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2131話 似た名前の持ち主

 逃げ遅れたモブプレイヤーに遭遇して【検証班長】の居場所を突き止めた俺は、【検証班長】が向かったとされる方向へと飛翔していくのだった。

 

 方向が分かったのは僥倖だったが、その方角からズレてくれているなよ……っ!?


 





 そうしてモブプレイヤーが教えてくれた方向に向かうと複数の気配を感じとることが出来た。

 あのモブプレイヤー、ちゃんと本当のことを言っていたようだな!

 そして、このピリピリとした気配……おそらく戦闘中か戦闘に入る直前のようだ。

 

 わりと緊迫しているみたいだが、取り返しがつかなくなる前に間に合えよっ!?








 「「「「「「スキル発動!【塞百足壁】!」」」」」」


 

 俺が人の気配が集まるところに到達するとそこにはデカブツムカデの深淵細胞を使って【深淵顕現権限】をした【検証班長】と、その後ろから【検証班長】と同じく【塞百足壁】を使用する生産プレイヤーたちの姿があった。

 複数人で防御のための深淵の黒い壁を展開することで強固な複数枚のバリケードのようなものにするという魂胆だろう。


 そして、その黒い壁のバリケードを展開しているということは今まさに攻撃を受けている最中ってことだ!

 その攻撃主は……



 「破アァァァァッ!」



 全身が様々な宝石に包み込まれたゴーレムだった!

 そのゴーレムがパンチを繰り出すと複数張り出されていた深淵の黒い壁が破壊されていったぞ!?

 あの見た目、さては……【石動ガンジ】だな!?

 

 





 【ワールドアナウンス】



 【【包丁戦士】が【名称看破】しました】


 【【金鉱科】のプレイヤー【石動ガンジ】】 


 【【包丁戦士】「あの見た目、さては……【石動ガンジ】だな!?」】

 

 【【名称公開】により知名度に応じたステータス低下効果付与】



 どうやら俺の予想は合っていたようで【名称公開】のデバフがきっちり決まってくれたようだ。

 


 「これが噂に聞く【名称公開】か。

 名乗りを上げる前に妨害をしてくるなど実に小癪な……だが効かぬ!」



 【金鉱テキスト】


 【Clear body】



 【輝かしき身体へ】


 【蓄積された年月は】


 【弱まることなく】


 【さらにその輝きを増すことだろう】



 


 【【石動ガンジ】の防御力が上がった】



 なっ、何!?

 【名称公開】を逆手に取ってきただと!?

 転んだとしてもただでは済まさないこのスタンス……見覚えがある。

 というか【名称公開】を意図的にガン無視してきたプレイヤーが底下箱庭にもいたな。

 そう、奇しくも同じ名字を持った【石動故智】だ!

 


 「その名を知っているのか!

 だがこの場の勝負には関係ない。

 今この場にいる某と貴公たちのみが勝敗に関与するべきだ」



 まぁ、それもそうだな。

 とりあえず俺が勝手に名前を看破したが一応自己紹介くらいしておこう。

 俺は包丁次元のMVPプレイヤーの包丁戦士だ!

 


 「某は金鉱科のセクションリーダー【石動ガンジ】。

 いざ尋常に……勝負っ!」

 「【包丁戦士】さん、来てくれて助かりました!

 この【石動ガンジ】はどれだけ防壁を張ってもパンチで破壊してきてしまってまともに防御体勢を整えられなくて負ける寸前だったんですよ」



 【石動故智】も【スマッシュ】や【マイン】でひたすら防御を崩す戦い方が上手かったからな……

 同じ名字を持っていると【名称公開】の対応方法だけじゃなくてこういう面でも似てくるのかよ……



 そう思いながら【石動ガンジ】のパンチをまずは翼で避けてみる。

 パンチ自体のスピードがめちゃくちゃ速いってわけじゃないからこれなら何とか躱せるか……



 「気をつけてください。

 油断していると一撃で屠られてしまいますからね。

 こちらの陣営のプレイヤーもそれで既に何人かやられてしまっているよ」



 ゴーレム自体の重量もかなりありそうだもんな。

 その重量が乗ったパンチなら威力も相応のものになるのは間違いない。

 油断せずにいこう!






 頼みますからあっけなくやられて死に戻りしてくるのだけは勘弁してくださいよ……?


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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