのはあれが原因だろうか。
「そういうことですわ。
さあ、早くいきますわよ!」
身体を鍛えているのか、タンク系プレイヤーにしては早い動きで先に洞窟の奥へと走り去っていったポリンお嬢様。
あっはっはっは、どこへ行こうというのかね!?
そして、たどり着いた先ではポリンお嬢様が青く光輝いていた。
……というよりは、辺りから照らされている光がそのまま当たって輝いているようにみえるだけか。
洞窟の奥には広間のような空洞が空いていて、壁一面が青く輝く水晶に覆われていた。
その水晶から放たれる光は、どこか冷たく、ここにいると凍えてしまいそうな感じさえした。
壁一面が水晶に覆われているって光景は神秘的だな。
鍾乳洞の水晶版って感じで、壁から鋭く釣り下がっているものもあるから、落ちてきたら刺さって死ぬ可能性は非常に高いが、それさえも忘れ去ってしまうくらいの価値はあるものだ。
だが、俺が求めたのは神秘的な光景じゃないぞ?
「もちろん存じ上げておりますわ。
ですが、レア度が高いものというのは、このような場所にあると思いませんこと?」
……まあ、それはあり得る話だ。
RPGとかでも、神秘的な寄り道スポットに隠しアイテムがあったりするしな。
このプレイヤーに人権のないゲームでそんなぶっ壊れアイテムが、ここみたいな簡単にはいれる場所で手にはいることはないと思うが、珍しい素材みたいなのくらいあってもおかしくはない。
「そういうことですわ!
さあ、この辺りで探しますわよ!」
了解だ!
というわけで、俺は部屋の中央から調べていく。
この広間の中央には大きな水晶がどかん置かれて存在感を放っており、魅力的だ。
だからこそ、ここから調べるわけだが……
どこをみても水晶、水晶、水晶、水晶!!
青く輝く水晶が群生しているだけで、他のものが周りにないな……
おーい、ポリンお嬢様の方はどうだ~?
俺の方は完全に外れだったので、別の場所を探しているポリンお嬢様に期待を託して聞いてみるが……
「……こちらも水晶しかありませんわね。
水晶自体は素材になったりしますが、食材とは言えないですわね……」
これを食べろと言われても困るからな……
あるいは、元レイドボスのミューンなら食べてもおかしくはないが、たとえ食べられたとしても俺の調理が出来ないから料理としては認識されないだろう。
「困りましたわね……」
……冷たっ!?
二人で、頭を抱えながら唸っていると、頭に何かが垂れてきた。
……冷たっ!?
まただ。
俺はどこから垂れてきているのか確かめるべく、洞窟の天井に目を向けた。
……やっぱり水晶しか生えてないよな。
ってことはもしや!
「この水のようなものは水晶から作られているのかしら?」
やっぱりそう思うよな。
俺もそう思った。
というわけで、少しずつ垂れてきている水を容器に溜めてみる。
そして、コップ一杯分溜まったところで、それをぐいっと一気飲みだ!
「躊躇わずに一気になんて豪快ですわね……」
誉めるな誉めるな笑
……まあ、警戒しろっていう嫌味なんだろうが。
で、水晶水を飲んでみた感想だが……
まず、塩気があるな。
鉱石系のミネラルを含んでいるのだろう。
海水よりは薄く、スポーツ飲料に近い感じか?
だが、喉元を過ぎる瞬間に広がる独特な甘さ!
この感覚は既存の食材で生み出すことができない新感覚だろ!!
「どうやら満足していただけたようで?」
ニヤニヤしながら俺に迫ってくるポリンお嬢様。
……悔しいが、この水晶水は確かに貴重なものだ。
レア度が足りるかは分からないが料理に組み込んでみるか。
冒険系料理漫画の世界ではないですが……
……私にも献上するように!
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