2128話 炎メラメラ獣ワラワラ
「う、うわぁっ!?」
「おれたちが逃げてきたところからどんどん森が燃えて迫ってきてる!?」
「しかもモンスターまで追撃してきてるってヤバくない!?」
どうやら俺たちが森の中にいることを、そして居場所を把握したので灯火科プレイヤーたちが火を放ちつつ攻めてきたようだ。
「どうやら主戦力の【紫焼ミルカ】が敗れたら突撃する次第になっていたようですね。
【包丁戦士】さんが言っていたように巻き込まれないようにしていたのでしょう。
あの爆発に味方諸とも巻き込まれたら被害は甚大だからね」
まぁ、【紫焼ミルカ】のことを特に知ってそうな灯火科プレイヤーたちなら近くに寄りたくないだろうしなぁ……
「だが、これだけの大所帯を護衛しながら戦うのは困難だ。
ここにあの聖女や鉱女のお嬢さん方がいればそれでもカバーが出来たかもしれないが、ここにいる私たちでそれを決行するのは無謀というものだ。
故に私が提案するのは……お嬢さんと私で迎撃をして時間を稼ぐことしかない。
【検証班長】君はここからの逃走の間くらい自衛出来るくらいの力は持っているのだよね?」
「防御なら何とか……」
まぁ、そうなるか。
【検証班長】はデカブツムカデの深淵細胞を取り込んでいるし、【塞百足壁】での黒い壁で即死は避けられるだろう。
とはいえ取り囲まれたらそうもいかないから、最大戦力の俺と【ロイス=キャメル】が何とかするしかない。
……今の俺は両足ないんだけどな!
「お嬢さんは四肢を失っても戦える特訓をしていたと聞いたからね。
現実ではその想定の訓練などしないのだが、VRMMOであるということを有効活用したようだ。
だからこそ、その状態でも戦力として扱わせてもらうことにしよう」
流石ジャバウォックと恐れられた軍人だ、色々と容赦ないな……
ってなわけで【検証班長】たちは撤退を続けろ!
俺と【ロイス=キャメル】が直々に殿を務めてやるからな!
というわけで迎撃のために待ち構えていると赤色の炎で燃え盛るムカデと、青色の炎で燃え盛るカンガルー、黄色の炎で燃え盛る猫、緑色の炎で燃え盛るウサギが姿を現してきた。
思っていたよりも数が少ないようにも思えるだろうが、こいつら一体一体が三メートル級なので天昇箱庭側一人がボトムダウンオンライン規格だとプレイヤー3人から5人相当と考えた方がいい。
ということは少なく見積もっても3かける4で12人分、多く見積もっても5かける4で20人分か!
そこそこしんどいな!?
万全な状態ならモブプレイヤー20人くらいは対処出来るが、今の俺の状態だとなぁ……
「では私で3人は引き受けよう。
残りの1人はお嬢さんに任せる……そういうことでどうだろうか?」
まぁ、それなら何とか。
ここで死力を振り絞って戦えというのなら全員相手出来ないこともないが、この後も控えているであろう戦闘に参加することを視野にいれるならそんなことしていられないからな!
「それならば赤色の炎で燃え盛るムカデと、青色の炎で燃え盛るカンガルー、黄色の炎で燃え盛る猫、緑色の炎で燃え盛るウサギのうちお嬢さんは誰を相手にしたいかね?
私は誰だとしても一向に構わない」
おっ、対戦相手を選ばせてくれるのか!
流石変態ロリコン紳士はお優しいことだ。
なら、お言葉に甘えて選ばせてもらうことにしよう。
俺が戦うのは青色の炎で燃え盛るカンガルーにさせてもらうとしよう。
「では残りの赤色の炎で燃え盛るムカデと、黄色の炎で燃え盛る猫、緑色の炎で燃え盛るウサギは私が相手にしよう」
というわけでまずは俺から青色の炎で燃え盛るカンガルーへとちょっかいをかけにいくことにした。
スキル発動!【波状風流】!
俺は風の刃を生み出し青色の炎で燃え盛るカンガルー……以下蒼炎カンガルーへと飛ばしていく。
今の俺は【竜鱗図冊】を使っていて竜人スキルが仕様変更されているからな!
これもきっちり刃に出来るわけだ!
蒼炎カンガルーは炎を拳に宿らせながら風の刃をパンチで打ち落としていった。
そして俺の方へと突撃してきたので翼を動かしてひたすらに逃走を開始した。
【ロイス=キャメル】とこの蒼炎カンガルーの距離を離さないといけないからな!
しばらくは俺の逃走劇に付き合ってもらうぞ!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




