2080話 群体軍隊強化
チュートリアル武器の包丁でレイドボスの【ウルウシンバー=|◉〻◉)=サハギン】と渡り合っていく俺だったが、相変わらず地味な絵面だよな……
小型の蜂がスキルとして自動攻撃してくれているが、それ以外は俺の斬撃くらいだし。
「そうでもないけどね?
巨体のレイドボスとアクロバティックな動きをする【包丁戦士】が戦っているのは本人が思っている以上に派手で見ごたえがあると思うけど!」
それはどーも!
見ごたえがあるとしても、結局ダメージ量自体は地味な削り具合なのは変わっていない。
……おい、そろそろ【双真ナル】のスタミナは回復しないのか?
俺が身体を張って回避タンクをしながらお前に攻撃が行きにくいようにしてるんだが!?
「お陰さまでわりと息が整ってきているよ!
【包丁戦士】ばかりに負担をかけさせるのも申し訳ないし、そろそろ戦線復帰させてもらおうかな?」
おっ、とうとう【双真ナル】も戻ってこれるのか!
待ちわびてたぞ~!
別に俺が崖っぷちな状況に置かれているってわけじゃないんだが、それでも負担が減るのは確実だからありがたいぞ!
「復帰早々に【包丁戦士】を補助させてもらうよ!
スキル発動!【海上楼閣】!」
【双真ナル】がここで発動させたのは……ここにきてまさかの初見スキル【海上楼閣】だった!
【双真ナル】から海水の弾丸が放たれていき、【ウルウシンバー=|◉〻◉)=サハギン】へと全弾ヒットしていったぞ!
【ウルウシンバー=|◉〻◉)=サハギン】も痛がっているし、わりと効いてるな!?
というかそんなスキルがあるなら検証してる間にも使ってくれたらよかったのに、なんで本番でいきなり使ったんだよ!?
「何となく直感でこれが効きそうだなと思ってね!
それに、【包丁戦士】も検証で使ってないスキルはいっぱいあるよね?
私だけとは言わせないよ?」
ググゥッ……!?
痛いところを突かれたな……
デメリットが大きすぎたりするものは使用を控えていたし、そもそも発動条件を満たしていないスキルもあるし、何となく忘れてるスキルもあるから言い返せないぞ……
「何はともあれ、とりあえず私の攻撃が通用したみたいだからね!
このままさらに攻めていくよ!」
海水の弾丸を飛ばしつつも、包丁で攻撃する俺や周囲を飛び回る深淵の小蜂たちに当てないように立ち回っている【双真ナル】。
いや、凄いなっ!?
しれっとやっているが凄技の部類だぞ、これ!
「そうかな?
これくらいはやれそうなものだけどね?」
いやいや、それはない。
俺が見てきたプレイヤーたちの中でもそれが出来るのは一握りくらいだと断言できる。
それほど精密な技術が求められることをさほど集中した様子もなくやれるのは異様だ!
「数多く、色々な種類なことを普段からこなしているからね。
それほど苦労はしないんだよ!」
なるほどな。
マルチタスクが得意なタイプってことか。
【トランポリン守兵】お嬢様の空間把握能力と【風船飛行士】の並列処理能力を足したみたいな印象だから納得だ。
それなら俺も負けてられないぞ!
スキル発動!【堕音深笛】!
俺は深淵フルートを手に取り演奏しはじめた。
すると深淵の黒い霧が周囲に立ち込めはじめ、蜂たちの動きが活性化されていった!
この霧は深淵の力を活発化させるからな、支配下にある蜂たちも当然強化されるというわけだ!
しかも対象が複数いるから、強化幅を合計すると効果量は凄まじいくらいになるはずだ!
このチェーンバの力を活用するときはこういったまとめて強化するタイプのスキルがより効果を発揮するというわけだ!
「さっきまでよりも攻撃力やスピードが格段に上がっているね!
この発想は中々いいね、私好みでもあるよ!」
お褒めいただき光栄だな!
さあさあ、間髪いれずにどんどん攻め込んでいくぞ!
カッカッカッ、別の次元で見つけてきた深淵の力を上手く活用しているのぅ……!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】