2086話 炙鯣の魚人妃
『|◉〻◉)じゃあ僕が食べますね』
【ウルウシンバー=|◉〻◉)=サハギン】は【双真ナル】が生み出した火を使ってスルメを炙りはじめた。
レイドボスとのレイドバトル中に、レイドボスが喋りながらスルメを炙るってどんな光景だよっ！？
「その方がらしいといえばらしいんだけどね。
むしろ今までの方が違和感があったくらいだよ！
私としても安心したよ」
安心は……確かにしたな。
ガッツリ戦闘の気配は消えたし、これで俺たちが死に戻りさせられることもないんじゃないのか？
『|◉〻◉)そういえば何でハヤテさんのコスプレして、ハヤテさんの気配を出しているんですか？』
あっ、俺に話しかけてきたな。
俺は前に【アキカゼ・ハヤテ】と会ったことがあってな。
その時に妙な縁ができて、【アキカゼ・ハヤテ】由来のスキルや力を手に入れることになったわけだ。
特に水系のコントロール奪取が出来るスキル【秋風領域】なんて重要な局面で何度も使わせてもらっているぞ！
『|ー〻ー)ハヤテさんらしい効果ですね』
どうやらこいつは【アキカゼ・ハヤテ】とかなり見知った仲っぽいな。
俺が【アキカゼ・ハヤテ】のことを語るとどこか嬉しそうな声色で喜んでいるのが聞くだけで分かった。
知り合いが誉められるのが嬉しいんだろうな。
『|◉〻◉)あっ、レイドバトルと次元戦争はクリアにしておきますね！』
【ワールドアナウンス】
【レイドクエスト【海溝都市の魚人妃】がレイドチーム【異次元コンビ】によってクリアされました】
【包丁次元のプレイヤーにスキル【三叉漁板】が開放されました】
【【包丁戦士】が称号【海溝傾国の防人】を獲得しました】
【包丁次元のプレイヤーの深海適性が上昇しました】
【新たな海域への航海が許可されました】
【【包丁戦士】と【双真ナル】に第四航路権が付与されました】
【【絶深海域】が全プレイヤーに解放されました】
【【絶深海の総座長】の特殊防御権限が２段階解除されました】
【個人アナウンス】
【称号の効果で【Bottom Down】！】
【【包丁戦士】の深度が166になりました】
【友誼ボーナスで【XIII魚鱗】を獲得しました】
【【包丁戦士】が称号【隠された魚鱗】を獲得しました】
【【包丁戦士】がスキル【深海顕現権限】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】！】
【【包丁戦士】の深度が167になりました】
【ディメンションバトル】
【包丁の煌めき】
【螟ァ驪上?蛻?峺繧】
【【包丁次元】WIN！】
【勝利報酬は王宮にて選択してください】
「あっ、終わったね！
長かった攻略だけどレイドボス攻略も次元戦争も終わってよかったよ。
これで本来の流れとは別の流れも作れただろうし、【包丁戦士】をここに連れてきた甲斐もありそうだね」
【双真ナル】と安心して胸を撫で下ろしていた。
常に不安定な状況のまま進んでいたこともあり、内心気が気ではなかったのだろう。
俺だってそうだったから分かるなぁ～！
「でも、【ウルウシンバー=|◉〻◉)=サハギン】を倒す以外にも終了させる方法があるとはね？
【包丁戦士】が深淵種族相手に調伏して立場をワカラセることで倒さずにレイドボスを倒した扱いにしているのは知っているけど、深海種族相手に似たようなことをするとは思ってなかったよ」
それは俺だって同じだって！
やろうと思ってやったわけじゃないし、むしろ最後の方は向こう側から勝手にグイグイ来て友好を深めようとしてきたからな……
しかも本来の深海種族って多分【上位権限】レイドボスの【カニタマ】以外は喋らないタイプのレイドボスだったはずだ。
それなのに喋ってきていたということはやはり【アキカゼ・ハヤテ】絡みでレイドボスの精神を乗っ取りに来ていたからこそ喋れるようになっていて、こういう結末を迎えることが出来たってわけだな！
「味のあるいい結末ってことにしておこうか！
報酬もかなり上乗せされたみたいだから、【包丁戦士】にとっても私にとってもかなり実りのあるレイドバトルだったね！」
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
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