2150話 明確な敵意
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は俺が2つ名持ちプレイヤーを集めて他の森人種族側のプレイヤーの負担を減らそうとしていたな。
それでモブプレイヤーも大量に俺の悪名に食らいついてきて集まったんだが、それ以上に厄介なのは南北トッププレイヤーの【釣竿剣士】と【トランポリン守兵】お嬢様が揃って釣れてしまって大変なことになってしまった。
当然勝てなかったのだが、元々いた場所からずらしたり時間稼ぎは出来たのでトリックスター的な役割は果たせただろう。
【虫眼鏡踊子】がいなかったら正直きつかったな……
というわけでやって来ました封印の森ダンサムント!
ここに来たところ、急に脳内に無機質な声のアナウンスが鳴り響き始めた。
【ワールドアナウンス】
【alert!】
【【上位権限】ー【movement】】
【【荒野の自由】の自由特権が起動!】
【陣営対戦中で本来【上位権限】レイドボスが必要とするリソースを無視して出陣が可能になりました】
【現在進行許可が出ている範囲……草原エリア】
【日数の経過で広がります】
ゲェッ!?
とうとう【荒野の自由】が本格的に攻めてくるのか!
これまでの陣営対戦でも前線に【荒野の自由】が出てくることはあったが、【上位権限】を使ってワールドアナウンスを鳴らすほどのことまではしてこなかった。
つまりは封印の森ダンサムントの最深部まで【荒野の自由】本体が攻め込んで来るという宣言にも等しいってわけだ。
ここまで念には念を入れてくるなんて、【荒野の自由】は何を考えているんだ……?
宿敵である【大罪魔】相手にもここまで徹底的にやってなかったのに。
「ガハハ!!!
これまでの陣営対戦でリソースを費やしたにも関わらず戦果を上げられなかったからな!!!
ここで確実な成果を得ようということなんだろう!!!」
なるほど、そういう魂胆なら納得できるな。
【上位権限】レイドボスの中で今一番弱っていて、配下もいない種族となれば森人種族だからな。
手に入るモノ、エリアの便利さは共に微妙だが、確実に勝ち星を狙うなら穴場みたいなものだ。
酷い狙い方だ……
「ガハハ!!!
だが、戦略としては間違ってないな!!!
【上位権限】レイドボスの統治しているエリアを奪取したとなれば箔もつくというものだ!!!
次に他の種族に攻めていく時の足がかりになるだろう!!!」
先を見据えての行動ってわけか。
黒星がここまで【荒野の自由】についてなかったらもう少し価値のある種族を狙ったんだろうが、やむを得ずってところなのは悲壮感を感じるな……
「ガハハ!!!
収支を考えれば完勝したとしてもマイナスになるであろうほどにはリソースを注ぎ込んで陣営対戦を仕掛けてきているだろうからな!!!
テイマー系統全てを管理下に置く方式なのは該当プレイヤーも多くて、相応に消耗するのは間違いない!!!
よほど勝利に飢えていなければやらないはずだぞ!!!」
【槌鍛冶士】がそういうならそうなんだろう。
とはいえ、この分析は自分がどちらかといえば弱者であると認めてないと出来ないものだ。
ルル様や【菜刀天子】では出来ないだろうな……
唯我独尊って感じだし。
「ワシは強さや繁栄を求めているわけではないからな!!!
穏やかに過ごせればそれでよかったのだが、それでも狙われることが多かったからな!!!
逃げ隠れする術ばかり身につけたものだ!!!
ワシの情報操作能力はその辺りに由来しておるな!!!」
何とも悲しい由来だな。
だが、嫌いじゃない。
そんな【槌鍛冶士】を【荒野の自由】から何とかして守ってやらないといけない、強くそう胸に刻み込むのだった……
だれが薄い胸だ!
……誰もそのようなことは言ってない気がしますが?
全く、これだから劣化天子は……自意識過剰ですよ!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




