2154話 カタカナ乱舞
「まずはユーを逃さないためのこれデース!
【ジャッジメントアイ】!」
【荒野の自由】はその目を煌めかせて俺を本格的にターゲティングしてきたようだ。
【ジャッジメントアイ】が罪を暴くのは知っているが、具体的にどこまでどういう効果があるのかまでは知らないから何とも言えないが……
「前に視た時よりもギルティになってマース!?
アンビリーバボー!」
何かいつもより【荒野の自由】のテンションが高いな……
あんまり会ったことがあるわけじゃないが、こんなにテンション高かったか?
戦闘の高揚感だろうか……
そして【荒野の自由】が言っている俺がギルティになっているというのは大罪……暴食の称号が増えていることに言及しているのだろう。
【石動ガンジ】と戦っていたときに久々に増えたからなぁ!
とりあえず時間稼ぎに徹するための姿に変身しないとな……
スキル発動!【深淵纏縛PP】!
俺は深淵の黒い霧で身体を覆っていき内部から作り替えていく。
そして、霧が晴れると俺の姿は緑色のゴスロリ姿へと変化していた!
背中には漆黒の両翼が生えており、飛行戦も可能になる!
これがルル様のゴスロリフォームだ!
やっぱりこの姿が万能だよなぁ……!
「自らの罪と向き合いなサーイ!
【ジャッジメントバレット】!」
【荒野の自由】は俺が変身している最中を狙ってしれっと【ジャッジメントバレット】を放ってきた。
さっきモブプレイヤーたちを蜂の巣のようにしていた強烈な弾丸だが、あれは悪に類するものへの特効がある弾丸でもある。
何が言いたいのかというと、深淵種族の力を纏っていて暴食の大罪を烙印されている俺はかすっただけでも致命傷になってしまうということだ!
……考えただけでも身震いしたくなってきたな。
だが凶弾は今にも俺に迫ってきている。
前には黙視できなかったが、今回は他のモブプレイヤーたちにも連射していたこもあるので【荒野の自由】が疲弊しているのもあって何とか対応できそうだ。
スキル発動!【塞百足壁】!
俺は深淵の黒い壁を眼前に張り巡らしていく。
「そのようなウォール、ミーの【ジャッジメントバレット】が一撃で粉砕しマース!」
【荒野の自由】は自信満々に言い放ったが、その通りになるだろう。
俺だって【ジャッジメントバレット】が【塞百足壁】を粉砕しないとは到底考えてないからな。
【塞百足壁】も深淵スキルだし、【ジャッジメントバレット】の悪特効の対象でもあるからな!
だが、ぶつかった衝撃で角度を変えるくらいはできるってわけだ!
その証拠にほら、見てみろ!
「【ジャッジメントバレット】が上に逸れたっ!?
ユーは小賢しいデース」
小賢しくて結構!
生き延びるためならどんな手段でも使ってやるさ。
「でも、【ジャッジメントバレット】を破壊できなかったのは失策デース!
【キャスリング】!」
おいおい、【キャスリング】!?
何と場所を入れ換えるっていうんだ!?
【荒野の自由】が使ってきたカタカナスキル【キャスリング】は望遠鏡次元MVPプレイヤーの【牛乳パフェ】も愛用していたものだ。
自分の場所を入れ換えるものなんだがこの近くにはプレイヤーはいないし……
……まさか!
俺は思い当たって上を見上げてみるとそこには【荒野の自由】が上空から俺を見下ろしていた。
そう、俺が逸らした【ジャッジメントバレット】と場所を入れ換えてきたってわけだ!
そんな芸当も出来るのかよ……
「ギルティなミーにはこれがお似合いデース!
【サザンクロス】!」
上空から追撃をしかけてきた【荒野の自由】は手元に機械で作られた十字架を複数生み出し、手裏剣のようにして投げてきた!
【サザンクロス】は十字架次元のMVPプレイヤーの【綺羅星天奈】が愛用していたカタカナスキルだ。
あいつの場合は巨大な十字架でやってきていたが、【荒野の自由】の場合は小型十字架複数なので全く別の対処をしないといけない。
スキル発動!【衆合巣蜂】!
俺は小型の蜂たちを前方に展開していって【サザンクロス】の十字架たちの進路を妨害していく。
当然一撃で深淵の小蜂たちは消えてしまうのだが、それで充分!
おかげさまで【サザンクロス】の着弾地点からは逃れることが出来た!
深淵の漆黒両翼があったのもあって現場からの回避に力を貸してくれたのもデカかったな。
俺の足だけでは間違いなく十字架の雨から逃れることが出来なかったことだろう。
……やっぱり深淵細胞を重ねた【深淵纏縛】でも機戒種族の【上位権限】レイドボスである【荒野の自由】を相手にするには力が足りなさすぎるな!?
当然デース!
この程度では相手になりまセーン!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




