2112話 戦場の配置図
「では今回も私がこの戦場での指揮を……と思っていたが、今回についてはこの戦場に適した指揮官がいるようなのでお任せしようと思うがいいだろうか?」
ガーデンバトルが始まったことでプレイヤーたちを集めた前方で【ロイス=キャメル】が演説をしていた。
前回同様に【ロイス=キャメル】が指揮官になることを期待していたプレイヤーが多いだろうからわざわざ演技っぽい言い回しであたかも臨時で権利を委譲する流れを作ったみたいだな。
かなり自然で手慣れているみたいだから軍人として活動している時も適任者がいたときに似たような手法を使っているんだろうなぁ……
俺には出来ない手法だから流石だ。
「ではその適任者を紹介しよう。
包丁次元のクラン【検証班】のリーダーである【検証班長】君だ!」
「どうも紹介に預かりました【検証班長】です。
ボクはこの戦場の基本構築をしていたのと、この地形での戦術を何個か考案しているから指揮に従ってくれることを期待してるよ。
可能な限り最大限戦場の利を有効活用したいですからね」
うんうん、いい自己紹介だな。
自分個人の情報よりも今回の戦場で自分がどれだけ活躍出来るのかというところをアピールしているから、今回は最適かもしれないな!
「ではまず【マキ】さんと【マキ】さんと動きたいと考えているプレイヤーは市場エリアへと移動してください。
一番苛烈な戦場になると思われるのでそれを覚悟して有志で同行してください!
他に、チュートリアル武器のリーチが長めなプレイヤーは必ず同行してください。
こっちは有志ではなく、リーチが長いと自覚しているプレイヤーは指示として受け取ってください!
他の戦場は狭いか、障害物が多いので活躍するのが難しくなるからですね」
というわけで、【マキ】には大斧使いの【エラ=サンドレラ】や槍使いのモブプレイヤーたちが多くそちらへ流れていったようだ。
それを見た【検証班長】は頷きながら思考を巡らせている様子で、次の指示を出し始めていた。
「次に【ロイス=キャメル】さんはこの市場を拠点にして十字方向に移動し続けてこの方向に敵が来ないように牽制、打倒し続けてください。
そのためこの役割につくべきプレイヤーは機動力に長けていると自信があるプレイヤーが同行してください。
特に獣人や種族転生しているプレイヤーは命令として受け止めてください、異論は認めません。
【ロイス=キャメル】さんのスピードについていくためには獣人に種族転生していないと足手まといになりますからね……
それでも【ロイス=キャメル】さんには全力を出さずに力を抑えて行動してもらわないと連携が乱れそうですが……」
「そこは任せたまえ。
軍の統率、連携に関してはMVPプレイヤーの中でも随一の力を持つと自負している。
全体が乱れぬように行動するのは容易いものだ」
【ロイス=キャメル】はそう言い放って走り去っていってしまった。
そこについて行ったのは【ネコドラ】、【ベラボット】たちだな。
あとは様々な種族転生をしたプレイヤーたちが一目散に【ロイス=キャメル】を追いかけていく。
【検証班長】の指示で一部だけ意図の分からないものがあったのだが、それ以外は理解できたのであとは任せるとしよう。
「では最後に、機動力に自信のないプレイヤーたちは森の中で姿を隠しながら潜んでいましょう。
戦闘力に自信のないプレイヤーも同じくですね。
この広大な森の中ではボク……【検証班長】と【包丁戦士】さん、【ギアフリィ】さんがメイン戦力になると思います。
味方を守りながらの戦いとなりますが、尽力をお願いしますね?」
「実力派プレイヤーのオレにかかれば護衛も余裕だぜ!
パイルバンカー次元でも似たようなことを一時期していたりもしたしな!」
俺も任された!
……まぁ、俺の場合は護衛より遊撃がメインになるだろうけど。
守るより先に敵を倒した方がこの戦場では俺に有利に働くだろうしな!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




