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2132話 防御は最大の攻撃

 「どうしたどうした!

 避けているだけでは某には勝てんぞ?」



 連続でパンチを繰り出してきている【石動ガンジ】。

 なんか【紫焼ミルカ】にも同じようなことを言われてた気がするが、そりゃお前たちよりも基本的な身体スペックが低いんだから慎重に戦わざるを得ないから避けるのがメインになっても仕方ないだろ!

 どいつもこいつも好き勝手言いやがって……

 俺だって避けずに勝てるのならそうしたいんだってば……



 「【包丁戦士】さん、その気持ちは分かります。

 分かりますけどどうやって突破するかを考えましょう」



 とは言いつつも、俺が【石動ガンジ】の近くを飛び回らないといけないのは確定だ。

 そうしないと【検証班長】に被害が及んでしまうからな……

 さっさと【検証班長】たちを逃がしたいところだが、このタイミングでそんな露骨なことをしてしまった【石動ガンジ】に気づかれてしまうだろうからやろうにも出来ない……というよりはリスクが高すぎるんだよなぁ!

 

 【名称公開】対策としてもきっと前のガーデンバトルで【ロイス=キャメル】が渡した情報とか俺と戦ったセクションリーダーたちから聞いた話からアバターの構築を変えてきた……みたいな可能性すらあり得るし。

 いや、天昇箱庭側でそういう機能があるのかどうかなんて知らないけど。



 ……とりあえず避けてばっかりなことを追及されて癪だしそろそろ何か攻撃でもしてみるか。



 スキル発動!【鳳仙火花】!



 俺がここで発動させたスキルによって二対の炎の羽が重なり合いながら【石動ガンジ】の方へと飛んでいった。

 どれだけ効果的か分からないがまずはこれで様子を見てみるわけだ!



 「破アァァァァッ!

 このような攻撃、効かんわ!」



 【石動ガンジ】はその拳で炎を殴って消し去っていってしまった。

 おいおい、壁を拳で破るのはダメージを受けないし動いてないものだから分からなくもないが……

 動いてるし、炎でダメージを受けるはずなのに問題にしないというか躊躇なく殴ったいったのはヤバいだろ!



 「極まった防御力を攻撃に活かしているみたいですね」

 「防御こそ最大の攻撃!

 某のミチは某の身体で切り開くのみ!」



 どうやら重さと防御に特化してダメージを最低限まで軽減しつつ、攻撃を受けたときのノックバックも最低限まで減らしているようだ。

 それで重さも乗っているから攻撃力も上がっているんだろう。


 アバター構築に無駄がなくて惚れ惚れするくらいだ。

 ボトムダウンオンラインでもMVPプレイヤーの中でも遊びのない構築がされているやつは1人しか知らない。


 あの最強プレイヤーと名高い【ランゼルート】ですら俺から見てみたら無駄がある。

 まぁ、俺なんてMVPプレイヤーの中で一番無茶苦茶な構築がされているから人のことはとやかく言えないけどな。


 だが、【石動故智】だけは違う。

 あいつはほとんど鉱人種族のスキルとそれに関する行動しかしていないように思えるからな。

 本名は知っているのに【石動故智】のことを詳しく知ってるわけじゃないし、どういうバックボーンなのかもあんまり知らない。

 色々とキナ臭い【夢魔たこす】や【マキ】はキナ臭いってことは分かるのに【石動故智】だけは本当によく分からないやつっていう印象止まりだからな……

 

 くそっ、もう少し詳しく聞いておけば【石動ガンジ】打倒のヒントになったかもしれないのに……

 そこまで興味がなくて聞いてなかったのが裏目に出たな!?



 「あれだけの防御力……スキルでの攻撃も真っ正面からだと効かないですし、【包丁戦士】さんのチュートリアル武器の包丁では刃も通らないでしょう。

 見たところの弱点としては素早さがさほど速くないので避けたりするのには問題ありませんが、それですと倒せないので危険に迫られ続けます。

 何か打開策はないかな……」



 【検証班長】は俺に前線を任せて思考モードに入ったようだ。

 やはり自分で戦っている状態だと中々頭を働かせるのも難しかったようで、これまでの戦いの中から集めた情報を整理し直しているに違いない。


 俺が時間を稼いでやるから何とかして俺でも倒せるような方法を教えてくれよな!



 「任せてください!

 ボクの本分ですからね。

 最前線に【包丁戦士】さんがいればようやくその仕事を全うできるというわけです。

 一緒に勝ちましょう!」





 負けは許しませんよ!

 

 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】 

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