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2127話 お疲れサマーソルトキック

 【紫焼ミルカ】と【ギアフリィ】が水蒸気爆発に巻き込まれて消え去ってしまった。

 あの一撃は流石に規格外過ぎるよな……

 ワンチャン【ランゼルート】も葬れそうなくらいの威力だったとは思うぞ!

 ……【ランゼルート】が大人しく当たってくれるかどうかは別にしてな。



 さて、【ギアフリィ】という最大戦力の一人を失ってしまったわけだが、それでも天昇箱庭側のセクションリーダーを倒せたのは底下箱庭側としては大きな前進と言ってもいいよな!

 まぁ、俺の両足も消し飛んだから手放しには喜べる状況でもないのも事実だが。


 疲れたし少し休憩したいところなんだが、このままここで休憩するのはまずいよな?

 明らかにヤバい爆発を起こしたからプレイヤーも気になってここに集まってくるはずだ。

 それで集まってくるのが底下箱庭側のプレイヤーだけなら安心できるんだけど、天昇箱庭側のプレイヤーに囲まれてしまったら今の俺では対処が難しいだろうから避けたいんだよなぁ……


 ……とりあえず【検証班長】のところに戻るか。

 まだ戦いが続いてるから負けてないんだろうが、一応気がかりだから身を寄せる先としてもちょうどいいはずだ。

 


 



 というわけで辛うじて水蒸気爆発で消し飛ばなかった竜の右翼で何とか地面に墜落しないように飛行していく。

 左翼も両足同様に消し飛んでしまったのは辛いところだ。

 さっき称号の切り替えで回復できないか試そうとしたんだが、今回は称号の切り替え機能が制限されているみたいなのでその手段を使えなかったのもキツい!

 俺の貴重な回復手段だったというのにな……



 




 

 「うわっ、【包丁戦士】さん!?

 凄い爆発音が聞こえてきてたから無事か心配してたんだけど思ってたよりもボロボロみたいだね?」

 「ふむ、あれだけの大規模爆発の中心にいただろうにそれだけの負傷で済んだのは僥倖とも言える。

 私の軍でもあれより小規模な爆発で何人も帰らぬ命となった者はいるのだから……」



 俺を出迎えてくれたのは【検証班長】に【ロイス=キャメル】だった。

 あと後ろの方に生産プレイヤーたちも控えているな!

 ここは戦闘をした様子もないし、被害を受けたプレイヤーもいなさそうだから安心したぞ!

 俺が灯火科のセクションリーダー【紫焼ミルカ】と戦っている間に襲われてないか心配してたからな……



 「やはり【紫焼ミルカ】でしたか。

 【ギアフリィ】さんにも向かってもらっていましたが会えましたか?」



 あぁ、来てもらって助かった。

 俺だけだったら死に戻りさせられていた可能性大だったし、倒すところまでいけなかっただろう。

 


 「だが、戻ってきていないようだ。

 別行動してきたのか、あるいは……」



 そう、その或いはの方だ。

 さっきの水蒸気爆発に巻き込まれて【ギアフリィ】は死に戻りしてしまった。

 【紫焼ミルカ】を追い詰めてくれたのはほぼアイツだし、役割はきっちり果たしてくれたから責める必要もないな!



 「そうか……

 それならばいいのだがね」

 「他に侵攻してきたプレイヤーは見ましたか?」

 


 いいや、俺は【紫焼ミルカ】しか見てないな。

 


 「それはおかしいですね……

 いくら【マキ】さんのところに集まるよう設計した地形とはいえ、MVPプレイヤーが三人森の中にいればもう少し流入してきていてもおかしくないはず……」



 それは【紫焼ミルカ】が近くにいたから巻き込まれないように避けてたんじゃないのか?

 


 「それはあるかもしれませんが、他の戦場での報告を受けても灯火科のプレイヤーたちの姿がないんですよね……

 てっきり【包丁戦士】さんと【ギアフリィ】さんの二人で灯火科プレイヤー全体を抑え込んでいるものだと思ってました」



 いやいや、流石にそれは無茶だって!

 でも、それなら灯火科プレイヤーはどこにいるんだ……?

 


 「まさか……っ!?

 皆さん、この森を全力で抜け出しましょう!」



 どうしたどうした!?

 【検証班長】は急に声を張り上げてこの森からの撤退を指示し始めた。

 


 「理由はあとで説明します。

 早くこの場を去るのが先です」

 「ふむ、そういうことか。

 我々の作戦が仇になったというわけだな」







 どういうことなんだ!?


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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