2151話 アッシュバレルとフレイムギア
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【荒野の自由】が攻めてくるアナウンスが流れていたな。
一定時間経つと【荒野の自由】がさらに近くまで来るようだが、それまでに何とか機戒兵たちを完全排除しておきたいところだ。
というわけでやって来ました封印の森ダンサムント!
俺が到着するとひときわ目立つ機戒兵が森林伐採を積極的に行っていた。
赤色の機体に黄色のラインが入った機戒兵……フレイムギアだ!
つまり、それを駆るプレイヤーもいるというわけで……
「出たわね、【包丁戦士】ぃ!
オジチャンが出る幕もないように私が倒す!」
そう、【リフレクトミラーディフェンダー】だ!
パイロットスーツのような衣装でフレイムギアに乗っているので様になってるな……
【短弓射手】の相方で、世界剣種【戒炎剣レヴァ】の担い手でもある。
「えっと、その、あの……
アッシュバレルも並走させてます……」
その隣には灰色の機戒兵のアッシュバレルに乗った、クラン【検証班】所属の2つ名持ちプレイヤーの【ドライバー修理人】もいた。
こいつは【検証班】の有能メカニック枠らしいな。
こいつらの共通点はジョブがパイロットってところだ。
まぁ、機戒兵を連れている時点でお察しなのだが。
「【包丁戦士】ちゃん、モテモテね!
これまで戦ってきた機戒兵たちよりも明らかに仕上がってそうな見た目だからお姉さんも気合いを入れないといけないわね」
そういうことだな。
特に【リフレクトミラーディフェンダー】のフレイムギアは気をつけろよ?
ギミックが凄いというか純粋に強い機体だからゲートキーパーを相手にするくらいに気でいないと負けるぞ!
「了解よ!」
「えっと、あの、あれ……アッシュバレル!
灰塵弾倉装填……してくださぃ」
「ちょっと、私を置いて先に攻撃仕掛けないでよね!
ここで手柄を立ててオジチャンに誉めてもらう作戦なんだから!
スキル発動!【機炎万丈】!」
まず仕掛けてきたのは【ドライバー修理人】。
アッシュバレルから弾丸が放たれると、そこから灰のようなものが周囲に飛び散っていった。
これだけでは攻撃力はないのだが、何を考えているんだ……?
そして、次に仕掛けたのは【リフレクトミラーディフェンダー】。
フレイムギアを経由して自身が放ったスキル【機炎万丈】で生み出した火炎放射器を灰のなかへ次々と投げ込んでいったようだ。
こいつら、いったい何をしたいんだ……??
……いや、待て待て待て。
最近似たような光景を見たことがあるぞ!?
【虫眼鏡踊子】っ、全力で退避だっ!
ここにいたら死に戻り確定だ!
「えっ、【包丁戦士】ちゃん?
それってどういう……?」
「【包丁戦士】は気づいたみたいだけどもう遅いよ!
オジチャンに教えてもらった戦術、じっくり味わいなさい!」
「えっと、その、あの……
【検証班長】さんも一緒に考えてくれた戦術です……」
くそっ、間に合わないっ!!!
粉塵爆発が来るぞっ!!!!!!!
次の瞬間、周囲に舞っていた粉塵たちが爆発を起こしていきそれが連鎖していく。
それは俺と【虫眼鏡踊子】、【ドライバー修理人】、【リフレクトミラーディフェンダー】を巻き込んでいった!
俺と【虫眼鏡踊子】は当然そのまま巻き込まれて死に戻りしていっている最中なのだが、向こう側はと言うと……?
「ふふん、【包丁戦士】を倒したわ!
こっちは大ダメージこそ受けたけど生きてる!
オジチャンに褒めてもらうぞ~!」
「えっと、あの、その……
こっちの二人で組む前提だったのでフレイムギアとアッシュバレルを粉塵爆発に耐えられるカスタムに変えていました」
そうか、機戒兵はパーツを変えたら性能も変えられるもんな……
してやられたな……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




