2135話 謙譲の美徳2
「だがこれで条件は満たされた!
刮目するといい!」
【美徳テキスト】
【【謙譲】が世界を凌駕する時、岩兵は救済される】
【Wake Up!】
【石動ガンジ】
【金鉱科ジュエリーゴーレム】→【金鉱科謙譲絢爛宝石兵】
【【謙譲】の権能により美徳進化しました】
【美徳の【生樹技能】が解放されました】
【【謙譲】レベルの上昇】
【【謙譲】時に相手との被害率対比でステータスが上昇します】
【【謙譲】の権能による特殊能力が貸与されます】
【大罪への敵対反応が発生しました】
出たな美徳反応!?
どうやら俺との被害率対比でステータスが変動するみたいだが、さっきので条件を満たしたとなれば身体が欠損していたりする状況が悪ければ悪いほどステータスが上がるのかもしれないな。
腹のど真ん中に空洞を空けたからようやく【謙譲】の美徳の権能が借りられたんだからな!
両足を失っている俺が相手だったからそれを越えるくらいの被害を受けるまでは起動できなかったのだろうよ。
難儀なものだが、案外大ダメージを受けた状態でこいつと戦えたのはラッキーだったのかもしれないなぁ!
そして、【謙譲】の権能によって【石動ガンジ】は身体が倍ほどのサイズになり、その周りには宝石が浮いて回り始めたのだ!
まるでロボットとその補助をするドローンのようだ。
天昇箱庭はモンスターの蔓延る魔境かと思っていたが、ロボットアニメのようなことも出来るんだな。
ロマンを感じるぞ!
「某の姿を見て逃げ出す者もいるのだがこれで目を輝かせるとは好き者だな。
だが、これを受けてもその余裕が持つか?
【美徳ー謙譲の招来】、それと【金鉱ー金剛の採】」
【石動ガンジ】が2つの【生樹技能】を組み合わせてやってきたのは、周囲に浮かぶ宝石を全てダイヤモンドへと変換させてそれを高速回転させてきたのだ!
しかもその周回範囲は広まったり狭くなったり不規則に行われているので変に近寄れないぞ!
これに巻き込まれたら即死間違いなしだからな!
こんなところまで防御は最大の攻撃っていうスタンスを崩さないのかよ……
徹底しているな……
「防御が整ったところで、そろそろ本命を狙わせてもらうとしよう。
あわよくばと思っていた【包丁戦士】との戦闘も堪能したが、今回の底下箱庭側のリーダーに据えられているであろうその白衣の青年を仕留めさせてもらう!」
……ちっっ!?
バレてたのかよ!?
「【包丁戦士】さん、表情が露骨すぎて正解と伝えてしまっているようなものだよ……」
「くくくっ、そちらの青年は見抜いていたか。
ある程度根拠はあったとはいえ、カマかけだったのだが素直に教えてもらえるとはありがたい」
くそっ、ハメられたのかよ……
そんな大層な【生樹技能】まで使ってきたんだから確信していたレベルで当てられたのかと思ったんだが、それは俺の勘違いだったようだ。
「【包丁戦士】さんはポーカーフェイスが苦手ですもんね。
とはいえ【石動ガンジ】の口振りからして遅かれ早かれ気づかれていたはずです。
バレてしまった以上はボクも死なないようにより気を付けます」
そう、今回の底下箱庭側のリーダーにはMVPプレイヤーではなく【検証班長】を据えていたのだ。
最前線で動くMVPプレイヤーよりも安全だと判断した上でだな。
だが、ここまで相手のセクションリーダーに攻められているとそれも関係ないっていう話だな。
「【包丁戦士】さん、ダイヤモンドが迫ってきていますよ!」
「破アァァァァ!」
おっと危ない。
【石動ガンジ】を中心に回り続けるダイヤモンドが俺に襲いかかってきていたようだ。
軌道を広げたり狭めたり出来るならそれくらいの芸当も出来るか……
寸前で回避したが、あれだけの巨体、防御するダイヤモンドを潜り抜けるには手札をほぼ使いきった【竜鱗図冊】と【天元顕現権限】の翼を維持したままでは分が悪すぎるな。
そろそろ使わせてもらうとするか!
スキル発動!【深淵纏縛PP】
俺はルル様の深淵細胞を2つ重ねて発動させていった。
すると身体が深淵の黒い霧によって作り替えられていき、霧が晴れると緑を基調に黒のフリルのついたゴスロリ衣装へと変化していた。
これがルル様のゴスロリフォームだ!
「そちらも姿を変化させてきたか。
某のようにサイズを変えてきたわけではないが、衣装や翼が様変わりしてきているようだ。
実に結構!
これで底下箱庭側の更なる力をありのままで体験できるのだから!」
ここまで派手なことをしてきて、こちらのリーダーの正体も暴いて勝利は目前に迫っているのにこれでも好奇心は抑えられないのか……
本当に【検証班長】みたいなやつだな!?
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




