2099話 曖昧ミーマイン
「そういえば気になったんだが【東雲飛鳥】と【天星雲母】はどうやって繋がりを持ったんだ?
見た感じ学校が同じってわけでもないだろうし関わり合いがありそうとは思えなかったんだが……」
そんな俺の問いかけに対して【天星雲母】は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべており、それとは対照的に【東雲飛鳥】は晴れやかな表情を浮かべていた。
「それは……まぁ……課外活動の一環で……」
【天星雲母】にしては珍しく言い淀みながらそう発言していた。
その様子を【東雲飛鳥】はニヤニヤしながら見つめていたが……
「おおよそ【天星雲母】の言う通りで間違いねーっつー話だな!
言いたくねーところがあるみてーだから俺からはあえて言わねーけど」
どうやら嘘はついていないらしい。
あの様子からしたら嘘を言っていてもおかしくなかったのだが……
とはいえ、事実を全て口にしているわけでもないようだ。
嘘を言わなくても、事実だけ言っていたとしても、全てを語るのとはまた違ってくるからな……
「嘘はいってないですよ」と後から弁解されて俺も否定も出来ないパターンだろうよ。
「ってなわけで、【綺羅星天奈】と【東雲あすか】は知り合いだったわけだっつー話だ!
そこまで親密ってわけでもねーからお互いの詳しい事情なんてわかんねーけど」
「何度か相対したことがある形ですからね。
聖女である私の手を煩わせたのは感心しませんが……」
「んだよ!
あの時はオメーも盛り上がってたじゃねーか!
随分としおらしくなりやがってよー!」
「よっ、余計なことは言わなくても言わないで下さい!
【霧咲朱芽】はある程度察しているでしょうが、どこに目や耳があるか分かりませんからね……
下手なことを口にしないように、いいですね?」
散々煽っていた【東雲飛鳥】ならともかく、特に何も言ってない俺まで何故か注意されてしまったな……!?
理不尽すぎる……
質問してから一言も発してないはずなんだがなぁ……
「まぁ、何かしらの縁があった仲って分かっただけでもヨシとしようか。
今のところどうしても詳細が必要ってわけじゃないし、話したくないなら追及もするつもりはないぞ!
……代わりにこの白身魚、ちょっともらっていくけどな!」
「あっ、聖女である私の料理を勝手に持っていくなど不敬なっ!?」
「詳細を話さなかった代償として少し料理を掠め取らせてもらったぞ!
マナーとしてはバッドマナーに間違いなくはいるだろうが俺はプレイヤーキラーだからな、これくらいのマナー違反くらいは理解した上であえて破っていくぞ!」
「プレイヤーキラーを言い訳にする人ははじめて見ましたよ」
「奇遇だな、俺もだっつー話しだ!」
というわけで再びワイワイしながら料理をつついていくことになった。
舌鼓を打つほどの絶品だから食べているとつい無言になりがちになってしまう。
だからこそ、少し食べるのを中断したりして会話に戻ったりもしているのだ!
優柔不断と言われるかもしれないが、ここにいる三人は誰もそれを言い出さない。
……それだけここの料理が絶品というわけだな!
「ちなみにだが、【天星雲母】の宗教ってどれくらいの規模なんだ?
ちょっと気になってな」
「本人の口から言いにくいことをさっきから聞いてきますね?
遠慮がないとよく言われませんか?」
「そんなによくは言われないけどな……」
「多分言ってないだけだと思うっつー話だ。
ましてやこいつみたいに素行の悪そうなやつ相手に真っ正面から言える人間がどれくらいいるのかわかんねーよ」
「……それもそうですね」
「とはいえ本人が答えにくいなら俺が大体の規模感だけ言うと……結構人がいるっていう噂だぞ?
ニュースにも取り上げられていたし、名前がここ最近かなり世間にまで知れ渡ってきているっつー話だな!
新興宗教なんざ俺は興味はねーが、それでも耳にするくらいには大きいんだろうよ」
「大体そのようなものですね」
「かなり大雑把だが……まぁ、【天星雲母】が認めているんだから間違いではないんだろうよ!?
だけど、さっきから説明役が曖昧なことしか言わないのは何とかならないのか!?」
「本当に興味があるならばホームページがありますのでそちらから情報を確認するといいでしょう。
そこに入信の申し込みフォームもありますよ?」
しれっと入信を勧めてきている辺り強かだよな……
いやいや、入るつもりはないんだけどな!?
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