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2165話 雷鳴のカイ

 「え、ええっ!?

 しょ、承知しましたぁっ!?」



 そういいながら腕くらいの大きさの剣を両手で構えていったのは流石戦闘力に自信のある方の聖獣って感じだ。

 【カイ=フジン】が人型で扱う武器は黄金の双剣で、それを両手に構えているのは様になっている。



 「oh!

 聖獣がこのタイミングでミーと敵対するなんて予想外デース!

 ……プレイヤーに堕ちたとはいえ、次元天子が向こう側にいる以上はあり得ない話ではないが」



 ん?

 何か久しぶりに【荒野の自由】の口調がブレたな?

 前はエセ外国人みたいなやつと半々くらいだったのに、最近はエセ外国人口調ばかりになってたからな。

 【風船飛行士】みたいなものだろうか?


 それはそうと、流石に【カイ=フジン】には警戒を示していたな。

 俺が次元天子だからその繋がりがあるのは即看破されてしまったわけだが、俺への注意はさほどされていないみたいなのでヘイトを買わずに最前線を支援するという作戦は一応成功したって言っていいのかもしれない。



 「ご主人様からの命令です!

 カイの双剣捌き……とくと堪能してください!」

 「不完全な聖獣がミーを満足させられるとは思えまセーン!

 格の違いを思い知りなサーイ!

 【ショット】!」

 


 そうして【荒野の自由】は獲物を再び機戒銃に持ちかえて距離を取ると、銃弾を放ちはじめた!

 【ジャッジメントバレット】じゃなくて別のカタカナスキル【ショット】を使ってきたのは……多分相手が聖獣だからか?

 清廉潔白な聖獣には悪特効の銃弾の効きが悪いってことだな、一つ勉強になったぞ。



 そんな銃弾を【カイ=フジン】は黄金の双剣で弾きながら【荒野の自由】へと迫っていく。

 だが、双剣は一撃弾く度に欠けていってしまっているようで、その姿がどんどんボロボロになっているな。



 「ご主人様と違ってカイの双剣はチュートリアル武器ではないです!

 強烈な一撃を受けたら砕け散るのが世界の理です!」



 ここがプレイヤーとNPCの扱う武器の最大の違いだろうな。

 確かに性能はレイドボスたちの持つものの方が高いだろうが、それは有限のものだ。

 プレイヤーが唯一優位に立てるのは無限の耐久力のある武器ということなのだろう。

 それは天昇箱庭側のプレイヤーと戦っている時にも痛感したので、【山伏権現】の目指すものにも関係してくる拘りなのかもしれないと最近思うようになってきた。



 「ここまで踏み込めばカイの間合いです!

 スキル発動!【金鯱轟雷】!」



 ここで【カイ=フジン】が発動させたのは初見のスキル【金鯱轟雷】だった。

 全身から稲妻を放ちはじめ、移動スピードも急激に上昇した!

 あれはきっと体内にも稲妻を反映させて、身体を活性化させているんだろうよ。



 「万能メイドは仕事も一瞬で片付けないとですからね!

 広い天子王宮の掃除を丁寧に、素早く終わらせるためには必須のスキルなのです!」



 おいおい、掃除する度にスキル使ってたのかよ……

 しかもバリバリの戦闘向けスキルなのにな。

 仕事への拘りっぷりは伝わってくるが、その一方で暴走しがちな言動は昔からだったようだ。



 「ここまで詰められてはミーも対応を変える必要がありマース!

 【ペネトレイト】」



 【カイ=フジン】の急接近に対応するために【荒野の自由】は機戒の槍を生み出して、それで突きを放っていく。

 それを腕でガードした【カイ=フジン】だったが、片腕がそのまま貫かれてしまい使用不可となってしまったようだ。



 「ああっ!?

 カイの腕に穴が空いたですよ!?」

 「ミーの力をもってすればこれくらいはイージーデース!

 不完全な聖獣なら一撃で致命的なダメージを与えマース!」



 【カイ=フジン】は聖獣だが、まだレイドボスとしての格は取り戻していない。

 最近スキルは取り戻したみたいだが、それでも他の一度プレイヤーに破れた聖獣レイドボスたちみたいに人型レベル……まぁ、ゲートキーパー以上レイドボス未満のスペックでしか行動できないわけだ。


 そりゃ、【荒野の自由】にも一撃で片腕を破壊されてしまうわけだな!

 それでも他のプレイヤーならあの一撃で死に戻りしているだろうし、片腕だけを犠牲にして生き延びることが出来たのは流石と言わざるを得ないだろう。


 

 「次でトドメを刺しマース!

 【ピアシング】」



 【荒野の自由】は槍をそのまま突き刺していった。

 【カイ=フジン】はそれを黄金の双剣で防いでいったのだが、それを貫通していったわけだ!



 「なんで!?

 カイは確かに防いだはず!?」

 「ミーの【ピアシング】にガードなんて意味がナッシングデース!

 テクニカルスキルのことを侮り過ぎデース!」



 そうして【カイ=フジン】は赤色の砂となり送還されていってしまった……

 健闘はしてくれたが、あれだけの力があっても時間稼ぎレベルにしかならなかったか……





 【カイ】、よく頑張りましたね。

 ゆっくり休憩するといいでしょう。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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