2155話 カタカナ連発
「まだまだ行きマース!
ミーのスキルは無限大デース!
【イグニッション】【アクセラレート】!」
【荒野の自由】が今度手元に出したのはビル一棟ほどありそうな巨大なドリル……いや、パイルバンカーだった。
それをあの身体で軽々と支えているのはそれだけ身体スペックが高いからなんだろうが、流石に規格外過ぎるだろ……
あんなもの受けたらレイドボスだって一撃で粉砕されてしまうこと間違いなしだ!
それを俺に向けて放つなんてオーバーキルにもほどがあるぞ!
直撃したら俺100人が即死しそうだ!
そしてそれに合わせて放たれたのはカタカナスキルの【イグニッション】と【アクセラレート】だ。
パイルバンカー次元の【ギアフリィ】も同じ組み合わせで使っていたが、もしかして【荒野の自由】からの受け売りなのか?
それとも相性が良すぎて偶然被ったのか……
どちらにしても溜めが必要な超火力と、その溜めを無視できる加速スキルが組み合わさったらヤバいってことは間違いない!
……さて、刻一刻と迫り来るビルサイズのパイルバンカーだが、あれをどうやって対処すべきか。
まともに受け止めるというのは論外だが、他に取れる選択肢はあるか……?
迎撃も無理だし、あのサイズだと回避しても周囲に広がる衝撃波に巻き込まれて死に戻りしてしまう可能性も高いな。
躱してもだめ、受け止めてもだめ、迎撃もだめって八方塞がりじゃないか……(困惑)
だったらこれを使うしかないな!
何とかギリギリ条件を満たしてるし、今こそ切り時か。
スキル発動!【刻犬舌針】!
俺は犬の舌を象ったような時計の針を生み出し、それを前方に上方へ展開していく。
落下最中の【イグニッション】と【アクセラレート】を起動した状態のパイルバンカーはそれに触れると急に力を失いはじめた。
ライブハウスにいるかのような駆動音も止まり、加速も収まっていた。
深淵状態で使うと【刻犬舌針】はスキルの巻き戻しを行うことが出来るからな!
これで【イグニッション】と【アクセラレート】を発動前の状態まで巻き戻せたわけだ!
これで安心。
あのビルサイズのパイルバンカーも消えたということはスキルで生み出したのだろう。
だが、【イグニッション】や【アクセラレート】、そして前に使ってきていた【サザンクロス】は武器を生み出す効果を伴っていなかったはずだ。
【荒野の自由】が使えそうなスキルで、武器を生み出せそうなもの……
何かあったか……?
そう考えながら距離を取っていると、【荒野の自由】の後ろには赤色の砂が舞っていることに気がついた。
荒野という名前がついているから砂が伴っていてもおかしくないんだろうが、あの砂には見覚えがある。
何なら俺でも出せるからな!
そう、機戒種族スキルの【想起現像】だ!
「ノー!
ミーが使っているのはその派生スキルの【創機幻像】デース!
底辺種族向けにダウングレードされたものではありまセーン!」
【荒野の自由】は指を振りながら俺を挑発してきた。
俺を追い詰めているからか随分と余裕のある雰囲気だな!?
それにしてもスキル【創機幻像】か。
パイルバンカー次元のやつらも使ってきていたからやはり機戒種族用みたいなものなのかもしれないな。
だが、どう性能が違うのかは今のところ俺に情報がないから、とりあえずこの場合は機戒の武器を生み出してくるってことだけ念頭に置いておくしかないだろうな。
「今日はいつもよりも一段としぶといデース!
ワンダホー!
そんなユーにはダイレクトアタックよりもこれデース!
【スロー】【キャプチャー】」
そう言って【荒野の自由】は機戒で作られたロープを手元に出現させて、それを俺に向かって投げてきた。
そしてそのロープはただ飛んできているわけではなくて、明確に俺に向かって飛んできている。
具体的に言うなら……追尾されてるってことだ!
コラコラコラコラ、ついてくるな!
「抵抗は無駄デース!
【キャプチャー】の捕縛には抗えまセーン!」
そうして【荒野の自由】の言うように俺の左腕がロープに捕縛され、【荒野の自由】から距離を取ることが出来なくなってしまった。
試しにロープを包丁で切り離そうとしたのだが、流石は【上位権限】レイドボスが作り出しただけあって全くびくともしなかった。
これはもしや絶体絶命か!?
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




