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2097話 東雲飛鳥とプラスワンの食事会

 そんなわけで雑談をして【跳流麗華(はるれいか)】と別れた俺だったが、実はもう一つ今日の用事が残っているのでそちらへと足を運ぶことになっている。

 前に【株式会社幽刻修験堂】で【東雲飛鳥】に会ったときに食事を一緒にするという約束をしていたからな。

 若干時間がタイトではあったが、それでも何とか約束の場所にたどり着くことが出来たのでヨシッ!



 「おうおう!

 待ってたぞ、【霧咲朱芽(きりさきあやめ)】!

 時間通りに来るのかヒヤヒヤしながら待ってたっつー話だな!」



 俺も人のことは言えないが、こいつはモデル活動をしている割にはかなり荒い口調をしているよな?

 見た目はスラッとしていて顔も整っているが、どうしてなんだろうな?

 まぁ、そのうち自分で喋るだろ!


 ……と、先に俺が遅れそうになった弁解はしておかないとな。

   


 「実はこの前にもオフ会の予定を差し込んでいてな。

 ダッシュでこっちに間に合わせるようにしてきたんだ。

 実際遅刻してないし全然セーフだろ!

 ……というかこの店のチョイスはお前の好みか?」

 


 俺が弁解しつつ、そこを深掘りされないように話をしれっと逸らしていくことにした。

 とりあえず選出基準が分からなかったこの集合場所の店だな!

 【株式会社幽刻修験堂】の目の前にある少し格式のありそうな隠れ家的居酒屋みたいなところのうちの一つだ。

 この辺りは企業が複数あるから飲食店は別にここだけじゃないが……お前は学生だろ?

 居酒屋でいいのか?



 「まあまあ、ウダウダ言わずに中に入れって!

 中に入れば分かるっつー話だ!」



 【東雲飛鳥】に後ろから肩を掴まれて中に入っていくとそこはもう一人俺を待ち構えているやつがいたようで、胸の前で腕を組んで鋭い眼光を飛ばしてきた。



 「社会人ならば集合時間よりも余裕をもって早めに行動するものだと思っていましたが……

 聖女である私を待たせるとは神の裁きが下りますよ」



 そこには修道服を着た一際目立つ女がいた。

 ここもかなり高級路線の店なんだろうが、それでも全く足りないくらいの格を備えた存在だ。

 まるで人類の最高地点にでもいるような容姿、雰囲気、振る舞いが一挙一動に現れている。

 こいつは……名前を聞くまでもなく誰なのか分かった。


 

 「お前は【綺羅星天奈(きらぼしあまな)】だな!

 俺は【包丁戦士】、いや本名を名乗ろう……【霧咲朱芽(きりさきあやめ)】だ。

 よろしく!」



 そんな俺の挨拶を見て一瞬逡巡していたが、品定めでもしているのかと思うように視線を巡らせた後に口を開いて俺に応じてくれた。



 「【東雲飛鳥】の伝手で会えるとは聞いていましたが本当に現れましたか。

 その容姿、雰囲気、振る舞いは間違いなく【包丁戦士】に通ずるものがあるのでデコイを用意したわけでは無さそうですね」

 「おうおうっ!?

 俺を信用してねーつっー話かよ!

 オメーの要望通りに連れてきたんだから安心しろってんだ」



 どうやら俺は【東雲飛鳥】と【綺羅星天奈(きらぼしあまな)】にハメられたらしい。

 元々俺はこいつに会わせるためにご飯に誘われたらしいからな。

 してやられたな……



 「では改めて……

 十字架次元のMVPプレイヤーの【綺羅星天奈(きらぼしあまな)】である私は天星教教主【天星雲母(てんせいきらら)】と申します。

 あなた方におかれましては聖女である私に不敬な態度を取らないよう気をつけなさい!」



 まるで【菜刀天子】を思わせるような高圧的な挨拶だな……

 だが俺の予想はきっちり合っていたようでなによりだ。



 「とりあえずオメーらが会えたようで何よりだっつー話だな!

 あとはさっさとメシ食おうぜ」



 【東雲飛鳥】はマイペースに食事をオーダーし始めた。

 とはいえ飲食店に入ったのだから全員注文するのがマナーだろう。

 ……とメニューに目を通してみたが値段が書いてなかった。

 思ってたよりもお高い感じの店なんだな……

 値段が書いてない店に入ったことなんてトレジャーハンターとしての活動のクライアントからの接待くらいでしかないぞ。



 「んだよ、オメーらは頼まねーのか?

 それなら俺が選んでやんよ」

 「ちょっ、おまっ!?」

 「聖女である私の分もお任せします」



 俺が躊躇していたら勝手に俺と【天星雲母(てんせいきらら)】の注文も【東雲飛鳥】がしてしまったようだ。

 とはいえ、俺が選んでいたらかなり時間がかかっていただろうし結果的に選んでもらって助かったかもしれない。

 こんな格式高そうな店なのに【東雲飛鳥】は慣れた雰囲気だから何度も来てるんだろうし、オススメ料理も把握しているはずだ!

 

 

 「ここに何回も来たことあるのか?

 お前の年齢で何回も来れるような店じゃなそうなんだが……」

 「モデル活動してると現場監督とかカメラマンしてるオッサンたちが連れてきてくれるからな。

 可愛いってのは役得なんだっつー話だ!」



 しれっと容姿の自慢をしてきたが、調べて見たところ本当に国内で人気のモデルらしいのでそこを誇るのはもはや嫌みにならなくて強みなんだよな。

 というか奢りでここに何回も来てるのって本当にズルいな!?






 聖女である私にも喋らせなさい!


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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