2143話 テイマーは敵!テイマーは敵!
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はまさかの陣営対戦のユニーククエストが発令されたな。
わりと久し振りだが、今回は珍しく俺が標的じゃないので逆に違和感があるくらいだ。
……とはいえ【槌鍛冶士】が危険なので結局機戒種族と戦うことになるんだけどなぁ。
というわけでやって来ました【封印の森ダンサムント】!
既に機戒兵に侵攻されているからなのか、防衛のための針樹林が機戒兵たちに伐採されていっており寂しい光景になっていた。
まだ半分くらいは残っているんだが、それでも万全の状態と比べると寂しさを感じざるを得ないわけだ。
おいおい、ここまでやるのかよ!?
「ガハハ!!!
まさかワシが標的に選ばれるとはな!!!
【荒野の自由】とはほとんど関わりを持たずに過ごしてきたのだがな!!!」
だよな。
深淵種族と聖獣の対立みたいな感じでバチバチに悪い関係じゃないだろうし、【槌鍛冶士】自身が大きな脅威になるわけでもあるまいしな。
【槌鍛冶士】に配下が多くいるわけでも、強権を振るうタイプでもないし……
「そうだな!!!
理由が分かれば一番なんだが、とりあえずはこの機戒兵たちを排除しないといけない!!!
この時点ではまだワシは戦闘に関与出来んからお前に頼んだぞ!!!」
【槌鍛冶士】は俺の頭を手でわしゃわしゃして頼んできた。
……しょ、しょうがないな。
やれるだけやってやろう!
今回は悪とされる陣営が無いから人数の偏りも少ないだろうし、いつもみたいに俺が明らかに少数派ってわけじゃないはずだ。
プレイヤーを募って防衛してやるぞ!
……と思って来てみたが、なんか機戒兵に騎乗して攻めてきてるやつの方が多くない!?
それと狼に乗ってきてるモブプレイヤーとかもいるし、何なら深淵獣を連れているやつも敵に回ってしまっている。
そして、樹林を守っているプレイヤーたちは逆に何も連れていない。
これはまさか……
テイマー系統のジョブに就いているプレイヤーは全員機戒兵側で強制参加なのか!?
前の陣営対戦では深淵細胞を取り込んでいるプレイヤーが強制的に深淵種族側として参加しないといけない縛りを受けていたことがあった。
それのパターンで、テイマー系統のジョブを強制参加の条件にして【荒野の自由】は挑んできたんだろう。
これは控えめに言ってかなりやばい。
控えめに言わなかったなら破滅寸前ってわけだ!
今この次元にはテイマー、パイロット、ブリーダーというテイマー上位派生のジョブが多くあり、それもあって3割から半分ちかくのプレイヤーはテイマーを選んでいることだろう。
多様性以外にもテイムモンスターを連れて歩けるのはVRMMOの楽しみ方を拡張するものでもあるし、転職条件が異様に軽いのもある。
加えて、包丁次元で一番初めに解放されたジョブだから試しになってみたプレイヤーも多いだろう。
そして、陣営対戦でテイマー多数が機戒兵と共に行動すると広まったら、テイマーじゃないプレイヤーも有利な多数派な方へ参加するのを決めることだろうよ。
ちなみに俺はボトムダウンオンラインエターナルをインストールしているので強制的に森人種族陣営に強制参加だ!
テイムモンスターを連れているから下手すると【槌鍛冶士】と対峙しないといけないかもしれなかったが、パッチの所持の強制力の方が強かったようだ。
まぁ、感覚的だからその優劣は理解できるぞ!
そして、俺は機戒兵に乗っているモブプレイヤーを集中的にキルして回ったのだった……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




