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2100/2210

2100話 サーバーアタッカーズ

 俺、【霧咲朱芽(きりさきあやめ)】は【株式会社幽刻修験堂】の本社へと足を運んでいた。


 毎度毎度のことだが、特別枠での会社勤めという扱いになっているので普段は出勤せず自由に行動していればいいのだが、召集がかかれば強制的に来なければいけないのだ!





 「やあやあ、今日もご苦労様。

 この【山伏権現】の召集に応じてくれて嬉しいよ」



 俺たちの前に現れたのはゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】だ。

 山伏のような姿とサラリーマンのような姿をまぜこぜにしたカオスな見た目のやつだ。

 基本は山伏衣装なんだが、ネクタイをしていたり、キッチリメガネをキメて、髪は七三分の状態でワックスで固めている。



 「この前あったガーデンバトルって何なんだっつー話だ!

 アンカー次元のやつら、何も分からないまま戦って何も分からないまま終わってんぞ?」



 このガラの悪い喋り方をしているセーラー服の女は【東雲飛鳥】……【株式会社幽刻修験堂】の専属モデルだ。

 表の顔としてモデルをやっているだけあってスタイルは抜群だが、裏の顔はこの特別な場所に招かれるくらいに【山伏権現】とズブズブな関係だな。

 そして、レイドボスの【プシーナク】の人格のモデルにもなったという大層な役割も担っていた。


 まぁ、さっきまでご飯を一緒に食べてたんだから今さらの紹介なんだがな。



 「……」



 そして釣竿次元のプレイヤーである無言剣士……もとい【源流一刀斎】も同じように思っている……っぽい表情をしている。

 喋らないから本当かどうかは分からないけどな!


 

 「そこはこの【山伏権現】から伝えられない内容だね。

 【天昇箱庭】側の管理者との協定の中に管理者側から伝えられない情報の制約も盛り込まれてしまっているからね。

 それは【底下箱庭】側だけじゃなくて向こう側のプレイヤーも同様だよ」

 「あん?

 【天昇箱庭】側にプレイヤーなんて居たか?

 モンスターとして戦わなかったっつー話なんだが?」

 「……?」



 おいおい、【東雲飛鳥】は【天昇箱庭】側のプレイヤーの正体にたどり着いていないのか!?

 ……いや、さっきの口振りからするとアンカー次元のやつら全員気づいてないみたいな感じだったな。



 「おい、【東雲飛鳥】!

 多分だがそのモンスターがプレイヤーだぞ?

 向こう側のプレイヤーは人型じゃないんだ、実際に会話して言質を取ったし間違いない」

 「そういうカラクリかよ!?

 メンドーなことしやがって……

 どーりで変な動きばっかりしてくるモンスターだと思ったっつー話だ!」

 「……」

 「そちらで解決してくれて助かったよ。

 これ以上この【山伏権現】を問い詰めても返答できない内容だったからね。

 ただ、返答を縛っている代わりにそれぞれの枠組みのトップにいるMVPプレイヤーたちにちょっとした強化イベントがあったはずだよ。

 意図したものと、意図してないものそれぞれあったけれど情報の代わりに力が手に入るなら一種の全体最適と言えるのではないかな?」



 ちょっとした強化イベントねぇ……?

 どうやら俺以外にも該当者がいるみたいだが、俺の場合は【双真(ふたま)ナル】関係で手に入ったスキルたちのことだろう。

 それが意図したパターンの方なのか、そうじゃないのかは俺には計り知れないものだが……

 

 それに、枠組みのトップがどこまでなのか分からないにしても【綺羅星天奈(きらぼしあまな)】と【ランゼルート】は次元統合を考慮しても強化を間違いなく得ているだろう。

 ……もしかして【綺羅星天奈(きらぼしあまな)】はそれも探りに接触しに来ていたのか?

 俺から話題が上がってこなかったからあえて触れてこなかった……?

 あり得ない話ではないか。



 「……!」

 「そうだね、そろそろ君たちを今回呼んだ目的を話そうか。

 実はつい最近ボトムダウンオンラインのサーバーへの直接攻撃があってね。

 それで全体的にパフォーマンスが落ちてしまっているんだよ。

 それを補うために復旧作業も進めているんだけど、それだけでは次のガーデンバトルで大敗するのは【上位権限】レイドボスたちの演算や、この【山伏権現】の頭脳での計算どちらでも確定してしまっているんだ」

 「……つまり何が言いてーんだ?」

 「……」



 【東雲飛鳥】はあいの手を入れるように疑問を投げかけていったが、俺には何となく嫌な予感が全身の悪寒となって伝わってきた。

 これは良くない……っ!



 「【霧咲朱芽(きりさきあやめ)】君は察しているような様子だけど伝えておくよ。

 君たちで天昇箱庭側のサーバーを攻撃してきてもらえないかな?

 世界に関わる戦いを負け戦にしないためにも君たちにはその礎になってもらいたいというわけだね」

 「うわっ、捨て駒っつー話かよ……」

 「……!?」



 【東雲飛鳥】だけならともかく、【源流一刀斎】までも驚愕の表情を浮かべていたな。

 そりゃそうだ、まさか俺たちにそれを依頼するのか?



 「他に適任者絶対いるだろ……」







 適任者はいても、動かせるのは君たちしかいないんだよ。

 そこを履き違えないでもらいたいね。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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― 新着の感想 ―
サーバーアタックされてなんでパフォーマンス落ちるんだろう……?動きとかスキル関連の場所破壊されたらだいぶきついか……いやなんでその位置わかるんだよ これ攻撃してきたの多分天昇側だよね……?それとも別口…
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