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2114話 作戦と役割分担

 「それで森に移動してきたけどよ、ここからどうするんだ?

 オレはぼーっと待ち構えながら【検証班長】を護衛していたらいいのか?

 今回の指揮官はお前だからそれに従うぜ?」



 【ギアフリィ】は少数で助っ人に来たという立場もあり、今回一番立場が上の包丁次元の指揮官役という立ち位置にいる【検証班長】を尊重する姿勢を見せた。

 ふーん、ちょっと意外だな。

 【ギアフリィ】は【傲慢】の大罪を烙印されていることもあるから正直その辺りの融通は利かないかもしれないと思っていたからな!



 「ボクとしても【ギアフリィ】さんはイレギュラー参加でしたから計算に入れてませんでした。

 事前の打ち合わせも出来ませんでしたけど、物わかりがよくて助かりますよ」

 「そりゃ次元戦争でこのチビ女とは何回も顔を合わせてるからな。

 あのとらえどころのない戦いをするやつが素直に従ってるんだから、オレも従わないと流石に空気が読めないやつになるぜ!

 それに【ロイス=キャメル】のおっさんが指揮権を譲ってたんだから相当頭がキレるんだろ?

 それこそ【牛乳パフェ】や【綺羅星天奈(きらぼしあまな)】レベルじゃないと譲らないだろうぜ?」


    

 なるほどな。

 【ギアフリィ】には【ギアフリィ】なりの考えがあったわけか。

 場の雰囲気を乱さないためなのと、誰かに従う様子が想像できなかった俺が素直に従っていること、そして【ギアフリィ】が一時期同じ統合関係にいたステッキ次元のMVPプレイヤーである【ロイス=キャメル】が身を引いたこと……これらが判断基準になったわけだ。

 

 俺が聞いてた感じ、【ギアフリィ】の表情とか口調からして最後の【ロイス=キャメル】関係のところが一番大きなウェイトを占めているように感じたな!

 


 「それならまずはさっき【ギアフリィ】さんが言ったようにここでボクと一緒に待機してもらいましょうか。

 その代わりに【包丁戦士】さんには斥候に出てもらいます」

 「マジでそうなるのか!」



 というわけでさっそく俺の出番ってわけだ!



 「【ギアフリィ】さんが比較的防御力高めですから後方の生産プレイヤーたちを守りながら時間を稼いでいるところに【包丁戦士】さんが戻ってこれたら戦況は戻せますからね。

 逆ですと移動スピードや攻撃スピードに支障が出ますからね。

 この役割分担でないと成立しない作戦だね」

 「確かにこのチビ女みたいに身軽じゃないと無理だな。

 オレが戻ろうとしてもパイルバンカーと金属鎧が重いし、そこは仕方ないぜ」


 

 【ギアフリィ】も俺も納得できた。

 この示し合わせをしておくのとそうでないのとでは今後の動き方とか、想定が変わってくるから意図まで【検証班長】が説明してくれたのは本当に助かる。

 あと、従うにしても【ギアフリィ】が待機になるので内心拗ねてた可能性もあるしな。

 

 

 「じゃ、チビ女は安心して行ってこいよ!

 この辺のやつらはまとめて実力派プレイヤーのオレが守ってやるぜ!」



 自信満々な様子で大口を叩いた【ギアフリィ】。

 まぁ、その言葉に甘えさせてもらって俺は悠々自適にこの森を彷徨わせてもらおうか。

 この森を自由自在に動けるのは俺にとって最高の条件みたいなものだし、ありがたい話だ。


 

 






 というわけで森の中を駆け抜けていく。

 幸いにも地形は既に把握しているので恐る恐るマッピングしながら移動しないといけない……みたいなことはないのでかなり快適に行動できている。

 やはり既にある地形を再利用するという【検証班長】の作戦はこういうところできちんと活きているんだなぁ……(しみじみ)








 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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