2152話 戦線の先細り
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はまさかの【リフレクトミラーディフェンダー】と【ドライバー修理人】という二人に敗北を喫することになった。
二人とも各クランの幹部級の強さはあるとはいえ、ワンランク下がる強さというイメージがあったからなぁ……
コンビネーションというより機体相性を合わせてきたという感じで、ジョブ【パイロット】を最大限活用した強みの押しつけにやられたな。
というわけでやって来ました封印の森ダンサムント!
ここに来た途端、また脳内に無機質な声のアナウンスが鳴り響き始めた。
【ワールドアナウンス】
【alert!】
【【上位権限】ー【movement】】
【【荒野の自由】の自由特権が起動!】
【陣営対戦中で本来【上位権限】レイドボスが必要とするリソースを無視して出陣が可能になりました】
【現在進行許可が出ている範囲……針樹林】
【日数の経過で広がります】
くっ、針樹林まで来れるようになったのか……!?
もはや封印の森ダンサムントの目前まで来れるってことじゃないか!
つまり、【荒野の自由】がその辺りで陣取っている限り森人種族側プレイヤーたちの参戦ハードルが爆上がりするわけだ。
何故なら森人種族側のプレイヤーを見つけ次第【荒野の自由】が自ら処理すればいいんだからな。
これまで機戒兵や機戒種族側のプレイヤーに任せていてもどかしかった部分の半分ほどが自分で出来るなら、さぞや手っ取り早かろう。
「ちょっwww
【荒野の自由】がいる場所が変わっただけでこっちの戦力が急激に酷いことになっててワロエナイwww
前線の押し込みペースが激しくて情報戦やってる場合じゃなくなったンゴねぇwww 」
どうやら【風船飛行士】も戦線復帰してきたようだ。
まぁ、ここまで来ると情報云々というより戦場の人不足を先に何とかしないといけないからな……
やむを得ずといったところだろう。
「【風船飛行士】も出てきちゃったのね?
【包丁戦士】ちゃんと二人きりでもうちょっと触れ合いたかったわ~」
「ちょっwww
オレの立場無さすぎてワロタwww
【包丁戦士】に負けるって泣けてくるンゴねぇwww 」
コラコラ、カップルでイチャイチャするな!
口のなかお砂糖いっぱいででジャリジャリして来そうなんだが……
「とりあえず機戒兵を倒しながら【荒野の自由】を倒しに行くしかないなwww
自分で言ってても無謀すぎてワロタwww 」
「でも、【風船飛行士】の言ってるみたいにこっちが攻められてて前線を押し上げるには【荒野の自由】を止めるしかないわよね?」
そうだろうな。
機戒種族側の攻撃に時間制限があるわけでもないからそこを叩くしかないだろう。
とはいえ、【荒野の自由】相手に太刀打ち出来るやつなんていないけどな……
今回の陣営対戦のリーダーである【槌鍛冶士】が戦闘力に自信がない【上位権限】レイドボスだから、そこを頼ることも出来ないのが辛いところだよな……
これまでだと俺がいた側の【大罪魔】とか特に本人が直々に戦闘に参戦して敵勢力を削いでくれていたから、まるで今回の【荒野の自由】はそれを参考にしているのかもしれないな。
「でも、宿敵の罪魔種族のことを参考にするかしら?
プライドとかありそうだと思ってたんだけれど」
元々はそのつもりだったんだろうが、今回の【荒野の自由】の戦術や下準備の無法っぷりからしてどんな手段だろうが勝てればいいって方針なんだろう。
それがかつて宿敵が使ってきていた戦術だろうとな。
いや、むしろそれで過去に自分が負けているから厄介さが身に染みたんだろう。
自分で使うくらいには……な。
「そういうことだなwww
ある意味可哀想だがwww 」
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




